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日本代表の齋藤直人、フランスTOP14王者のトゥールーズ加入決定!デュポン、ンタマックらと同僚に。

2024.07.10

マオリ・オールブラックス第2戦で先発した齋藤直人。JAPAN XVの共同主将を務めた(撮影:早浪章弘)

 今季限りで東京サントリーサンゴリアスを退団した日本代表のSH、齋藤直人がフランス・TOP14のトゥールーズに加入することが7月10日、クラブを通じて発表された。

 トゥールーズはヨーロピアンチャンピオンズカップで6回、TOP14で23回と、いずれも最多の優勝回数を誇る強豪クラブだ。
 今季(2023-24シーズン)もヨーロピアンチャンピオンズカップ、TOP14ともに優勝。TOP14では決勝最多点差(59-3)で2連覇を達成していた。

 チームには現役のフランス代表が数多く在籍しており、齋藤と同じSHには2021年の世界最優秀選手であるアントワーヌ・デュポン、SOにはロマン・ンタマックらがいる。
 2019年には静岡ブルーレヴズのHO日野剛志が在籍していた。

 かねてより海外挑戦を希望していた齋藤は、2023年6月から三笘薫(ブライトン)らをサポートする「Athlete Solution」とマネジメント契約を締結。ワールドカップ2023フランス大会を経て、2024-25シーズンからの国外移籍に向けて動いていた。

 代理人曰く、齋藤が各クラブに限られた人数しか在籍していないSHであったことや、クラブの強化方針、選手契約の影響で契約締結には時間を要したという。
 しかし、3月頃からTOP14の4〜5クラブと具体的なコミュニケーションを図る中、第一希望としていたトゥールーズから若手有望株のSHバティスト・ジェルマンが移籍を決断。パリ五輪に出場予定でフル稼働のデュポンが来季のプレーについてまだ不透明だったことも影響し、契約期限最終日の6月30日に契約合意に至った。

 契約期間は7月1日からの「1年」。追加のオプションはない。

 7日にはオンラインで記者会見を開き、移籍決断の背景や意気込みを語った。

――海外挑戦はいつ頃から考えていたのか。

「海外に行きたいという気持ちは小さい頃から持っていました。よりその思いが強くなったのは大学3年生頃です。ナショナル・デベロップメント・スコッドに参加させていただき、海外のレベルの高い選手たちと初めてプレーして、より具体的に考え始めました」

――ワールドカップ後に決断したわけは。

「ワールドカップを経験して、より厳しい環境でプレーする必要があると思いました。4試合に出場できましたが、ハイプレッシャーの中で自分の能力を出せたかというと全然そうは思えなかった。ワールドカップの舞台で力を出すには常にレベルの高いプレッシャーや強度の中でプレーを続ける必要があるなと」

――移籍先は当初からフランスのクラブを希望していたのか。

「イングランドかフランスと考えていました。というのも、ワールドカップで実際に経験したことやプレーオフの試合を見ても、9番からのキックがすごく重要になると感じて。よりキックが重要になる国でプレーしたいと考え、南半球よりも北半球のリーグを希望しました」

――契約年数は1年。どのくらい海外でプレーしたいか。

「できる限り海外でプレーしたいと思っています。ただ、それは周りの人と話しながら、エディーさん(ジョーンズ日本代表HC)と話しながら決めていきたいです」

*ヨーロッパでは7月1日から2シーズン後の契約交渉が始まっている。代理人曰く、「どのクラブもSHとして必要なコミュニケーションがどれだけできるかを見ています。それは実際にプレーを見せないと長期契約には結びつかないと感じている」という。

――エディーさんとはどんな会話を。

「日本代表の監督になる前からサントリーに来てくれた時は、自分の気持ちを毎回伝えていました。かなり相談に乗ってもらっていました。決まったことを報告した日には、おめでとうと言ってくれました」

――TOP14の開幕は秋のテストマッチと被ります。今後の予定は。

「(エディーHCと)具体的にはまだ話せていません。チーム間の連絡は心配せず、今は目の前のラグビーに集中してほしいと言ってもらいました」

――他に相談した人は。

「タタフ(テビタ/現ボルドー)とマツさん(松島幸太朗/前クレルモン)には話を聞きました。移動のことでだったり、マツさんからもやはりキックがすごく重要になると教えてもらいました」

――加入が決まった瞬間は。

「ホッとしました。話をもらってから少しずつ進展はしていたのですが、結構長かったですし、正式に決まったのは市場が閉まるギリギリの6月30日でしたので」

――初めて海外クラブと移籍交渉をしてみて。

「(自身の加入には)もともといた選手や他のチームの事情、他のチームの選手の移籍などが関係していて、いろんなことが繋がって動いてると感じました。向こうの監督やコーチと面談をするのも初めての経験で、すべて英語です。今後は毎日そういう環境でやらなければいけないので、より勉強しようと思いました」

*代理人曰く、フランスに通訳を帯同させる予定はない。

――トゥールーズのコーチ陣とはどういうお話を。

「チームがどういうラグビーをしたいか、代表期間との兼ね合いをどうするか、個人練習はどのくらいしているのか、あとは自分の強みは何か、などを話しました」

――あらためて、自分の強みは。

「一番はクイックなパス、テンポ。トゥールーズはかなりアタッキングなラグビーですし、テンポも速くて、ボールも動く。そういうラグビーに合うと思っています。プレースキックが強みとも伝えました」

――トゥールーズの印象は。

「みなさんご存知の通り、チャンピオンチームですし、多くのタレントがいる。本当に学ぶべきことが多いという印象です。またトップ14 やチャンピオンズカップなど、試合数の多さも魅力のひとつと感じています」

――デュポンやンタマックなど、ワールドクラスの選手たちから学びたいことは。

「学べる限り多くのことを学びたいです。フランスの選手は、特にデュポンですけど、チームのルールやシェイプがある中でもひらめきを大事にしてプレーをしている印象があります。そうした部分を今後は伸ばしていきたい」

――同じポジションにはデュポンがいる。出場機会が限られる可能性もあるが。

「トゥールーズというチームでプレーできる機会は本当に限られています。特に9 番は1チーム3人しかいない。その限られたチャンスが来た。迷わずにここでプレーしたいとすぐに思いました」

――意気込みを。

「まだ実際に行っていないので想像がつきづらいのですが、加入1年目だから、日本人だからという引いたマインドではなく、最初から積極的に9番の一番手を狙いにいく。まずはどうやってチームから信頼を勝ち取って試合に出られるかを考えていきます」

――海外挑戦を経てどんな選手になりたい。

「ざっくりしたものですが、次の2027年のワールドカップまでにワールドクラスの選手になりたいと思っています。テストマッチの舞台で自分の能力を出せる、チームを勝たせる9番になりたいです」

――田中史朗さんはスーパーラグビー挑戦の際に、現在の奥様と結婚してNZに行きました。齋藤さんの場合は。

「可能性はあります。(自分と妻の)二人にとってベストな選択をしたいと思っています」

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