ラグビーリパブリック

韓国代表来日。「セットピース強化」を在日選抜チームと合同練習で積み上げる。

2022.06.17

6月17日、韓国代表(赤)と在日選抜チーム(青)が合同練習を実施(撮影:見明亨徳)


 「2022 アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)第1戦」(6月4日、韓国・仁川市南洞アジアドラグビー場)で韓国代表が55-10でマレーシア代表を下した。次戦、7月9日はホームに香港代表を招き決勝戦を戦う。勝者はアジア代表としてラグビーワールドカップ2023予選のアジア・パシフィックプレーオフでトンガ代表と戦う。

 韓国は香港戦に向けて強化の地に日本を選んだ。6月15日に来日し、さっそく首都圏にあるNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安のグラウンドで軽く汗を流した。20日までの滞在中、在日選抜チームと合同練習をおこなう。在日選抜チームはリーグワン所属選手で構成されており、大阪朝鮮高出身者が主力となる。

来日した韓国代表。初日はシャイニングアークス東京ベイ浦安のグラウンドで軽めの調整(撮影:見明亨徳)

 来日した韓国チームは選手23名、呉英吉(オ・ヨンギル)コーチ(元大阪朝鮮高監督)、朴淳彩(パク・スンチェ)FWコーチ(元NTTドコモレッドハリケーンズ)、李明根(イ・ミョングン)BKコーチ(元クボタスピアーズ)、S&Cコーチに元NECグリーンロケッツの南暢洙(ナム・チャンス)氏ら。韓国ではワールドカップ・セブンズを控える7人制代表の強化練習も始めたので、チャールズ・ロウ監督(前流経大コーチ)、マレーシア戦主将のWTB金グァンミン(韓国電力)、CTB金ヒョンス(韓国電力)、7人制主将・朴ワンヨン(韓国電力)らは韓国にとどまった。

練習を見守る呉英吉コーチ(写真右)と李明根BKコーチ(撮影:見明亨徳)

 初日は、午後3時から小雨降る中、2グループに分かれてのタッチラグビーから始め、ショートパスの基本動作の確認。さらにFW、BKに分かれてFWはラインアウトから素早くボールを出すプレー。BKはサインプレーの確認を繰り返していた。

 FWには、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの今季3位に貢献したPR羅官榮(ナ・グァンヨン)、元NECのHO康太見(カン・テヒョン)などがおり、BKではシャイニングアークス東京ベイ浦安を退団したばかりのWTB張容興(チャン・ヨンフン)、元日野レッドドルフィンズのWTB/FB鄭演植(チョン・ヨンシク)、元NECのSH李明俊(イ・ミョンジュン)らも元気な姿を見せていた。

「セットピース強化」とノ・オクギ主将(撮影:見明亨徳)

 チーム主将を務めるFLノ・オクギ(韓国電力)は「マレーシア戦は3年ぶりの試合だったので前半、スクラムが良くなかった。後半になるにしたがって修正できた。韓国内では練習相手がいないので在日チーム相手にスクラム、ラインアウトなどセットピースの精度をあげることに取り組みたい。香港戦はセットピースからフォワードが一丸となって進めていきたい」と意気込みを話してくれた。

 在日選手で韓国代表チームに招集されたNTTドコモレッドハリケーンズ大阪所属のCTB金勇輝(キム・ヨンヒ)は、「ワールドカップにつながる戦いになる。ぜひ勝ちたい」とフランスの舞台を見据える。マツダスカイアクティブズ広島所属で2016年代表に選ばれキャップ3を持つCTB李修平(イ・スピョン)は「在日として韓国ラグビーに貢献する」。

 チームを率いる呉コーチは、香港戦はスクラムが鍵という。今回の来日した意義をあげた。
「大韓ラグビー協会、在日ラグビー協会、日本ラグビー協会のサポートが整った。ぜひこの機会を選手の成長に活かしたい。マインドの部分など含め香港に勝つ準備をしたい。朴FWコーチ、李BKコーチはトップリーグの経験が長い。朴コーチはLO、FLに必要なことを言語化して伝えてくれる。李コーチとも若手とベテランの間に入って指導できる。今後、若いコーチ陣を育成していくのも大切」

朴淳彩FWコーチ(写真右)は「必要なプレーを言語化できる」(撮影:見明亨徳)

 16日から、韓国代表には臨時で3人のコーチが付いた。
 FWは日野レッドドルフィンズHCの箕内拓郎氏が指導してくれることになり、17日朝の練習ではラックの2人目の入り方、肩の使い方などを教えていた。
 スクラムは三菱重工相模原ダイナボアーズの成昂徳氏が担当し、マシンも利用して姿勢を丁寧に指導。「韓国選手の体格はいい。教えることをすぐに吸収してくれる」と成コーチ。
 BKはクボタスピアーズ3強入りの立役者でもある田邉淳コーチが指導し、ディフェンスを入れSHからボールを受けた時の次のパスのタイミング、抜き方を実際に見せながら教えた。「ポテンシャルは高い。決して日本のチームに来てプレーできないわけではない」と言う。

箕内拓郎氏(中央の青い服)が韓国代表の臨時コーチを務めた(撮影:見明亨徳)
成昂徳氏(緑のシャツ)がスクラムを指導(撮影:見明亨徳)
田邉淳氏(中央の青い服)も韓国代表にアドバイスを送った(撮影:見明亨徳)

 17日午後からは在日選抜チームと合同練習を実施。15人制でアタック・ディフェンスを交互に繰り返した。練習後、韓国代表WTB鄭演植は「韓国ではこのような相手のいる練習をすることができないので大変助かります」と話した。

 18日も17日と同じように合同練習をする予定。そして、19日は午後1時30分から在日選抜チームと試合形式に近い合同練習をおこない、20日に帰国する。

元日野WTB鄭演植から元NEC李明俊へパス(撮影:見明亨徳)
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