フランス代表のファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)は、2月8日土曜日にトゥイッケナムで行われるシックスネーションズのイングランド戦に向けたメンバーを発表した。ほぼ予想通りのメンバーだが、先週、ウエールズに43-0で圧勝したチームから変更が2つある。
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SOロマン・ンタマックが、先週のウエールズ戦で危険なタックルでレッドカードを出され、その後、規律委員会から3週間の出場停止処分を受けた。危険なタックルに関する講習に参加すれば、この処分は2週間に短縮される可能性があり、今週のイングランド戦、および来週のトゥールーズでのトップ14の試合をカウントすれば、2月22日(現地時間)のイタリア戦で復帰が可能になる見込みだ。今週のイングランド戦には、ガルチエHCはマチュー・ジャリベールを起用した。
ジャリベールはフランス代表34キャップを持つが、代表でのキャリアは決して順風満帆とは言えない。特に昨年の秋のテストマッチでは、ジャリベールが代表合宿に参加していたにも関わらず、10番のポジションにFBトマ・ラモスが抜擢された。
その後、ジャリベールは代表グループから離脱したが、その理由はガルチエHCとジャリベール自身で食い違いが見られた。ガルチエHCは「本人の希望」と発表し、ジャリベールは「ファビアン(ガルチエHC)から勧められた」と発言したため、両者の関係に注目が集まっていた。
しかし、ンタマックのレッドカードというアクシデントを受け、状況は一変した。ガルチエHCはスタッフと協議し、その日のうちにジャリベールを10番で起用することを決定した。
「マチュー(ジャリベール)は代表チームでの経験もあり、明白で、一貫性があり、論理的な決断」と説明し、さらに「マチューがこの秋に経験したことは、私たちにとって非常に興味深いものだった。私たちは選手の成長を促すために、技術的なことだけでなく戦術やメンタル面での準備などあらゆる面からサポートしている。人生は幸せな時もあれば、そうでない時もある。私たちはそれを乗り越えることを選手に教えている。対立なんて問題外だ。マチューの例はトップレベルの選手が経験することの一例で、素晴らしい時もあれば困難な時もあり、心理的また肉体的に傷を負うこともある。すべての選手に言えること」とジャリベールへの信頼と、選手の成長を重視する自身の哲学を語った。
また、ウエールズ戦の翌日に現地テレビに出演した際に、「秋のようにラモスを10番でプレーさせるのか?」と質問され、「今回、FBレオ・バレ(脳震盪)、FBロマン・ビュロス(足首捻挫)がいない。ルイ・ビエル=ビアレはWTBに置いておきたい」とも答えていた。イングランドがハイボールを浴びせてくることを警戒して、経験の浅いビエル=ビアレではなくラモスを後列に置いておきたい。
従来からSHアントワンヌ・デュポンをプレーの中心に据えたシステムだったが、ウエールズ戦では、さらにその傾向が強く見られた。デュポンがあたかもSHとSOの両方の役割をこなしているようで、前半はデュポンからンタマックへのパスが3本しかなかったと指摘されている。デュポンがHTにふくらはぎの痛みを訴えたため、50分にノラン・ルガレックと交代し、ようやくンタマックがボールを持つようになった。
「私たちのアタックは明確な戦略に基づいて組織されており、ラグビーそのものの進化や、私たちのラグビーの進化に合わせて変化している。その中心になっているのが9番と10番で、フィールド内のゾーンによっては、10番より9番の方が多くボールを持つ」とガルチエHCは攻撃のシステムについてコメントする。イングランド戦でもこのシステムが採用されるのであれば、ボルドーで主導権を委ねられチームの攻撃を指揮しているジャリベールが、ンタマックのように徹底的に影に徹することができるかどうかも注目されている。
2つ目の変更点はダミアン・プノーの復帰だ。プノーは足の親指の負傷で先週の試合を欠場し、今週半ばに練習に復帰した。肺感染症で秋のテストマッチも欠場しており、代表でプレーするのは昨年のシックスネーションズ最終戦の対イングランド戦(20204年3月16日)以来となる。
現在、代表トライ数36のプノーが、セルジュ・ブランコの持つフランス代表最多トライ記録(38トライ)に並ぶか、あるいは更新するかが注目されている。
他のメンバーについては継続性が重視され変更はない。FW第1列は、左からジャン=バティスト・グロ、右にウイニ・アトニオ、そしてHOはペアト・モヴァカでスタートする。第2列はチボー・フラマンが今週も怪我からの復帰が間に合わず、引き続きアレクサンドル・ルマットとエマニュエル・メアフーのトゥールーズのコンビ。第3列は、週始めに調整メニューを与えられていたポール・ブドゥアンが、エディー・ジョーンズから「デュポンやラモスと同様に不可欠な存在」と称えられたフランソワ・クロス、グレゴリー・アルドリットと共に名を連ねる。
BKは、デュポンとジャリベールのハーフ団に加え、バックスリーにトマ・ラモス、ルイ・ビエル=ビアレ、ダミアン・プノー、そしてCTBはヨラム・モエファナとピエール=ルイ・バラシが務める。このペアは、先週のウエールズ戦ではボールを持つことがなかったため目立つ活躍はなかったが、スタッフの指示を完璧に遂行し、イングランド戦でも引き続き起用されることになった。ベンチにもウエールズ戦と同じ8人が控える。
フランス代表は現在イングランドに対して3連勝しており、前回トゥイッケナムでは53-10という圧倒的な勝利を収めている。イングランドはワールドカップで3位になった後、13戦で5勝しかできておらず、ホームで勝って自信をつけたいところ。昨年はスタッド・ド・フランスで79分のラモスPGでフランスが逆転勝利を収めた両国の対戦は『クランチ』と呼ばれ、歴史ある戦いだ。今年はどんなドラマが繰り広げられるのか、目が離せない。
フランス代表チーム イングランド戦メンバー
🏴🇫🇷 Samedi, 17h45, Twickenham Stadium 🏟️
— France Rugby (@FranceRugby) February 6, 2025
Vos Bleus qui affronteront l’Angleterre 🔥 #XVdeFrance #NeFaisonsXV #ANGFRA pic.twitter.com/HDFmTC5sBp