2023年はラグビーワールドカップイヤー。8か月後に開幕する世界最高峰舞台でベスト8以上を目指す日本代表にとって、プールステージの難敵となるのは、過去10回挑んで一度も勝ったことがないイングランド代表(現在 世界ランキング5位)だけではない。「ロス・プーマス」の愛称で知られるアルゼンチン代表(同8位)もまた、タフな相手である。
楕円球の方のフットボールもこの国は強い。日本代表は、ラグビーのプロ化が認められてまだ歴史が浅かった1998年に一度だけアルゼンチン代表に勝ったことがあるが、これまでの対戦成績は1勝5敗と分が悪い。最後の対戦は2016年11月で、秩父宮ラグビー場にて20-54と大敗している。
ワールドカップで過去2大会(2007、2015年)ベスト4入りしたことがあるアルゼンチン代表は、2019年の日本大会ではプールステージを突破できず準々決勝進出を逃してしまったが、その後の3年間でチームを再建し、世界最強軍団とも呼ばれるニュージーランド代表“オールブラックス”を2度も撃破している。2020年に中立地のシドニーで歴史的初勝利を挙げ、昨年からは世界最優秀コーチに選ばれたこともある名将マイケル・チェイカが指揮官となり、8月に敵地クライストチャーチに乗り込んでオールブラックスを倒した。
そして、昨年11月にはロンドンのトゥイッケナムスタジアムでイングランド代表と前哨戦をおこない、完全アウェイのなか30-29で下し、大きな自信をつけた。
そのアルゼンチン代表は今年、ワールドカップ前に少なくとも5試合戦って本番に臨むことになりそうだ。
南半球の“ビッグ3”、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアと戦うザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)は、今年は国際カレンダーがいっぱいのためホーム&アウェイ方式ではなく7月に1回戦総当たりで実施する予定。2019年のワールドカップ王者である南アフリカ代表とは7月末に敵地でTRC最終節を戦い、それとは別に、8月5日にブエノスアイレスで再戦することが決まった。また、『Americas Rugby News』によれば、9月8日にワールドカップ・フランス大会が開幕する前にもう1試合、スペイン代表を相手にウォームアップゲームをおこなう見込みだという。
強豪とのテストマッチはワールドカップ前の貴重な強化試合となり、サモア代表やチリ代表とも戦うプールDでローテーションを組むならば、さまざまなコンビネーションの機能を高めるためにもスペイン戦は有益で、理想的な準備となるだろう。
なお、日本代表とアルゼンチン代表はプールDの最終節(10月8日)に対戦することになっており、この試合が両チームにとってベスト8入りをかけた大一番になる可能性がある。