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大きな代償。フランス代表FBジャミネ、差別発言で34週間出場停止。

2024.08.07

重い処分を受けたジャミネ。まだ25歳と若いだけに、成長した姿でフィールドに戻ってくることが期待される(Photo: Getty Images)



 7月26日、フランスラグビー協会の懲戒委員会が、フランス代表FBメルヴィン・ジャミネに対する処分を決定した。ジャミネは遠征先のアルゼンチンで人種差別発言をしている自身の動画をインスタグラムに投稿し、直ちに代表チームから追放されていた。

 懲戒委員会は審議の結果、「ラグビーの最上の利益を侵害した」とし、34週間の試合出場停止と罰金30,000ユーロ(約480万円)という重い処分を決定した。

 34週間のうち、公益活動に従事することで8週間短くすることができる。活動内容は、アルコール、およびSNSに関する危険予防活動、さらに差別に反対するラグビーバリューの促進活動と、協会の声明で伝えられている。

 この決定に先立ち、ジャミネの弁護を引き受けていたカルロ・アルベルト・ブルザ弁護士は、サッカーのフランク・リベリ、ディディエ・デシャン、ジネディーヌ・ジダンの弁護をした経歴を持ち、ジャミネの近親者や友人から彼の人柄を証言する手紙を集め、「例のビデオは、アラブ系の友人にふざけて送るつもりが、操作ミスでインスタグラムのストーリーに投稿してしまったのだ」と主張し、その時にジャミネとやりとりをしていたと言うアラブ系の友人の証言も提出したが、フランス協会の差別を決して許さない姿勢を覆すことはできなかった。

 フランスでは、3年前にプロD2(プロ2部リーグ)の試合中に相手チームの選手に対して人種差別発言をした選手が、LNR(プロリーグの運営団体)から26週間の出場停止処分を受けている。今回フランス協会は8週間の公益活動をプラスし、さらに重く取り扱ったことになる。

 ジャミネは、協会の決定に異議を申し立てることもなく、「全面的に受け入れる」と所属クラブのトゥーロンが発表した。トゥーロンは、ジャミネが帰国後すぐに面談し、協会の決定が下される前に、ジャミネの「差別発言を断固として糾弾する」としながらも、解雇するのではなく、「彼の贖罪の可能性を信じて、このプロセスの中で彼を支援し、彼の行ったことの深刻さを理解し、2度と繰り返さないように個人として成長してくれることを目指す」として停職処分にとどめた。

 トゥーロンの声明には、協会の決定に従い34週間の試合出場停止とすることとともに、ジャミネが「クラブから提示された予防および治療計画に従い、それを厳守する」と言うことも明記されている。

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