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「テレビ観戦予定だった」セブンズ代表のグリゼ、女子W杯開幕戦で先発。

2022.10.06

9月のワールドカップセブンズでのジョアンナ・グリゼ。(Getty Images)



 今週土曜日(10月8日)、ラグビーワールドカップ2021(女子/以下、RWC2021)が開幕する。
 大会初日の舞台はオークランドのイーデンパーク、南アフリカ×フランスで戦いの幕が開く。

 近年のフランスの女子ラグビーの人気は上昇傾向でプレー人口も増加している。
 代表チームの昨年の11月のテストマッチでは南アフリカに46-3で勝利した後、NZと2度対戦し2度とも勝利を収めた(38-13、29-7)。

 今年の春に行われたシックスネーションズでも男子に続いて全勝優勝を目指していた。
 大会最終日、フランスのバイヨンヌで行われたイングランド戦。チケットは完売、スタンドは1万1000の観客で埋め尽くされた。

 当日は20年前に初めて全勝優勝を成し遂げた女子フランス代表チームのメンバーも応援に駆けつけ、祝祭のお膳立ては整っていた。
 しかし、現在世界ランキング1位のイングランドとの力の差を見せつけられる結果となってしまい(12-24)、大会を2位で終えた。

 その2週間後、コーチ陣の変更が発表された。大会5か月前である。
 この件についてキャプテンのガエル・エルメ(26歳、45キャップ)は「大会前にスタッフが変わることは簡単なことではない。このことについてはスタッフと話し合って、すでに切り替えた。悩んでいる時間はない」と現地メディアに話している。

 新たなスタッフで7月から6週間の準備合宿が行われ、男子代表チームのカリム・ゲザルFWコーチやウィリアム・セルヴァット スクラムコーチも指導に駆けつけた。
 その成果を確認するため、8月末にイタリアと2度の準備試合が行われた。

 3月のシックスネーションズではイタリアに39-6で勝利している。しかし1戦目は前半20分で3トライしたものの、その後は得点することができず21-0で終わった。
 2試合目は開始20分で2トライした後はイタリアの猛攻を受け、また敵陣に入ってはミスを繰り返し19-26で敗れ、後味の悪い結果となってしまった。

 その2週間後、RWC2021スコッドの32名が発表された。
 12人が10キャップ以下、そのうち6人が5キャップに満たない。2人はイタリアとの準備試合で代表デビューをしたところだ。
 若さと複数のポジションをカバーできるユーティリティープレイヤーを優先したセレクションとなった。

 最大のサプライズは、7人制フランス代表のジョアンナ・グリゼ(26歳)のメンバー入りだ。
 南アフリカでおこなわれたばかりのワールドカップセブンズに参加していたグリゼは、フィジーとの準々決勝で残り50秒で14-14に追いつかれた後、ファイナルプレーでチームを準決勝に導くトライを決めた(29-7)。自陣22メートルでパスを受け取るとディフェンスを抜き、そのままグラウンドを駆け抜けた。
 チームは準決勝でNZに敗れるも、3位決定戦でアメリカに29-7で勝った。銅メダルを獲得する立役者となった。

 グリゼの選考について、「彼女は比類なきフィニッシャーだ。また多大なエネルギーをチームに与える。フィジカルでアグレッシブ、小さなスペースにも強く、空中戦も得意。W杯に向けてチームのプレーを進化させていくために重要」とトマ・ダラク ヘッドコーチは説明している。

 グリゼは19歳でラグビーを始めた。2018年から7人制代表として活動している。
 昨年の東京オリンピックは不運だった。事前合宿のために来日も、怪我の回復が間に合わずオリンピックに参加することなく帰国した。

 その直後、自身のインスタグラムに「とても残念。今年のオリンピックの夢は叶わなかった。3か月間負傷と戦ってきたけど間に合わなかった。受け入れ、新たな目標に向かうしかない。来年のW杯と2024年のパリ五輪に照準を合わせる」と投稿していた。
 今回のRWC2021参加は想定外だったようだ。実際本人も、「7人制に集中していたから夢にも見ていなかった。テレビで観戦するつもりだったのに」と驚きを隠さない。

 開幕戦の南アフリカ戦のメンバーが発表された。
 グリゼは背番号14をつけて試合をスタートする。15人制代表初キャップだ。

 ダラクHCの賭けは吉と出るか。
 フランスは過去8大会中、3位が6度。今回こそ決勝進出を果たしたい。そして優勝し、カップを持ち帰りたいところ。
 プールステージでは、南アフリカに続いて、宿敵イングランド、そしてフィジーと戦う。

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