格上のイングランド代表に3点差で惜敗し、フランス代表とはドローの熱闘を演じた世界ランキング10位のイタリア代表が、ついに歓喜の瞬間を迎えた。地元ローマのスタディオ・オリンピコで現地時間3月9日、ヨーロッパの強豪6カ国が競う「2024 シックスネーションズ」の第4節でスコットランド代表と対戦し、31-29で勝利をつかんだ。
イタリアがスコットランドを倒したのは9年ぶり。ゴンサロ・ケサダ ヘッドコーチ率いる新体制となって初勝利である。
一方、優勝の可能性があったスコットランドにとっては、首位アイルランドとの最終戦を前に痛恨の2敗目となった。
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前半途中まではスコットランドのペースだった。
5分、サポートプレーもよく18フェイズ重ねてゴールに迫り、パワフルなPRザンダー・ファーガソンがピック&ドライブで最初のトライを決めた。11分にもWTBドゥハン・ファンデルメルヴァなどの力強いボールキャリーもあって敵陣深くに入ると、テンポよくアタックを継続し、WTBカイル・ステインがフィニッシャーとなった。
一方、試合開始早々にペナルティゴール(PG)で3点を入れていたイタリアは、14分、敵陣22メートルライン付近のラインアウト・モールからすぐにボールを出し、SHマルティン・パジェレロがディフェンス裏に蹴ってそれを追ったCTBフアン・イグナシオ・ブレックスがインゴールに押さえ、トライを奪い返した。
しかし、4点差とされたスコットランドはPGでリードを広げ、27分にはSOフィン・ラッセルの「50:22キック」で敵陣深くに入ると、ラインアウトからモールを組んで少しずつ前進し、押しきって追加点となった。
それでも、イタリアは34分、38分とPGで得点を重ね、16-22と詰めて前半を終えた。
後半早々、スコットランドがCTBヒュー・ジョーンズのブレイクからSHジョージ・ホーンがゴールへ持ち込み、点差を広げたかと思われたが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でオブストラクションの反則があったことが確認され、ノートライ。流れは変わらなかった。
するとイタリアは数分後、敵陣10メートルライン付近でアドバンテージを得ると、連続攻撃からSOパオロ・ガルビーシがディフェンス裏にボールを蹴って転がし、それに反応したマイケル・ライナー(オーストラリアのレジェンド)の息子でイタリア出身のWTBルイ・ライナーがデビュー戦トライを決め、スタジアムが沸いた。
1点差に詰めたイタリアは勢いづき、さらに56分(後半16分)、21歳のNO8ロス・ヴィンツェントが力走で大きくゲインしてゴールに迫り、根気よくアタックを継続し、最後はSHスティーブン・ヴァーニーが間隙を突いてインゴールに押さえ、逆転した。
その後、イタリアはスクラムでも奮闘、粘り強いディフェンスもあった。そしてスコットランドにプレッシャーをかけ続け、72分にはSOガルビーシがPGで大きな3点を追加。31-22とした。
追い込まれたスコットランドは、77分にLOサム・スキナーのトライとコンバージョン成功で2点差に詰め、80分を過ぎた最後のアタックで死力を尽くし24フェイズ重ねて敵陣10メートルライン内に入ったが、イタリアは規律よく辛抱して守りきり、ノックオンを引き出し、激闘はノーサイドとなった。