11月のテストマッチシリーズ「オータム・ネーションズシリーズ(ANS)」を主催するシックスネーションズラグビーが、技術的な反則への「20分レッドカードバリエーション」、スクラム・ラインアウト・ゴールキックの「カウントダウンクロック」に関する試験ルールを導入・施行することを10月18日に発表した。
ANSの21試合を裁くレフリーは、故意かつ危険なファールプレーに対して試合全体を通して退場させる従来の「フルレッドカード」を出すことができるが、技術的な反則に対して「20分レッドカード」を与えられる“選択肢”を持つことになる。
20分レッドカードは故意・意図的でないファールプレーのみに適用され、当該プレーヤーはその試合に出場することはできないが、20分後に交代可能なプレーヤーを試合出場させることができる。故意かつ危険な反則と見なされた場合は完全な制裁を受けて処分の対象となり、チームは1人少ない状態で戦うこととなる。
またANSではレフリーがマイクをつけて、判定や重要な場面について説明するオプションも試験的に導入される。
試合のスピードアップを目的とした「カウントダウンクロック」は以下のプレーで試験導入される。
1.コンバージョン/ペナルティキック
コンバージョンはトライから60秒の制限時間内にキックしないと無効になる。ペナルティはレフリーにショットの意向を告げてから60秒の制限時間内にキックをしないと相手ボールのスクラムとなる。
2.スクラム
レフリーがマークしてから30秒以内にスクラムを組む。遅滞させたチームはフリーキックの反則が与えられる。
3.ラインアウト
アシスタントレフリーがマークしてから30秒以内に形成する。遅滞させたチームは15mライン上でフリーキックの反則が与えられる。
シックスネーションズラグビーのチーフオブラグビー、ジュリー・パターソン氏は試験ルールの導入は観客層の拡大が目的であるとし、「試験ルールはこの機会を探るための一歩に過ぎません。ANSでの試験ルールがファンにとっての体験を向上させる一方で、“ライブ”で判断を説明し、ラグビーをユニークで特別なものにしている微妙な違いを理解しやすくすることを目指しています」と導入の意義を唱えている。
今回のANS試験ルールは20分レッドカードというバリエーションを加えるもので、11月14日に国際統括団体ワールドラグビーの理事会で議論される予定のフルレッドカードを20分レッドカードに置き換えるレッドカード制裁プロセスとは異なる。
シックスネーションズ構成国のフランス協会は「20分レッドカード」の導入に反対の意思を示している。アイルランド協会はフランス同様反対の立場だが、ANS試験ルールのようなフルレッドカードと20分レッドカードの併用には歓迎の声名を出した。
日本代表はANSで11月9日にフランス、24日にイングランドと現地で対戦する。