7月2日におこなわれる日本×フランスの第1テストマッチ。6月30日には、フランスチームのメンバー発表があった。
フロントローのジャン=バティスト・グロ、ペアト・モヴァカ、デンバ・バンバは、普段はベンチスタートが多い選手たちだ。しかし3人ともパワーがあり、さらに動ける。
LOのトマ・ジョルメスとNO8のヨアン・タンガが先発では初キャップとなる。
HB団にはマキシム・リュキュとマチュー・ジャリベールのボルドーコンビが並ぶ。ジャリベールにとっては11月のニュージーランド戦以来の復帰。
キャプテンを務めるのは、負傷から復帰したFLシャルル・オリヴォンだ。
メンバー発表記者会見で質問に答えたファビアン・ガルチエ監督の言葉を紹介する。
Q.シャルル・オリヴォンの復帰について教えてください。
「彼はバーバリアンズのキャプテンとして、モナコ(でのキャンプ)から帰ってきました。あらゆる能力が以前のレベルに戻っています。春に所属クラブのトゥーロンで復帰して以来、同クラブでの試合に全て出場し、トゥーロンが再び競争力のあるチームになるのに貢献した選手のひとりです。膝の前十字靭帯の手術をしてから1年強、通常より短い期間で回復した。フレッシュで、戦う準備ができている。こうしてここにいられることを幸せだと感じています。(パフォーマンスの高さは)バーバリアンズでのイングランド戦ですでに証明しました」
Q.この試合で初キャップとなるLOトマ・ジョルメスを選考した理由は?
「右LOをフランスに残してきました。ポール・ヴィレムセは右膝靭帯の手術をして療養中です。ロマン・タオフィフェヌアも休養しています。右LOを探す機会です。トジョルメスはボルドーで、シーズンを通じて好調で、良いパフォーマンスをしていました。そして、(今回は)練習を見てチームの構成を考えました。そうすることにより、まだ知らない選手を注意して見ることができます。2週間の合宿で、彼の動き、プレーを見ました。的確で落ち着いてプレーしていました。それが、彼を選んでチボー・フラマンと組ませる理由です。この冬にも召集しましたが、そのときはハムストリングの負傷で実現しませんでした」
Q.もう1人の初キャップ、NO8のヨアン・タンガについては。
「ラシンでとても良いシーズンでした。この冬に(合宿に招集する)42人のメンバーに選びましたが負傷しました。かなり深い切り傷で、その後の練習を続けられなくなりました。しかし今回、バーバリアンズで選考することができた。そこで我々のトレーニングメソッドの新しいバージョンをテストしました。ヨアンは1週間を通じて、とてもレベルが高かった。特にバーバリアンズの試合で、私たちのチームは40分以上14人だったにもかかわらず、NO8のポジションで80分間とても高いレベルの試合をしました。その勢いに乗って試合に出続ける価値のある選手です」
Q.マチュー・ジャリベールも復帰します。
「競技にとても飢えています。彼はコンペティターです。負傷が多く、彼には難しいシーズンでした。心理的に本当に難しかったでしょう。昨季は40試合連続でプレーして何事も起こりませんでした。しかしまだ若いとはいえ、そのような連戦を続けると、いつか代償を払うことになる。彼自身も何が起こったのかわからなかったでしょう。(そこから)調子を戻してきています。フレッシュで、フランス代表でプレーしたい意欲がある。彼も、土曜日にチャレンジに挑めることを幸せに感じている選手のひとりです」
Q.この日本遠征は、来年のワールドカップで怪我人が出た場合に召集できる選手を選ぶ場でもありますか?
「昨夏のオーストラリア遠征と同様、ラボラトリーです。思い切った選択をしました。つまり、昨年、そして今年も、スケジュールや選手のリズムを考慮して、フレッシュでメンタルもフィジカルも遠征に参加できる状態で、私たちが作成しているポジションごとのランキングの上位の選手を選びました。この遠征はインキュベーター(孵卵器、保育器)です。トップ14の選手だけでなく、ProD2(2部リーグ)やフランスU20代表にも選手を探しに行きました。バーバリアンズの練習にはU20代表も参加していたので、今回の42名のリストに入ることができる選手を幅広く見ることができました。ここにいる選手ちは、身体的にも心理的にもフレッシュです。長いシーズンを終えた後、バーバリアンズから参加している選手は4週間、それ以外の選手は3週間の延長にも応じられた選手たちです」
Q.連勝記録(2日の試合に勝てば9連勝でフランス代表の新記録)を更新することは重要ですか?
「確かにそれは事実ですが、(選手たちに)その話はしていません。パフォーマンスを良くする努力、グループを良くする努力をしています。記録更新という重荷を増やすのは本題から逸れることになります。すべての選手が、目の前の機会を勝ち取りたい、チャンスを掴み取りたいと思っている。飢えた選手の飢えたチームなのです。(代表選出の)ランキングに入るため、ランキングで上に上がるため試合をしたい選手ばかりです。『ロッカールームに入るのは君たちだ』、『このジャージーを手に入れるのは君たちだ。スタッフは最良のフランス代表チームを作り上げ、最高の準備をするためにいる。君たちの道、経歴、運命を書いていくのは君たち自身だ』と選手には言っています。シーズンの終わりですが、とてもハングリーな選手のチームで、それはなぜなのか全員が理解しています」
Q.日本代表のジェイミー・ジョセフHCは、「できるだけ長い時間、ボールインプレーを増やす」と言っていました。おそらくフランスチームを疲れさせるためだと思われます。どのように対応しますか?
「ボールインプレーが長いのは彼らのDNAの一部です。対戦相手として研究している途中に気づいたことです。アタックはレベルが高く、動きのあるプレーをします。ウルグアイとの2試合では、それまで日本について研究していたことが出てきませんでした。戦術を変えてプレーしていました。なので複数のシナリオを準備しなければなりません。さらに日本はディフェンスのレベルが高く、特にラックに力がある。ボールを持っていても、持っていなくてもレベルが高い。どういうプレーをしてくるのか見てみます。暑さ、湿気などの気候条件は、もう1人の選手です。考慮しなければなりません」
「日本はこの気候条件でプレーすることに慣れています。彼らはこの気候条件で3週間合宿をして一緒に練習していると聞いています。私たちもここ(日本)で4回の練習をしていますが、パフォーマンススタッフが脱水症対策をしています。トレーニングを終えると、選手は3.5リットルの水分を失っています。試合の3分の2に該当するボリュームですが、3.5リットルの水を失うと、認識能力に影響を及ぼし、技術的なパフォーマンス、心理的なパフォーマンス、思考、戦術などに影響が出てくる。これもゲームの一部となる。より影響を受けるのはどちらのチームになるか、これも戦術のポイントになるでしょう。プレーの形態にも影響します」
Q.日本のキャプテンだったリーチ・マイケルについてどう思いますか?
「まず日本には、シンボルということを大切にする文化がある。代表チームのキャプテンだったということは、彼自身がチームの価値観を体現し、闘争心、献身、自己犠牲の模範を示す人物だったということでしょう。日本の文化やこの国のラグビー選手の教育のことも知っていますが、『全てはチームのために』というカルチャーが日本にはある。彼はそのイメージの模範となっているのだと思います」
◆フランス代表 2022年7月2日 試合登録メンバー(写真をクリックすると大きなデータで見ることができます)