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【2025 インターナショナルシリーズ】フランスが今夏のNZツアーメンバーを発表。キャプテンはCTBフィクー、ノンキャップが18人の構成に。

2025.06.25

イングランドXV戦で際立つパフォーマンスを見せたFL/LOミカエル・ギヤール(Photo/Getty Images)



 フランス代表は、今夏のニュージーランド(NZ)遠征に臨むフランス代表「レ・ブルー」の37名からなる選手リストを発表した。例年通り、トップ14の決勝進出チームの選手や、プレー時間が過多な選手は招集を見送られた一方で、18人のノンキャップ選手が名を連ねるフレッシュな顔ぶれとなった。

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 今回のNZ遠征メンバー選考に先立ち、トゥイッケナム(現在のアリアンツ・スタジアム)で行われたイングランドXV対フランスA代表の試合は、劇的な展開を見せた(6月21日)。

 ファビアン・ガルチエHCは試合後、「試合のシナリオには驚いた。先制して12-0とリードしたのに、そこから24-0と立て続けに失点し、さらに14人になってしまった。でも、このチームは流れを止め、再び主導権を握り、最終的に勝利を掴み取った。自分たちがどのようなラグビーをしたかは認識している。しかし、最後のプレーで勝利をものにして、今年、ここで経験したシックス・ネーションズでのシナリオを思い出す(80分にトライ+コンバージョンも決められ26-25で逆転負け)。選手たちには拍手を送りたい。グループのエネルギーとマインドセットが素晴らしかった、それが助けになった」とコメント。

 この試合、フランスAは開始10分でノンキャップのスターターを5人擁しながらも2トライを連取し、イングランドXVを驚かせた。イングランドXVも多くの主力選手がブリティッシュ&アイリッシュライオンズ遠征参加で不在とはいえ、SOジョージ・フォード、CTBヘンリー・スレイド、HOジェイミー・ジョージといったベテランを揃えていたにもかかわらず、まさかの展開だった。

 しかし、その後はフランスAのペナルティが続き、流れを失い2トライを返され同点に。さらに33分にはイングランドのイマヌエル・フェイワボソの20分レッドカードで数的有利になったにもかかわらず、リードを許して前半を終える。

 後半もフランスはペナルティが続き、数的有利を生かせない。ようやく、この日はFBでスタートしていたテオ・アティソグベに代わって後半出場したレオ・ベルドゥーがイングランドのハイパントをキャッチし、バランスを崩しながらも走り込んできたCTBエミリアン・ガイユトンにパス、そのままイングランドのディフェンスの間をすり抜け、内から駆け上がってきたSHノラン・ルガレックが受け取りトライ。と思われたが、LO/NO8カメロン・ウォキの危険なプレーによる20分レッドカード(バンカー適用)でトライが取り消されるという不運に見舞われた。

 2分後、イングランドがトライを追加する(24-12)。このメンバーで練習したのは3日だけとはいえ、この状態でNZに遠征して大丈夫だろうかと不安を感じた。絶望的な状況の中、キャプテンのCTBガエル・フィクー(93キャップ)がチームを集めて「今から2トライ取って勝つぞ!」と鼓舞。フィクーの言葉通り、14人となったフランスAは攻め続け、75分に1トライを返し24-19と5点差に詰め寄る。

 そして試合終了間際の83分、イングランドゴールライン際を攻め続けもう1トライを奪い24-24の同点に。SOアントワーヌ・アストイがコンバージョンを決め、26-24で劇的な逆転勝利を飾った。

 フィクーは試合後、「新しい選手がとても多く、フランス代表チームのプレーシステムを3日間で消化するのは簡単なことではない。学ぶべきこと、そして伝えていくべきことがたくさんある。これはメンタルとマインドセットで勝利を掴むことができた」と、若きチームの精神的な強さを称えた。

 フィクーだけではなく、この試合では、キャップ数は少ないながらも代表でのプレー経験を持つSHノラン・ルガレック(10キャップ)、SOアントワーヌ・アストイ(7キャップ)、CTBエミリアン・ガイユトン(7キャップ)、FBテオ・アティソグベ(5キャップ)、FL/LOミカエル・ギヤール(10キャップ)らがチームを力強くリードした点が印象的だった。特にギヤールは、普段はロックでのプレーが多いが、この日はNO8に抜擢され、ディフェンスではトライセーブ、アタックでは力強い前進を見せ、80分間高いパフォーマンスを維持。すでに30キャップぐらい持っているのではと感じさせるような存在感を示した。

 また、35歳のベテランPRラバ・スリマニ(57キャップ)も2019年ワールドカップ以来となるレ・ブルーのジャージーに袖を通した。今季からアイルランドのレンスターでプレーするスリマニは、今年のシックスネーションズでも代表合宿に参加していたが、出場機会はなかった。

 ノンキャップの選手では、LOタイラー・デュギド(24歳)が高評価を得た。デュギドはカナダ出身でカナダU20にも選ばれていた。2019年に当時3部リーグのナルボンヌに入団、翌年にモンペリエに移籍し、今季は26試合出場中、20試合で先発と着実に力をつけてきた。フランス代表でプレーへの希望も口にしていた。トップ14でも見せているように、パワーと豊富な運動量で代表レベルでも戦えることをアピールした。

 イングランドXVとの試合の翌日、そしてトップ14の準決勝の翌日の6月22日(日)にNZ遠征メンバーの発表が行われる予定だったが、試合後の記者会見で「このリストは難産になる」とガルチエHCが述べていた通り、リストは予定より2日遅れて火曜日に発表された。

 これは、レッドカードを受けたカメロン・ウォキの処分を待つ必要があったからだろう。火曜日に規律委員会でレッドカードからイエローカードに軽減され、ウォキも遠征メンバーに入った。また、トップ14準決勝に敗れたバイヨンヌとトゥーロンの選手の候補者を招集し、トレーニングで選手のコンディションの確認も行なわれた。

 新たにメンバーに加わったのは、WTBギャバン・ヴィリエール、FLエステバン・アバディ、LOマチアス・アラガユ(以上トゥーロン)、SOジョリス・スゴン、WTBトム・スプリング、FBシェイク・チベルギアン(以上バイヨンヌ)。また、ラ・ロシェルのHOピエール・ブルガリットらも加わっている。

 トップ14の決勝に進出したボルドーとトゥールーズからも、今週末の決勝戦後、プレー時間が2000分を超える選手やコンディションに問題がある選手を除き、最大5人まで追加招集が可能だ。トゥールーズSOロマン・ンタマック、ボルドーSOマチュー・ジャリベールは膝の治療のため、すでに不参加と報じられている。

 フランス代表は7月5日(ダニーデン)、12日(ウェリントン)、19日(ハミルトン)にオールブラックスと対戦する。

 キャプテンのフィクーは「イングランドチームに勝利したけど、彼らもフルメンバーではなかった。一方、オールブラックスはかなり前からフル回転で、つい最近スーパーラグビーでもNZのクルセイダーズが優勝した。とても熱い対戦になるだろう。僕たちはこの挑戦に立ち向かう。向こうで勝てるとは言わないけど、素晴らしいことを成し遂げるために全力を尽くす」と、オールブラックスとの対戦に向けた意気込みを語った。

フランス代表NZ遠征メンバー

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