ラグビーリパブリック

フィジーがイングランド倒し歴史的初勝利 サモアは世界ランク1位のアイルランドに4点差惜敗

2023.08.27

歓喜の瞬間。聖地トゥイッケナムでイングランドに勝ったフィジー(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ2023でプールDに入り、日本代表のライバルとなる元世界チャンピオンのイングランド代表は、低調ムードを払拭できないまま大舞台に臨むことになるかもしれない。
 開幕直前に9番候補だったジャック・ヴァン・ポートヴリートとWTBアントニー・ワトソンが負傷で離脱し、キャプテンのSO/CTBオーウェン・ファレルと経験豊富なNO8ビリー・ヴニポラが出場停止中のなか、地元トゥイッケナムで8月26日、本番前最後のテストマッチをフィジー代表と戦い、22-30で敗れた。今夏の戦績は1勝3敗。

 一方、フィジー代表は8度目の挑戦で初めてイングランド代表を倒し、しかも敵地トゥイッケナムでの歴史的勝利となり、ウェールズ代表やオーストラリア代表などと戦うワールドカップへ向け大きな自信をつけた。

 序盤、イングランドは負傷離脱のワトソンに代わって追加招集されたWTBジョニー・メイのトライでリードしたが、相手にイエローカードが出て数的有利な時間帯に追加点を奪えなかった。

 8-3で迎えた後半早々、1人少ないフィジーの方が躍動し、WTBセレスティノ・ラヴタウマンダが俊敏なステップでメイとの1対1に勝って右外を抜けてチャンスメイク、キャプテンのCTBワイセア・ナヤザレヴにオフロードでつないでトライが決まり、コンバージョン成功で逆転した。

 勢いづいたフィジーはさらに52分(後半12分)、WTBヴィナヤ・ハンボシがラックから持ち出して前に空いたスペースを抜け、ゴールに持ち込み追加点。SOケイレブ・マンツのブーツでも着実に得点を重ねた。

 イングランドは何度か攻め込みながらも決め手を欠き、反則やエラーが続いてなかなか流れを変えられなかった。12点ビハインドの57分に、ディフェンス裏へのチップキックからFBマーカス・スミスのトライが生まれたが、数分後、チームとしての課題であるハイタックルがまたも出てフィジーにペナルティゴール(PG)を許し、波に乗れなかった。

 ディフェンスでも奮闘したフィジーに対し、イングランドは68分にトライを獲りきり、コンバージョンも成功で1点差に詰めたが、勝利を引き寄せたのはチャレンジャーだった。
 フィジーは72分、ボールキャリアーにサポートもついてパワーで敵陣深くに入ると、またもWTBラヴタウマンダが軽快なフットワークでイングランドのディフェンスを揺さぶり、SHシミオネ・クルヴォリにつないでトライを獲得。SOマンツの安定したゴールキックで8点リードとすると、その後は堅守でイングランドに得点を許さず、歴史的初勝利となった。

 プールDで準々決勝進出への2枠を争う別のライバル、サモア代表は、同日にフランスのバイヨンヌで世界ランキング現在1位のアイルランド代表と戦い、惜しくも13-17で敗れ、1996年以来の2勝目とはならなかった。

 相手に先制されたサモアだったが、7点を追う前半35分、攻めていたアイルランドのパスが乱れ、ボールを手にしたサモアのFBダンカン・パイアアウアが約80メートル走りきり、元ニュージーランド代表のSOリマ・ソポアンガがコンバージョンを決め同点になった。
 さらにサモアはハーフタイム前、スクラムで圧倒してPGチャンスをつかみ、ソポアンガが決め10-7と逆転して折り返した。

 フィジカルが強いサモアは後半に入ってもアイルランドにプレッシャーをかけ、PGで加点。

 しかしアイルランドは50分、敵陣でモールからボールを持ち出し、WTBジェイコブ・ストックデールがディフェンス裏に蹴ってインゴールに転がったボールをSHコナー・マレーが押さえ、1点差に詰めた。そして63分、ラインアウトからモールで押しきり、逆転した。

 それでも、サモアはその後何度かゴールラインを背にしながら粘り強いディフェンスを続け、ブレイクダウンでも奮闘してアイルランドに追加点を許さなかった。そして、サモアは試合終了間際、力強いボールキャリーが続いて相手の反則を引き出し、敵陣深くに入ったが、ラインアウトを失敗してチャンスを逃し、世界ランキング1位を倒すことはできなかった。

 プールDのほかのライバルは、スペインへ遠征中のアルゼンチン代表は同日、マドリードで同国代表を62-3と圧倒している。ワールドカップ初出場を決め初戦で日本代表に挑むチリ代表は、地元テムコでアルゼンチンXV(代表予備軍)相手に健闘したが26-28で競り負けた。

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