2023年の男子アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)が6月3日から17日までおこなわれ、香港(大会開幕前の世界ランキング24位)、韓国(同30位)、マレーシア(同49位)の代表が出場し覇権を競った。
最終日は、1勝同士の香港代表と韓国代表が香港フットボールクラブで優勝をかけて対戦。香港がラインアウトモールからHOアレクサンダー・ポストが3トライを奪うなど、30-10で押し切り、栄冠をつかんだ。香港の優勝は2018年から4大会連続だ(2020、’21年はコロナ感染予防で中止)。
試合は前半1分から香港がパスでつないで韓国エリア22メートル内に侵入した。ミスで韓国へボールを渡すもその前に韓国が反則。香港SOグレゴール・マクネイシが約40メートルのPGを成功し先制した。
7分過ぎ、香港の右ライン際のパス回しを韓国左WTB張ヨンフン(元NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)がインターセプトを狙ったが前にこぼした。故意のノックオンを古瀬健樹レフリーに判定されてイエローカードを受け、10分間の退場になった。
香港はゴールライン5メートル手前の右ラインアウトへ進む。モールで押してHOポストが1トライ目を決めた。8-0になる。
対する韓国は17分、敵陣22メートル、相手ボールのスクラムを押してコラプシングを誘った。SO金ギミンがPGを確実に蹴り込んで3点を奪い返した。
しかし、ここから香港の主将でもあるCTBトム・ヒルが場を沸かせた。
27分、香港SOマクネイシのPGはバーに嫌われたが、これを自ら拾い前進、ラストパスを左に走り込んだヒルに渡すもスローフォワードでトライは認められなかった。36分には韓国の攻撃からノックオンでターンオーバーしたボールがヒルへ。ヒルはゴールライン寸前までゲインするもノックオンしてしまった。それでも38分、韓国10メートルエリアへ入った香港FBネーザン・デ・ティエリーがボールを転がす。これを韓国WTB張ヨンフンがキックでタッチへ出そうとするも短くなりティエリーが確保、そしてラストパスをもらったヒルがようやく左中間トライラインを越えた。13-3で折り返しとなる。
後半15分、韓国は敵ゴール前5メートルのスクラムを得るも反則で得点機を逃した。エリア取りのキック、香港SOマクネイシが自陣22メートルから蹴ったボールは韓国エリア右22メートル線内へ入りバウンドしてタッチへ。50/22ルールで香港のラインアウトになる。そして17分、香港がモールを一気に押し込んでHOポストが2本目のトライを奪った。
韓国唯一のトライは26分、右ラインアウトからオープンへ回し、FB鄭ヨンシク(元日野レッドドルフィンズ)が左ライン際へ蹴ると、走り込んだWTB張が拾いディフェンスを振り切って左中間へ仕留めた。コンバージョンもSO金が決め、18-10と追い込んだ。
だが香港優位は動かなかった。31分、香港SOマクネイシがインゴールへ運んだと見られたがTMO久保修平レフリーはノックオンとしトライを認めず。しかし、その前にあった反則から香港が右ラインアウトへ。またもモールを押し込んでHOポストのハットトリックにつながった。さらに37分、韓国22メートル内で韓国BK金ヒョンビンのキックを香港BKウィル・パンディがチャージし、ボールはインゴールへ。パンディが拾う前に韓国FB鄭がデッドボールライン外へ手で出してしまった。トライを妨害したとしてペナルティトライになった。
最後、韓国が敵陣でボールを回すも、CTB金勇輝(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)からのボールをBK朴ウビンがノックオンし、ノーサイド。
香港代表主将のヒルは「得点をうまく取れた。とても幸せ」とコメント。韓国代表主将のFLノ・オクギは「自分たちのミスで負けた。香港のほうはラインアウトなどで上回っていた」と振り返った。
来年以降のARCは、今年9月開幕するワールドカップ・フランス大会における日本代表の成績次第で日本が参戦する可能性もある。