2023年シックスネーションズの開幕節(現地時間2月4日)。
カルカッタカップ(イングランド×スコットランドの勝者に与えられる杯)はスコットランドが手にした。
トゥイッケナムでおこなわれた一戦は、スコットランドがイングランドを29-23で倒し、同カード3連勝。
また4トライを挙げたスコットランドは、ボーナスポイントを獲得した。最高の形で今大会のスタートを切った。
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スティーブ・ボーズウィック新監督就任後の初戦とあり、イングランドは、大きな注目の中でこの試合を迎えた。
エディー・ジョーンズ前監督体制時に不振の原因とも指摘されていた、SOマーカス・スミス、インサイドCTBオーウェン・ファレルの布陣は、この日も継続された。
イングランドは、ラックの近場でルイス・ルドラム(FL)、エリス・ゲンジ(PR)など破壊力のあるFWによる圧力で試合を支配。
対するスコットランドは、SOフィン・ラッセルがキックパスも交えて外へボールを運び、スペースのあるところで勝負を挑む戦術で勝負した。
試合は前半14分に動いた。
スコットランドのCTBヒュー・ジョーンズが先制トライを奪った(Gも決まり7-0)。
しかしイングランドも反撃する。23分、WTBマックス・マリンズがインゴールに入った(7-5)。
スコットランドにビッグプレーが出たのは前半28分だった。WTBドゥハン・ファンデルメルヴァが中盤からカウンターアタックを仕掛ける。
ディフェンスを次々とかわす個人技でトライを奪った(12-5)。
このトライについて試合後、スコットランドのグレガー・タウンゼント監督は「往年のジョナ・ロムーを彷彿とさせる走りだった」と絶賛した。
しかし、サイドステップとハンドオフで次々と抜かれたイングランド防御は、ザルと形容されても仕方がないものだった。
ボーズウィック監督は「チームはいま、新しいディフェンスシステムを導入しようとしているところ。こうした試みには時間がかかる」と説明したが、大会中にどこまで仕上げられるか。
新指揮官の手腕は、まだまだ未知数だ。
その後、イングランドはマリンズのこの日2本目のトライ+ファレルのPGで逆転する。
前半は13-12とホームチームが1点をリードして終えた。
後半に入っても互いの力は拮抗していた。
イングランドはFWの近場で圧力をかけ続けながらも、単発のディフェンスミスが目立つ。しかし47分、ラック連取からゲンジがトライをもぎ取った。
スコットランドも果敢に仕掛ける。50分、ガラ空きのラックサイドをSHベン・ホワイトが走り切った。
その時点で20-19とイングランドの1点リードは変わらず。
その差は、64分にファレル、68分にラッセルがそれぞれPGを決めても23-22と開かなかった。
勝負が決したのは74分だった。
大仕事をしたのは、ふたたびファンデルメルヴァだ。スコットランドはイングランド陣でボールを左右に大きく動かす。最後はトライゲッターがタックルを受けながらもボールをインゴールに置いた。
Gも決まり、29-23と濃紺のジャージーがファイナルスコアを刻む。両軍合わせて7トライの好ゲームは、29-23で決着がついた。
宿敵・イングランドとの大勝負をものにしたスコットランドのジェイミー・リッチー主将(FL)は笑顔で話した。
「前週の準備を経て、イングランドとの大勝負を楽しむことができた。前半はややプレーの正確性を欠いたが、数少ないチャンスを確実にモノにすることができた」
ボール支配率43パーセント、地域支配率29パーセントとプレッシャーのかかる中で勝利を手にしてタウンゼント監督も上機嫌。
「SOスミスの多彩な攻撃オプションは脅威だった」とリップサービス気味なコメントも口にした。
実際は前述のように、スミス、ファレルの共存への疑問は残ったままだ。
「ディフェンスシステムだけでなく、スクラム、ラインアウト、そしてアタックと、今は新しいシステムを導入しようとしている最中で、これに時間がかかるのは仕方がない」
敗れたボーズウィック監督は、そう話した。
「新しいチームとしてのスタートでモチベーションは高い」とコメントしたのはファレル主将だ。
しかし試合後の会見では、現地記者から早速厳しい目が向けられていた。
新体制としての期待を背負いながらも黒星スタートとなったイングランドは、次節でイタリアと戦う。
ボーナスポイント付きの勝利と、好調なスタートを切ったスコットランドは次節でウエールズと対戦する。
ワールドカップイヤーのシックスネーションズは熱い。