攻めの質を変える。中野将伍は静かに言う。
6月16日からラグビー日本代表の宮崎合宿に参加している。過去に7度の代表戦(テストマッチ)に出た28歳が、現体制下で初めて招かれた。
9年ぶりに復帰して2年目のエディー・ジョーンズヘッドコーチは、『超速ラグビー』を謳う。接点からの球を出し、展開、転倒後の起き上がりと万事に機敏さを求める。
中野は身長186センチ、体重97キロのサイズで突破力のあるインサイドCTBだ。自身の強みで、チームがしたいようにプレーする手助けをしたい。
「CTBは(フィールドの)真ん中で勢いを作って、次のフェーズにより速い球を出せるように。また、スペースが空いていたら外に(パスを)運ぶ判断を」
守りにも注力する。オブザーバーとして参加のギャリー・ゴールド氏の指導のもと、一枚岩となって鋭い出足でタックルするのを目指す。
「(選手間の間合いを)広くし過ぎたり、狭くし過ぎたりすると、(スペースが生まれやすい)外にストレスがかかる。正しいスペーシング、相手を見て(急所を埋めるように)立つことが大事になります」
20、21日に公開された実戦形式の練習では、再三、衝突局面にチャレンジした。
6月28日には東京・秩父宮ラグビー場で、JAPAN XV名義によるマオリ・オールブラックス戦に臨む。
さらに7月5、12日には日本代表として、対ウェールズ代表2連戦を迎える。
「いつでも(試合が)できるよう準備しておくだけかなと」
最初のゲームは福岡・ミクニワールドスタジアム北九州である。中野にとっては地元の会場だ。地元の鞘ヶ谷ラグビースクール、東筑高を経て早大、東京サントリーサンゴリアスでキャリアを積んできた中野は、淡々と宣言する。
「味方のトライに繋がるプレーができたら」
その頃は猛暑日が続きそうで、いまいる宮崎でも強い日差しを浴びている。
「暑い中で、チームがやろうとしている動き続けるラグビーを。慣れていくのが大事です」
早朝からトレーニングに臨む。セッションの合間は、同僚と拠点のホテルのカフェに出かける。
大体が2人部屋だが、中野は20日の時点で1人部屋とのことだ。
相部屋が必要ならばリラックスしやすいのでは、との問いに、「そう、かもしれません」と微笑んだ。