ラグビーリパブリック

国立競技場で6万5188人が熱狂。日本代表歴史的勝利ならず、オールブラックスに7点差惜敗

2022.10.29

オールブラックス相手にトライを決めるなど活躍した日本代表のSO山沢拓也(撮影:松本かおり)


 10月29日、国立競技場を埋めた6万5188人の大観衆の熱気に包まれるなか、ラグビーの日本代表がワールドカップ最多3回の優勝を誇るニュージーランド代表“オールブラックス”に挑み、歴史的初勝利に迫る奮闘を見せたが、31-38で惜しくも敗れた。

 2019年のラグビーワールドカップ日本大会を除く国内開催の日本代表戦で歴代最多入場者数を更新した注目の一戦で、日本は序盤からアグレッシブだった。リーチ マイケルなどが果敢にチャレンジして、世界最強とも呼ばれる黒衣軍にプレッシャーをかけた。

 しかし、先制したのはニュージーランドだった。前半11分、パワフルなランナーでもあるHOサミソニ・タウケイアホがタックルにいった日本のLOワーナー・ディアンズを弾き飛ばしてゲインし、サポートについたLOブロディー・レタリックがトライを挙げた。

 日本は19分にSO山沢拓也のペナルティゴール(PG)で3点を獲得。
 22分にはニュージーランドがキックを使ってCTBブレイドン・エノーがゴールラインを越えたが、WTB松島幸太朗らがからんでグラウンディングを許さなかった。

 その後も日本はWTBシオサイア・フィフィタが速い出足とパワーで相手にプレッシャーをかけるなど、ディフェンスで奮闘する。しかし、ニュージーランドは26分、オフロードの連続でボールをつなぎ、エノーがインゴールに持ち込み追加点。32分にはラインアウトでロングスローからのサインプレーを決めて連続トライとなった。

 それでも勇敢な日本は食らいつき、36分、自陣深くのブレイクダウンでFL姫野和樹がジャッカルに成功すると、ボールをつないで攻め上がり、キック&チェイスでプレッシャーをかけ、SO山沢が足技も使ってトライを決めた。山沢は厳しい角度からのコンバージョンも成功。

 活気づいた日本は、40分には根気よくアタックを継続し、左外でボールをキープしたCTBディラン・ライリーがゲインで内に切り込んでSH流大につなぎ、連続トライ。満員の国立競技場を沸かせ、ゴールキックも成功で17-21と4点差に詰めて折り返した。

 しかし、後半先に得点したのはニュージーランドで、42分(後半2分)、WTBケイリブ・クラークが2つのタックルを振り切ってインゴールに持ち込んだ。

 それでも、日本は54分に姫野のジャッカルでピンチを脱出すると、56分にはニュージーランド出身で桜のジャージーを着た20歳の長身LOディアンズがキックチャージから約40メートル走り切り、流れを変えた。

 その後、ニュージーランドが再び点差を広げたものの、66分、LOレタリックが危険なプレーで一発退場となり、ゲームはわからなくなった。

 数的有利となった日本は、74分のチャンスは逃したものの、79分に再びゴールに迫り、FL姫野がピック&ゴーで執念のトライ。SO李承信のコンバージョン成功で4点差に詰めた。

 そして、逆転をあきらめない日本はラストアタックで12フェイズ重ねたが、黒衣の21番をつけたアーロン・スミスがブレイクダウンでからんで日本の反則を引き出し、最後はSOリッチー・モウンガがPGで締めくくり、激闘はノーサイドとなった。

 オールブラックスのサム・ケイン主将は、「予想通り厳しい試合になった。日本は高いスキルを持っていた。ラインアウト、ブレイクダウンでプレッシャーを受けた。ただ、さまざまな状況で落ち着いてプレーできたので勝てた」と激闘を振り返る。

 日本代表主将の坂手淳史は、「点差を離されそうになった時、声援に励まされた。コネクションを保ち続けて戦えた」とコメントし、惜敗をかみしめていた。

 日本はこのあとヨーロッパへ遠征し、来年のワールドカップでも対戦するイングランド代表(世界ランキング5位)とロンドンで現地時間11月12日に前哨戦をおこない、20日にはトゥールーズで世界ランキング2位のフランス代表に挑む。

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