カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアが共催で2035年もしくは2039年の男子ラグビーワールドカップ(RWC)の開催地として立候補する。英紙タイムズ(電子版)が3月30日に報じた。
中東湾岸3か国による大会招致活動はアジア地域の競技統括団体「アジアラグビー(AR)」による強力な支援により展開されると予想される。ARのカイス・アルダライ会長は「湾岸諸国の指導者たちが信じているように、不可能なことはありません。私は2035年にこのようなことが起きるかもしれないと予見しています」と取材で語っている。
UAE出身のカイス・アルダライ氏が2019年から会長を務めるARは、かねてからガバナンスや財務管理に深刻な懸念があることを指摘されており、昨年9月よりWRからARへの助成金が止められていた。同年11月にARの健全化を掲げ、透明性と公平性を訴えた日本協会の岩渕健輔専務理事がAR副会長選挙に出馬し当選したが、今年2月24日付でARが「行動規範違反の可能性」を理由として、岩渕副会長に一時的な停職処分を課した。
日本協会はARに処分の撤回を要請し、国際統括団体ワールドラグビー(WR)に対してもARの対応と本件に至った経緯の調査を要請している。4月1日時点で事態の進捗はないが、ARの組織としての健全性には疑念が残る。
中東湾岸3か国がRWC開催地となった場合の課題も多い。3か国ともRWCに出場した経験はなく、世界ランキングはUAEが48位、カタールが87位、サウジアラビアはWRの参加ユニオンではないためランキング外で、ARの中でも準加盟という位置付けだ。10年以上先のことではあるが仮に開催国として大会に出場した場合、予選や過去の大会を勝ち抜いてきたチームとのレベル差は否めないだろう。
2022年のサッカーW杯カタール大会と同様に中東の気候を考慮し、これまでのカレンダーをずらして12月から翌年1月にかけて開催される日程となると、例年2月から3月に開催されるシックス・ネーションズも影響を受ける。
産油国の資金力を背景に、他のスポーツと同じく莫大な投資と収益を得られることが予想される一方、インフラ建設に携わる労働者の環境をはじめとした人権問題が提起されており、2022年のサッカーW杯カタール大会でも軋轢が生じていた。
アルダライ会長は「ARはワールドラグビー理事会で52票のうち2票を持っています。私たちの2票は間違いなくアジア招致に使われるでしょう」と語っているが、2035・2039年大会は日本も招致を表明している。アジア域内で競合することになるが、この件については特に言及していない。
現在のW杯開催国決定プロセスは従来の入札方式から、WRが候補協会の計画を確認し、WRの財政・普及に関わる長期計画に合致するかを見極めて選任する形に変更された。2035年大会の開催地はRWC2027までに決定する。