ともに2勝1敗。優勝の可能性を残して第4節を迎えた両チームの対戦は、53-10とフランスが大勝する結果となった。
43点差での敗戦は、イングランド代表のテストマッチ史上3場面目の大敗だ。
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このカードは、両国の激しいライバル関係から大きな注目を集める。
イングランドは、大黒柱でキャプテンでもあるオーウェン・ファレル(SO/CTB)をベンチに置き、マーカス・スミスをSOのスタメンとする布陣が大きな話題を呼んだ。
対するフランスは、アントワンヌ・デュポン(SH)、ロマン・ンタマック(SO)のコンビを軸に、2005年以来のトゥイッケナムでの勝利を狙ってこの試合に挑んだ。
試合は、開始後1分に自陣からオフロードパスを絡めて巧みにボールを繋いだフランスのトマ・ラモス(FB)のトライで幕を開けた。
雨天のコンディション。ハーフウェーラインを挟んだキック合戦となる場面も目立った。
しかしフランスは、イングランドのお家芸とも言える堅実な流れでもキッチリと試合を支配した。
25分にはイングランド陣のラインアウトからのラック連取後、チボー・フラマン(LO)がトライ。40分にはスクラムでプレッシャーをかけた後にグレゴリー・アルドリット(NO8)からシャルル・オリボン(FL)に繋ぎトライ。27-3とフランスリードで前半を終えた。
大量リードを許したイングランドは後半、早速交代のカードを切る。45分には、ヘンリー・スレイド(CTB)に代わり、ベンチからファレルを投入した。
今大会に入ってから低調なパフォーマンスが続いていたファレルだが、大黒柱のインサイドCTBへの投入でイングランドは明らに違うチームとなった。
47分にはフランス陣でのラック連取後に、フレディ・スチュワード(FB)がトライ。スミスのゴールも決まり、27-10とする。
しかしながら、これがこの日のイングランドの最後の得点となった。
試合を通じてキックを使った空中戦、ラック近辺での肉弾戦を支配し続けたフランスは、素早いボールのリサイクルを繰り返した。
結局、さらに4トライを重ね、53-10という記録的な大勝を挙げた。
「イングランド戦はいつでも特別な意味がある。こうした大事な試合でいいパフォーマンスを見せるのは代表チームとして非常に大切なこと。幸運もあり、今日はいいプレーができて非常に嬉しい」
この日、2トライを記録する活躍を見せたフランスのフラマン(LO)は謙虚に語った。
ちなみにフラマンは、イギリスのラフバラ大学で学び、大学時代は何と5本目のSOとしてプレーしていたという面白い経歴を持つ。
その後FWに転向し、プレミアシップのワスプスにスカウトされ、2020年にはトップ14のトゥールーズに移籍。あっという間に代表まで上り詰めた。
歴史に残る大敗を喫したイングランドのスティーブ・ボーズウィックHCは、「意図していたことが実行に移せなかった。コンタクトプレーで負けていたし、オフロードを許し過ぎた。世界のトップレベルとの実力差を痛感させられた」と、チームの厳しい現状を認めた。
優勝の可能性を残すフランスは最終節、不調に喘ぐウエールズをホームに迎えて対戦する。
イングランドは最終節で好調のアイルランドと敵地のダブリンで戦う。