二転三転していた話に決着がついた。
イングランドのオーウェン・ファレル主将が、ワールドカップ(以下、W杯)の初戦を含めた2試合に出場できなくなった。
9月9日のマルセイユでのアルゼンチン戦、同17日にニースでおこなわれる日本との試合に、大黒柱の姿はない。
ファレルは、8月12日のウエールズ戦の後半23分、FLテイン・バシャムにタックル。その一撃が危険とジャッジされてイエローカードを提示された。
カードの色が変更されたのは、新しく導入された「TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)バンカー」システムの結果だった(※W杯でも採用される)。
試合を進めながらTMOが映像を再度チェックし、状況の詳細を再検証するシステムだ。
新たな判断がある場合、8分以内に告げられる。
ウエールズ戦のファレルのタックルはその結果レッドカード相応とされ、退場に。4試合の出場停止になると予想された。
しかし驚いたことに、3日後(15日)に開かれた独立規律委員会(シックスネーションズ管轄)において、ファレルのタックルはイエローカード相当と判断された。
他のディフェンダーの影響によってボールキャリアーが方向転換。その結果の危険なタックルで、レッドには相当しないとされた。
この決定には世間が荒れた。
ファレル主将は過去に何度も危険なタックルでレッドカードを受けている。
また、いくつものW杯出場国が、大会へのウォームアップゲームの中でレッドカードの判定を受け、中心選手がW杯の一部の試合に出場不可となっている状況がある。
ファレルの件に、政治力を感じた人は多かった。
その中でワールドラグビーが「イエロー相当」の決定について控訴。8月22日に再度上訴委員会で尋問、検証され、結局はレッドカード相当。4試合出場停止となった。
出場停止の4試合は、8月26日に予定されているフィジーとのウォームアップゲームと、前述のW杯初戦と第2戦の3試合。それに加え、ファレルが出場しなかった8月19日のアイルランド戦にさかのぼって、4試合とされた。
出場することも可能だったアイルランド戦にさかのぼってカウントすることに疑問を持つ声もあるが、世界中が注目していた騒ぎには、これでいったん決着がついた。
プールDでの大事な2試合に主将を欠くことになったイングランドの対応策が注目される。