日本戦を3日後に控えて、パリ郊外のマルクッシにある国立ラグビーセンターで合宿中のフランスチームが公開練習をおこなった。暖かかった先週とは打って変わり、気温13度、小雨が降ったり止んだりと、パリ地方の11月らしい天候だった。
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世界トップ10が参戦「オータム・ネーションズシリーズ」全21試合を放送・ライブ配信
練習前に、チボー・ジルー パフォーマンスディレクターからその日の練習内容について説明される。
「この3週間はワールドカップの決勝ステージを想定してきた。今日の練習は休憩を挟みながら、短時間でボリュームも抑えているが、スピード、加速、コンタクトのいずれにおいても最大の強度を選手に求めている。16分間FWとBKに分かれてウォーミングアップ。その後、U20の選手も参加してゲーム形式で3分×5セット、ハーフタイムを挟み3分×4セットの練習をする。最後の3分は試合の77分を想定したシナリオでおこなう」
グラウンドではSHのグループが密集からボールを出してキックを繰り返している。SOとFBはキックの調整、CTBとWTBはパスを繰り返す。
FWが合流しゲーム形式の練習が始まった。フルコンタクトで実践さながらのスピードでおこなわれる。最後の試合の77分のシナリオを想定したセッションは、相手ゴール前でフェーズを重ね、背番号10のビブスをつけたロマン・ンタマックがドロップゴールを決めて終了した。
練習後の記者会見に最初に現れたのは、LOロマン・タオフィフェヌアだ。
激しい肉弾戦となった先週の南アフリカ戦について、「予想通りとても強度が高い試合だったが、2日間のオフがあり、リカバリーもできている。日本戦に向けて準備できている」と述べた。
「南アフリカはハードなコリジョンが多かったが、日本はスピードと運動量のチーム。南アフリカとは大きくタイプの異なるチームになるのでは」という記者からの質問に対し、「日本は運動量だけではない、夏の対戦ではコンタクトも強かった。決して油断してはならない。日本はスクラムがとてもいい。南アフリカほどではないかもしれないがフィジカルの強い選手もいる。夏に対戦した時に日本に苦戦させられた。今回も難しい試合になるだろうから、今週もしっかり準備している」と答えた。
続いて現れたのは、FBトマ・ラモス。所属クラブのトゥールーズでは、最後列から果敢に駆け上がるカウンターアタックでチームに勢いを与え、また正確なキックで得点を重ね活躍を続けていたが、代表チームでは、アントニー・ブチエ、ブリス・デュラン、メルヴィン・ジャミネと同じポジションにライバルが多く、なかなか先発で出場機会を得ることができずにいた。今回のオータムネーションズシリーズでジャミネが負傷のため欠場となり、またトゥールーズでの活躍も評価され、ようやく背番号15をつけてオーストラリア戦、南アフリカ戦のどちらも80分プレー。得意のゴールキックで2試合で40得点をあげチームの勝利に貢献し、個人的にも現在本大会得点ランキング1位になっている。
「シックスネーションズではベンチスタートだったが、今回は最初の2戦で80分プレーすることができた。テストマッチレベルとは何かを学べたのだと思う。なぜプレーできないのか理解しようとした。テストマッチレベルはクラブの試合で与えられているほどの自由はない。そのことを理解するのに時間がかかった」と自身の成長を実感している様子を覗かせる。
「オーストラリア、南アフリカと連勝することができた。しかも2試合目は世界チャンピオンに勝てた。このシリーズをしっかり終えるには、まだ1試合残っている。日曜日の試合で負けると、オーストラリア戦と南アフリカ戦の結果は何だったのかということになる。日本戦にしっかりフォーカスできている」と今週末の試合への意気込みを語る。
トゥールーズでフランス代表の試合がおこなわれるのは2009年11月の南アフリカ戦以来だ。代表チームにはトゥールーズの選手が多く「僕やトゥールーズでのチームメイトにとって、地元でこの3連戦を終えることができるのはとても嬉しいこと。しっかりパフォーマンスをして、日頃から応援してくれているトゥールーズのサポーターにお返しをしなくてはならない」と地元でプレーできることもモチベーションを高めている。
対戦相手の日本については、「イングランドではいいゲームができなかったかもしれないが、その前に彼らはニュージーランドに対してものすごい試合をしている。オーストラリアAにもとてもいい試合をしている。イングランド戦がこのチームの本当のレベルを表していると考えるのは安易すぎる。今週はきっとリアクションしてくるはずだ」と警戒する。
日本はきっとリアクションしてくれるだろう。フランスも決して日本を軽くは見ていない。