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稀代の名将エディー・ジョーンズ、イングランドラグビー協会の冷徹な判断により解任。公式発表

2022.12.06

イングランド代表監督解任となったエディー・ジョーンズ。世界に衝撃が走った(Photo: Getty Images)


 2015年11月よりイングランド代表監督を務めてきたエディー・ジョーンズが、ラグビーワールドカップまで1年を切った時点で解任された。12月6日、イングランドラグビー協会(RFU)が公式に発表。

 後任については、近い将来に決まる予定だという。

 イングランド代表は直近のオータムネーションズシリーズ4試合で、勝ったのは日本戦(52-13)のみだった。ニュージーランド戦には試合終了前の猛攻で同点まで追いついたはいいが(25-25)、南アフリカ(13-27)、さらにはアルゼンチンにまで敗れた(29-30)。
 アルゼンチン、日本、ニュージーランド、南アフリカの順での試合となったこの秋のテストマッチを「ミニワールドカップ」とまで呼んでいたジョーンズ。来年のワールドカップのグループステージで同組のアルゼンチンと日本を倒したあと、決勝トーナメントで当たる可能性の高いニュージーランド、南アフリカと対戦し、4戦全勝でこの秋を締めくくるつもりだった。

 今年の夏のオーストラリア遠征は2勝1敗で勝ち越したが、シックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)では2勝3敗の3位という不調に終わった。イングランド代表の2022年の戦績は、5勝6敗1分。この戦績は、4勝7敗という記録的な不振となった2008年以来の「大惨事」。世界最大の予算を誇るとされ、事実上イギリスの大企業として運営されるイングランドラグビー協会。結果の伴わない場合は大胆なリストラにより結果を出しにいくという、無慈悲なイギリス企業らしい決断を下したことになる。

 代表監督としては最も高級取りとされるジョーンズの年収は75万ポンド(約1億2500万円)。2023年ワールドカップ終了までの契約だったため、早期解約には違約金が発生するはずだが、そのコストを払ってまでも監督を交代するとは、協会は相当な決意だったのだろう。

 歯に衣着せぬ物言いで知られ、試合前の会見では相手チームの選手や監督を名指しにして心理戦を挑むなど、まさに「闘将」という言葉が似合うジョーンズ。
 就任1年目の2016年大会のグランドスラムを含み、7年間で3度のシックスネーションズ制覇、そして2019年ワールドカップでの準優勝と、イングランドラグビー界にしっかりと記録を残したことだけは間違いない。現在62歳でラグビー指導者として「まだまだやれる」と自負しており、またどこか他の国の代表監督としてワールドカップの舞台にやってくるかもしれない。それがどの国か、あるいは代表監督の仕事はこれが最後となるのかは、まだ本人にもわからないだろう。

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