2027年、豪州で開催されるワールドカップ。アジア地区には、すでに出場権を持つ日本を除き、来年2025年春のアジアラグビーチャンピオンシップの優勝国に1枠が与えられる。
この1枠を確保するため、韓国男子代表が強化をおこなっている。12月1日、FW中心に18名が来日し、2日から劉永男(ユ・ヨンナム)FWコーチがアドバイザーを務める埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)で合宿を1週間実施中だ。5日は期間中唯一となる埼玉WKのFW陣との合同練習をおこなった。
劉コーチは狙いについて「ジンバブエ戦(11月16日)でスクラム、ラインアウトなど戦えたところはありました。それ以上に強い相手と練習して自分たちの力を知る必要があります。ワイルドナイツにお願いしました」。
セッションは7日に豊田自動織機シャトルズ愛知(S愛知)とのプレシーズンマッチ(熊谷ラグビー場)を控える埼玉WKがチーム練習を終えた11時半から始まった。まずはスクラムでお互いのマイボールで組み合う。埼玉WKが押す場面が多い。韓国が自ら崩れる点が気にかかる。
続くラインアウト、競るのは今春までコベルコ神戸スティーラーズに在籍したLO張碩煥(チャン・ソクファン)だ。体調不良で2023-24シーズンはリーグワンで姿を見ることはなかった。現在は回復し帰国後は韓国電力に加入、神戸Sで磨いたショートパスで魅せている。
最後はゴール前5メートルのラインアウトモール。韓国が意地を見せて埼玉WKに押し勝つこともあった。今春で現役引退、レジェンドの堀江翔太アンバサダーもじっくり見ていた。「韓国は、いい押しをしていましたね。もっと伸びると思います」。気になった選手としてPRイ・ジェファン(ポスコEMC)をあげた。
劉コーチと盟友、ホラニ龍コリニアシFWコーチは意見をかわしていた。
韓国は、11月16日、ホームにジンバブエ代表を招き2016年秋のチリ遠征以来、8年ぶりに秋のテストマッチを敢行。ワールドランキング29位の相手に、同33位(対戦時)の韓国は22-27と惜敗した。
元クボタスピアーズSH、李明根(イ・ミョングン)監督は「10月の全国体育大会を終えて10日間あまりで準備しました。短い期間でしたが選手たちはよくやってくれた。日本ではセットプレーの精度を磨きたい」と話す。
韓国代表は現在45名程度のスコッドを持つ。企業チームの韓国電力、ポスコEMC、現代グロービス、OK金融に大学生から選抜。ケガ人がでればすぐに新しい選手を呼べるようにしている、という。アジアラグビーチャンピオンシップでのライバルは香港だ。香港も11月、ブラジル代表をホームに迎え1勝1敗の成績だった。
今回はFW中心だが、同行した代表FBキム・ギミンは埼玉WKロビー・ディーンズ監督からワンポイントレッスンを受けていた。同じポジションの元オールブラックスからキックの蹴り方を教わった。「韓国は10番、15番ができる選手が少ない。ギミンは試合中、キックの好不調の波がある。どこに気をつけるか。良い時間でした」(李監督)。
練習後、韓国選手たちは埼玉WKのアドバイザーである元NZ代表サム・ホワイトロック氏と写真撮影。6日は個別練習、7日埼玉WK対S愛知戦を観戦し、8日に帰国後は韓国・オリンピック鎮川選手村で練習して年内の活動を終える。
2025年は3月末ごろから国内開幕戦コリアンリーグが予定されている。李監督や劉コーチは「その前に暖かい海外で代表合宿を希望していますが未定です」。
7日に熊谷ラグビー場の試合を観戦されるファンの皆さん、韓国代表を見かけたら応援してあげてください。