2024年のウェールズ代表は、厳しい戦いが予想された。
116キャップを重ねた経験豊富なSOダン・ビガーがインターナショナルシーンから離れ、同じくセンチュリオンのFBリー・ハーフペニーは代表チームから引退、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに加入したベテランのFB/WTBリアム・ウィリアムズも不在となり、スピードスターのWTBルイス・リースザミットはNFL(アメリカンフットボール)挑戦でいなくなってしまった。さらに、昨年のワールドカップで共同キャプテンを務めたFLジャック・モーガンとHOダウィー・レイクは負傷でシックスネーションズのスコッドには入らず、大幅な戦力ダウンが心配された。
そして、地元カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間2月3日、今季初戦を迎え、スコットランド代表に敗れた。しかし、27点ビハインドから意地を見せ、最終スコアは26-27。観客の熱い声援を受けるなかで惜敗だった。
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前半の両チームの戦いぶりで、ワンサイドゲームになるかと思われた。スコットランドがしばらく主導権を握った。
ビジターチームは序盤の5分にペナルティゴール(PG)で先制すると、10分にはLOリッチー・グレイのラインアウトスチールから攻めに転じ、キャプテンで司令塔のSOフィン・ラッセルがディフェンダーをひきつけ、おとり役も機能してFBカイル・ロウが抜け、WTBカイル・ステインの力走もあってゴールに迫り、フェイズを重ねて最後はPRピエール・スクーマンがインゴールにねじ込みファーストトライが認められた。
22分にはラッセルがPGで加点。29分にも敵陣深くに入ってラッセルが空いたスペースを抜け、パスをもらったWTBドゥハン・ファンデルメルヴァがインゴール中央に持ち込んだ。
対するウェールズは敵陣深くに入ってもラインアウト失敗が続いてチャンスを逃し、タッチキックミスやハンドリングエラーもあって波に乗れなかった。
20点リードで折り返したスコットランドは後半早々にも、ラッセルが自陣から好走でチャンスメイクし、オフロードパスをもらったファンデルメルヴァがゴールへ走りきり、追加点獲得となった。
0-27とされたウェールズ。しかし、ここから意地を見せた。
47分(後半7分)、敵陣深くに入り、ラインアウトからモールで押し込みようやくスコアボードを動かした。数分後にもスクラムで奮闘して相手の反則を引き出し、敵陣深くに入り、ドライビングモールではグラウンディングできなかったものの、プレー再開でフェイズを重ね、WTBリオ・ダイヤーが左隅にフィニッシュして会場を沸かせた。
息を吹き返し、反撃を続けるウェールズに対し、スコットランドは59分に反則でイエローカードを提示され、10分間1人少なくなってしまう。ゴール前でPKを得たウェールズは直後、タップから果敢に攻め、NO8アーロン・ウェインライトがインゴールに突っ込み3連続トライとなった。
流れを変えたウェールズは67分にも敵陣深くに入り、ラインアウトからモールで前進し、この日が代表デビューとなったFLアレックス・マンが持ち出してインゴールに突っ込み、トライ。SOヨアン・ロイドのコンバージョンも成功で1点差に詰めた。
盛り上がるスタジアム。
残念ながら、ウェールズは残り時間で逆転できず、リードを守りきったスコットランドの逃げ切り勝ちとなったが、誇り高き赤いジャージーを着てホームで意地を見せた選手たちには大きな拍手が送られていた。