ラグビーリパブリック

「秋のテストマッチはW杯決勝ステージに似ている」(フランス代表 ファビアン・ガルチエHC)

2022.09.08

7月、日本ツアー時のフィビアン・ガルチエHC(左)。(撮影/松本かおり)



 9月3日、トップ14が開幕しフランスの新しいラグビーシーズンが本格的に始まった。自国開催のワールドカップ(以下、W 杯)を1年後に控え、フランス代表ヘッドコーチ(以下、HC)のファビアン・ガルチエが現地ラグビー紙『ミディ・オランピック』のインタビューに応じた。

 代表チームの強化の現状について問われると、「就任時に立てた『勝つチームになる、タイトルを獲得する、世界ランキング3位以内に入る』の3つの目標はいずれも達成できた。さらに代表チームは現在10連勝中だ。こちらもチャレンジしがいがある」と答えた。

 国内リーグのスケジュールと重なり、主力選手を招集できない時期もあったが、「早い段階で『プレミアム』と『ディベロップメント』の2チームで強化を進めていく方針をとることで対応できた」と述べた。

『プレミアム』チームは、11月のテストマッチからシックスネーションズを戦う。『ディベロップメント』チームは、試合でのプレー時間が少ない選手や、負傷から復帰した選手、また若いポテンシャルのある選手のためのインキュベーター(育成の場)の役割を果たしている。

「現在、『プレミアム』チームでは、各ポジションに2人ずつ選手がいて、さらに3番手から5番手までランクができている」と言うところからも選手層の深さがうかがえる。

「就任から現在まで合宿に招集した選手は120人になり、多くのデータからベストな選手を見極めることができる。まだ試合出場の機会がない選手も、代表チームの合宿を体験することで何を求められるのかを理解したはず。もちろん来年のW杯を目標にしているが、フランス代表チームは2023年で終わりではない、その後も続く。中期的なビジョンで強化を進めている」と2023年以降も見据えている。

 いま気になるのは負傷者が多いことだという。今年のシックスネーションで優勝したメンバーの多くが現在負傷してグラウンドから離れている。
 PRシリル・バイユ、PRデンバ・バンバは11月のテストマッチには参加できない。昨季終盤に負傷したFLフランソワ・クロス、LOポール・ヴィレムセ、WTBギャバン・ヴィリエールもトップ14の開幕戦には間に合わなかった。
 プレシーズンマッチで負傷したCTBガエル・フィクーも復帰まで1か月はかかると言われている。

 また、代表チームの主力選手はクラブでも貴重な戦力だ。毎週連戦して年間30試合を超えるハードスケジュールを例年通りこなすと、今年の夏のように疲労が蓄積してベストな状態でW杯に臨めなくなるだろう。

「主力選手のコンディションを維持するためにトップ14でのプレー時間を制限することはできないが、データにより負傷やパフォーマンス不良のリスクが高くなる時期がわかる。各クラブのHCと話し合って協働していく」とガルチエHCは言う。

 この件については、多くの代表選手を抱えるトゥールーズのユーゴ・モラHCが先週の記者会見で、「代表チームのスタッフと選手を交えて話し合った結果、ある一定の期間は選手をローテーションさせることになった」と述べていた。

 気になる11月のテストマッチは、「『プレミアム』チームにとっては3月末のシックスネーションズ最終戦の後初めての試合だ。2週間の準備で7か月のブランクをいかに埋めるかがチャレンジになる。オーストラリア、南アフリカ、日本との3戦、W杯の決勝ステージに似ており。そのように捉えて取り組む」とレ・ブルーの名将は、新しいシーズンへの意気込みを見せた。


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