ラグビーリパブリック

車いすラグビーの世界大会 10月18日フランス・パリで開幕!

2023.10.13

「目標はパリ・パラリンピックでの金メダル獲得」と明言した岸光太郎HC(右)※(左)池透暢キャプテン、(中)ケビン・オアー前HC。(撮影/張 理恵)

スピードが武器の草場龍治(左)は「恥のないプレーをしたい」と活躍を誓った※次世代選手による国際親善大会「2022SHIBUYA CUP」より。(撮影/張 理恵)
安藤夏輝(左)はディフェンスでチームに貢献するつもりだ※次世代選手による国際親善大会「2022SHIBUYA CUP」より。(撮影/張 理恵)



 ワールドカップに沸くフランスで、再びJAPANラグビーが躍動する。

 10月18日〜22日の5日間、「国際車いすラグビーカップ」(International Wheelchair Rugby Cup Paris 2023、以下 IWRC)がフランス・パリで開催される。

 ラグビーワールドカップ・フランス大会組織委員会とワールド車いすラグビー(WWR)の共催でおこなわれる同大会には世界ランキング上位8か国が出場し、世界の頂点を目指す熱い戦いを繰り広げる。

 パリ・パラリンピックでの金メダル獲得を目標に掲げる日本にとっては、現在地を確認する重要なマイルストーンとなり、また、6年にわたり日本代表を指揮したケビン・オアーヘッドコーチ(HC)退任後、8月に就任した岸 光太郎HCの初陣としても注目される。

 大会は、4か国ずつ2つのプールに分かれて予選ラウンドをおこない、各プールの上位2チームが準決勝へと進む方式で実施される。
 プールBの日本(世界ランキング3位 ※10月2日現在)は予選ラウンドで、アメリカ(同1位)、フランス(同6位)、ニュージーランド(同8位)と対戦し、一方のプールAでは、オーストラリア(同2位)、イギリス(同4位)、カナダ(同5位)、デンマーク(同7位)が、しのぎを削る。

 このうち、日本、フランス、イギリス、デンマークの4か国が、地域予選(アジア・オセアニア、ヨーロッパ)の結果により、すでにパリ・パラリンピック出場権を獲得(※)している。
 11月にアメリカ大陸予選、その後、来年3月に世界最終予選を控えるなか、パラリンピックの前哨戦ともいうべき今大会で各国がどんなラグビーを見せるのか、白熱した試合が期待される。
(※パラリンピックの車いすラグビー競技には8か国が出場)

 日本は、大会1日目の10月18日にニュージーランドとの初戦に臨む。アジア・オセアニア選手権では日本が2戦2勝としたが、フィジカルの強さとスピードのあるニュージーランドを相手にどのようなスタートを切るのか、ティップオフが待たれる。

 続く10月19日にはアメリカと対戦。自国開催となる2028年のロス・パラリンピックを見据えた強化に取り組むアメリカは、ベテランと若手の融合チームで挑む。世界ランキング1位、そして昨年の世界選手権では銀メダルを獲得した強豪・アメリカに対して日本はどう戦うのか、新戦力とのマッチアップにも注目だ。

 10月20日には、フランスとの予選ラウンド最終戦を迎える。5月に開催されたヨーロッパ選手権では、東京パラリンピックで金メダルを獲得したイギリスを下し優勝したフランス。7月に昨年の世界選手権覇者・オーストラリアに圧勝しアジア・オセアニアの頂点に立った日本。ヨーロッパ・チャンピオンとアジア・オセアニア・チャンピオン、大陸王者のプライドをかけた一戦に胸が高鳴る。

「自分たちのラグビーの到達点としては、最高のレベルまで行けた」
 日本代表キャプテンの池透暢が堂々と語るように、アジア・オセアニア選手権で日本は、見る者の期待値をはるかに上回るチームラグビー、そして、退任するケビン・オアー前HCへの感謝の思いをプレーで示そうと一致団結したパッションラグビーを見せた。

 岸HCは「オアー氏と築き上げたラグビーをつないで、より進化し完成させていく」と述べ、結果だけではなく、どのように勝ち進んでいくかというプロセスにも重点を置いた「勝ち方にこだわるチーム」を作っていくと言葉に力を込めた。

 日本がさらなる進化を目指す中で、その幅と可能性を広げるのが若手選手の存在だ。
 今回のIWRCでは、安藤夏輝と草場龍治の2名が、フル代表レベルでの国際大会デビューを飾る。
安藤と草場はふたりとも、ディフェンスの要となるローポインター(障がいの重い選手)で、バリエーション豊富な日本のラインアップにどんなインパクトを加えるのか楽しみだ。

 所属クラブチームでキャプテンを務める安藤は、周りへの声がけからプレーへの意識が高まり、また、競技に専念できる環境も整ったことで急成長している。

「ついにきたか」と日本代表に選ばれた時の心境を語る安藤は、「ディフェンスで重大な役目を担うポジション。会場の空気にのまれないように、気持ちをしっかり切り替えてプレーしたい」と気合十分だ。

 そして、ローポインターの常識を覆すようなスピードが武器の草場。
「不安はあるが、自分の走力がどれだけ世界に通用するのかやってみたい。ミスをしても下を向かずに、戦っている姿をしっかり見せたい」と、控えめな口調ながらも芯のある言葉で意気込みを語った。

 車いすラグビー日本代表のユニフォームには、ワールドカップで最後まで勇敢に戦った「ブレイブブロッサムズ」のジャージーと同じ、「力・ならわし・縁起」を意味する日本伝統の吉祥文様があしらわれている。
 そして「桜のエンブレム」は、メンバーの数と同じ12輪の桜となって、両肩から後ろの首元にかけて満開の花を咲かせている。

 熱戦が続くフランスの地で、もうひとつの「ブレイブ・ブロッサムズ」、車いすラグビー日本代表が世界と戦う。
 世界8強が集結する「国際車いすラグビーカップ」開幕まで、もうすぐだ。

世界トップ8による競演がフランスで繰り広げられる(右・池崎大輔、2023アジア・オセアニア選手権より)。(撮影/張 理恵)

【日本戦 試合スケジュール(予選ラウンド)】(現地時間 ※日本+7時間)
10月18日(水)vsニュージーランド(13:00)
10月19日(木)vsアメリカ(11:00)
10月20日(金)vsフランス(17;00)

《会場》ハル・ジョルジュ・ カルパンティエ(Halle Georges Carpentier)※10/18〜10/21
    アコーホテルズ アリーナ(Accor Hotel Arena)※最終日 22日のみ

【IWRC 車いすラグビー日本代表】
倉橋 香衣  0.5F
安藤 夏輝 0.5
草場 龍治  1.0
小川 仁士  1.0
若山 英史 1.0
乗松 聖矢 1.5
中町 俊耶 2.0
羽賀 理之 2.0
池 透暢 3.0
池崎 大輔  3.0
島川 慎一 3.0
橋本 勝也  3.5

※数字は障がいの程度や体幹等の機能により分けられるクラス(持ち点)。
 数字が小さいほど障がいが重いことを意味する。
※「F」は女性選手。

大会公式Webはこちら
(YouTubeにてライブ配信あり)

Exit mobile version