6月11日に秩父宮ラグビー場でおこなわれるチャリティーマッチでTONGA SAMURAI XV(トンガサムライフィフティーン)と対戦する、EMERGING BLOSSOMS(エマージング ブロッサムズ)のメンバーが発表された。エマージング ブロッサムズは日本代表候補となるNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)のメンバーで編成された。
エマージング ブロッサムズを率いる堀川隆延ヘッドコーチ(HC)いわく、日本代表のジェイミー・ジョセフHCとコミュニケーションをとりながら、「いまいちばん日本代表に近い選手をスタートメンバーに選びました。リザーブは、次のレベルに来る選手たち」。
先発には、ワールドカップ経験者でもあるSO田村優、CTBの立川理道、ラファエレ ティモシー、LOヴィンピー・ファンデルヴァルトなどが名を連ね、リーグワン新人賞のWTB根塚洸雅ら若手も選ばれている。
FL德永祥尭はけがのため合宿に参加しておらず、今回の試合メンバーには入っていない。
6月3日から大分県別府市で合宿をおこなってきたNDSは、『GRIT(グリット=やり抜く力)』という言葉をスローガンに掲げている。「日本代表を目指していく、チャレンジしていく、成長するグロースマインドを持って、代表がやろうとしていることを一人ひとりがやりきる、ということに尽きると思います」と堀川HC。そのなかで自分の個性もしっかり出し、最大限のパフォーマンスを発揮することを期待する。
そして今度の試合は、1月に発生した海底火山の大規模な噴火によって甚大な被害を受けたトンガ王国に対し、復興支援を目的としたチャリティーマッチであり、ラグビーにおいてトンガと日本は昔から結びつきが強く、これまで多くのトンガ出身選手が日本代表として活躍した歴史もあり、堀川HCは「トンガサムライの選手たちとの対戦には敬意をもって戦っていきたいと思います」とコメントした。
キャプテンを務めるのは田村優。日本代表として68キャップを持つ経験豊富な33歳は、今夏は宮崎で合宿中の日本代表ではなくNDSでの始動となったが、「どこからスタートするにせよ、大きなゴールがあるわけで、まずはこのチームでできるというのが貴重な経験だと思います」と語る。
トンガサムライフィフティーン戦と6月18日のウルグアイ代表戦(第1戦)はNDSのメンバーを中心に臨み、そこから数人を日本代表にピックアップして7月のフランス代表戦などを見据えるスコッドに加える可能性があるが、田村は「まずは2週間、このチームにフルコミットで、僕の持っているものを全部出す。体がどうなろうと全部出しきろうということだけですね、僕は」と述べ、目の前のことに集中する。
NDSでスタートとなった田村だが、2015年のワールドカップなどでともに戦った立川理道らと再び一緒にプレーをするのが楽しいようで、「安心感がありますね。特にハルと一緒にやるのは久しぶりだし、嬉しいですね。久しぶりにラグビーを楽しめている。それだけでもこの合宿に参加させてもらっている意味があるかなと思います」と語った。
NDSにはフレッシュなメンバーも多く、東京サントリーサンゴリアスで活躍して招集されたLO辻雄康も注目株のひとりだ。「呼んでいただけたことに感謝しています。代表メンバーになれるように、自分としては一歩ずつ積み重ねてきたことが評価されたんじゃないかと感じています」と言う辻。フィジカルの強さがフィーチャーされがちだが、その強みもしっかり伸ばしながら、ブレイクダウンの寄りやリリースなど細かいプレーも意識して取り組み、成長してきた。念願の日本代表に近づき、当然、来年のワールドカップも目指している。「先発に選んでいただいたのは嬉しいし、自分にとってチャンスだと感じています。いいパフォーマンスをすることだけ。目の前にあることに対して100%で取り組み、結果を残せるようにチャレンジしていきたいです」
そして、追加招集でNDS入りした21歳のメイン平もリザーブとしてトンガサムライフィフティーンに挑むチャンスを与えられた。「将来は15番を背負える選手になりたい」というメインだが、WTBとしても期待されている。
堀川HCはメインについて、「すばらしいポテンシャルを持った、将来有望な選手」と評価。本人はリーグワンでのプレーを振り返り、「日本代表に入れるほどのパフォーマンスをしてないなと思っていたので、追加招集で呼ばれたときはビックリしました」とのことで、いまは日本代表にチャレンジするというより、「NDSでどれだけ自分の力を発揮できるかということにフォーカスしています。そのあとに結果はついてくると思うので、自分がいまできることをしっかり頑張りたいです」と語った。
<EMERGING BLOSSOMS 試合登録メンバー>
※ capは日本代表キャップ数
1.三浦 昌悟(トヨタヴェルブリッツ/7 caps)
2.堀越 康介(東京サントリーサンゴリアス/4 caps)
3.淺岡 俊亮(トヨタヴェルブリッツ/―)
4.ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪/18 caps)
5.辻 雄康(東京サントリーサンゴリアス/―)
6.シオネ・ラベマイ(東芝ブレイブルーパス東京/―)
7.嶋田 直人(横浜キヤノンイーグルス/―)
8.セル ホゼ(花園近鉄ライナーズ/―)
9.茂野 海人(トヨタヴェルブリッツ/13 caps)
10.田村 優(主将/横浜キヤノンイーグルス/68 caps)
11.根塚 洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/―)
12.立川 理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/55 caps)
13.ラファエレ ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ/27 caps)
14.竹山 晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ/―)
15.尾崎 晟也(東京サントリーサンゴリアス/3 caps)
〔リザーブ〕
16.中村 駿太(東京サントリーサンゴリアス/―)
17.海士 広大(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/―)
18.津嘉山 廉人(横浜キヤノンイーグルス/―)
19.秋山 大地(トヨタヴェルブリッツ/―)
20.大戸 裕矢(静岡ブルーレヴズ/4 caps)
21.飯野 晃司(東京サントリーサンゴリアス/―)
22.テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス/9 caps)
23.小山 大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ/―)
24.メイン 平(リコーブラックラムズ東京/―)
25.テアウパ シオネ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/3 caps)