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「フラストレーションのたまる試合」。エディー・ジョーンズ監督(イングランド)、アルゼンチンに敗れるも「戦い方に大きな問題はない」

2022.11.07

オーウェン・ファレル主将(右)も指揮官同様「戦い方に問題はない」。(Getty Images)



 気温13度の雨天の中でのキックオフ。相手のミスを待つかのようなキック合戦で幕を開けた。11月6日(現地時間)、8万人を超える観衆をホームのトゥイッケナム競技場に集めたイングランドが29-30でアルゼンチンに敗れた。

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 オータム・ネーションズシリーズ初戦のイングランドは、序盤から試合の主導権を握った。
 キックで確実に敵陣に入り、22メートルライン以降ではボールを保持して連続攻撃を仕掛ける。
 しかし、アルゼンチンの堅いディフェンスに阻まれて決定的なチャンスを生み出すことができなかった。

 序盤はアルゼンチンのエミリアーノ・ボフェリ(WTB)とオーウェン・ファレル(CTB)がそれぞれPGを決め合う展開。最初のトライをもぎ取ったのはイングランドだった。
 24分、敵陣ゴール前のスクラムからのサインプレーから、ジョー・ゾカナシンガ(WTB)がパワーでねじ込みトライ。ゴールも決まり、10-6とリードした。

 193センチ、112キロの巨漢WTBゾカナシンガは、試合を通して積極的にボールに絡み、再三に渡り、力強い走りを見せた。

 互いにPGで加点し、イングランドは13-12と1点リードで前半を終える。
 アルゼンチンはキックで敵陣に入るも、トライを奪うことはできなかった。

 後半に入ると、試合開始時の雨空が嘘のような晴天がトゥイッケナムの頭上に広がった。しかし両チームとも濡れたボールに苦しみ、ハンドリングエラーが頻発する展開となった。

 そんな中で反撃を開始したのはアルゼンチンだ。46分にはラインアウトからBKのサインプレーを見せる。ボフェリがトライ。
 50分にはイングランドのパスミスのこぼれ球を拾ったサンティアゴ・カレーラス(SO)が走り切った。あっという間に24-16と逆転し、リードを奪った。

 流れを変えたいイングランドは54分にベン・ヤングス(SH)に変わって出場したジャック・ヴァン・ポートヴリートが、出場直後に中盤でのラックサイドのスキを突く。
 そのまま走り切り、ゴールも決まって1点差に追い上げた。

 終盤は双方ともスクラムとブレイクダウンでペナルティを重ね、勝負を賭けたPG合戦に。69分にPGを決めたアルゼンチンが逃げ切り、30-29のスコアで決着がついた。

 試合後のエディー・ジョーンズ監督は、「簡単なミスでチャンスを逃してしまい、フラストレーションの溜まる試合でした。ただ、我々の戦い方の基本的な方針に大きな問題があるとは思っていません。試合のほとんどの時間は支配していました」と振り返った。

 ボール支配率で63パーセント、地域支配率で73パーセント。その数字を見れば、確かに試合の支配という意味では上手くいっている。
 しかし、こうした支配率のスタッツも、最終的なスコアに繋がらなければ意味がない。

「試合の戦い方自体は間違っていない。今日はチャンスからトライを取り切れなかった、肝心なところでミスが出たのが痛手となった」
 悔しさを滲ませるファレル主将も指揮官同様、戦い方には問題がないと強調した。

「試合の場面によっていろいろなプレッシャーをかけられましたが、厳しい状況でいい判断を下すことができました。若い選手たちにとって、今日の試合は非常にいい経験になりました」
 アルゼンチンのマイケル・チェイカ監督は満足そうに試合を振り返った。

 ちなみに同監督は、レバノン移民2世でオーストラリア出身のチェイカ監督は、現役時代にジョーンズ監督とともに、オーストラリアのクラブ(ランドウィック)でプレーしていた。

 リーグワンのNECグリーンロケッツ東葛のディレクター・オブ・ラグビー、さらにはラグビー・リーグのレバノン代表監督も務め、現在イングランドで開催中のワールドカップで準々決勝まで進出する実績も挙げている。

 アルゼンチンがトゥイッケナムでイングランドを破るのは2006年以来16年ぶりのこと。
 波に乗るアルゼンチンはこの後、ウエールズ、スコットランドと対戦する。

 イングランドの次の相手は日本代表。やや不調気味にも見える現在のイングランドを相手に、ジャパンはどのような戦いを見せてくれるだろうか。



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