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流経大柏が12年ぶりに優勝。各ブロック決勝戦をリポート【関東高校大会】

2022.06.06

12年ぶりの優勝に、笑顔の流経大柏(撮影:福島宏治)

 関東1都7県の上位校が集い7ブロックに分かれて戦う、関東高校大会の決勝および3位決定戦が6月6日に山梨・富士北麓公園陸上競技場・球技場で行われた(25分ハーフ)。

 最上位のAブロック決勝では、1回戦で昨季花園準優勝の國學院栃木を倒した流経大柏と、同校初のAブロックで戦った東海大相模が対戦。流経大柏が持ち前のフィジカルとスピードで東海大相模の堅守をこじ開け、前半だけで4連続トライ。36-14で完勝、12年ぶりの優勝だった。

 ここでは陸上競技場で行われた各ブロック決勝7試合と、球技場で行われたAブロックの3位決定戦の模様をショートリポートと写真でお届けする。

◆1回戦の模様はこちら

PHOTOS:福島宏治

富士山のふもと、富士北麓公園でおこなわれた

Gブロック決勝
明大中野 29-0 東海大浦安

 明大中野が初出場の東海大浦安を完封した。先制トライは2分、反則から速攻をしかけたSH平将輝③がインゴールに入った。その後も、ミスこそ連発したがトライを重ねた。15分にはFB田中翼③の突破からNO8川島寛太③がトライ。機動力の高いPR井川経音③ら、パワフルなゲインが光った。29-0とした後半5分からは東海大浦安のペース。CTB南端陽馬③のタックルなど、ディフェンスからチャンスを作り、何度も相手ゴール前まで迫ったが、最後はノックオンなど反則に終わった。

明大中野
東海大浦安

Fブロック決勝
早稲田実 26-5 東海大甲府

 前半は拮抗した展開、互いに敵陣深くまで攻めるもミスが重なった。先制トライは20分。早稲田実がゴール前のスクラムからFB池本晴人③が個人技でゴールラインを越えた。後半は一転、スコアが動く。早実がSH平塚英一朗③、SO山口滉太郎➀を起点に3連続トライを奪った。早実は結果的に快勝も、試合終了間際に自分たちのミスからトライ(FB古屋蒼太③)を奪われただけに、大谷寛監督は「春シーズンの終わり方がこれでいいのか」と厳しかった。早実は春の都大会で東京に6―12の僅差で敗戦。その東京は準決勝で目黒学院と0-0。國學院久我山を先頭に、2位以下は拮抗している。

早稲田実
東海大甲府

Eブロック決勝
法政二 17-0 明和県央

 18年ぶりに関東大会出場の法政二が、前後半通して堅守を貫いた。立ち上がりから明和県央に自陣深くまで攻め込まれる展開も、好ディフェンスでスコアさせなかった。逆に前半12分、こぼれ球を蹴り出し一気に敵陣へ。5㍍スクラムから最後はHO花澤祐太②が押し込んだ。直後の16分には連続攻撃からFL前田祥吾③がトライ。12-0としてからも、163㌢の小兵WTB・高橋駿介③が好タックルを連発し(後半11分にはトライも挙げた)、ゴール前でのモールディフェンスも冴え、最後までリードを守り切った。

法政二
明和県央

Dブロック決勝
目黒学院 45-0 日大明誠

 目黒学院の竹内圭介監督が「夢の対決」と表現したこの一戦。実は目黒学院と日大明誠は、日大明誠が合同チームだった10年近く前から合同練習、練習試合をする仲だった。現在も春夏は合同で合宿をおこない、多い時は月に3度、練習試合をおこなう間柄だ。試合は体格が一回り大きい目黒が7トライ0封と圧倒も、明誠は一つひとつのトライを簡単には取らせなかった。NO8イライシア・サーフらフィジカルの強い選手にもしつこくタックルに入り、ゲインされても突破は許さなかった。

目黒学院
日大明誠

Cブロック決勝
桐蔭学園 33-0 東京

 東京2位の東京高校が桐蔭学園にチャレンジ。序盤は身上の詰めのディフェンスがさく裂し、両WTB(足立英都③、永井主樹②)のタックルが光った。「それでも(桐蔭の選手たちは)ボールを落としたり、簡単に倒れたりはしなかったですよね。さすがです」と森秀胤監督。FB山田健太②のキックなどで何度か好機を作ったが、ゴールラインを割ることはできなかった。一方、先発の3年生は5人だけ(リザーブも3人)と若いメンバーを起用した桐蔭学園は、SH後藤快斗・SO丹羽雄丸の1年生HB団を中心にアタックを展開。5トライを奪って快勝した。

桐蔭学園
昌平

Bブロック決勝
茗溪学園 63-5 日川

 茗溪学園が9トライを奪って大勝した。田村優太郎②、網田優作③のCTB陣が幾度もラインブレイク、SO岡本泰一は50/22キックを決めるなど、自陣からアグレッシブなアタックでトライまでつなげた。セブンズユースアカデミー生のWTB森尾大悟②は2トライの活躍。FWもモールで2トライを挙げ、後半8分のWTB森尾のトライは敵陣22㍍線でのラインアウトスチールが起点になった。「ただ、昨日と同じで最初に取られたからね」と高橋健監督は試合の入り方を指摘。キックオフ直後に反則を取られ、BKでつないだ日川に先制トライを許していた(WTB初鹿野叶③のトライ)。

茗溪学園
日川

Aブロック3決
國學院栃木 21-7 國學院久我山

 互いに接点で逃げない國學院対決は、昨年全国準優勝の國學院栃木が制した。トライ数は3本-1本。栃木が3本連続で後半13分までに21-0とし、1本返されるもリードを守り勝ち切った。国栃の先制は、久我山にシンビンが出たあとの前半19分。「あのスクラムは大きかった」と両チーム関係者が振り返るスクラムで国栃が久我山を押し込んだ。国栃は相手陣でターンオーバーから怒涛のアタック。さらにペナルティのアドバンテージを握りながら攻め、SO伊藤龍之介主将③の高速ロングパスでCTB山田壮③を右端に滑り込ませた(山田は昨年はFLで先発起用)。執拗にスクラムで攻め立てた国栃ががっちりと主導権を握った。後半8分にはじわじわ時間を使いながら攻める国栃が、ラインアウトモールから一転、SO伊藤を走らせてFB福田正武②がトライ、14-0に。後半13分はラインアウトモールから文句なしのトライを奪って21-0と突き放し、勝利を手繰り寄せた。

國學院栃木
國學院久我山

Aブロック決勝
流経大柏 36-14 東海大相模

 互いに1回戦で激闘を制した両チームだったが、この日は連戦の経験値も高い流経大柏がゲームをコントロールした。序盤こそPR野崎敬一朗②がラックにしつこく絡むなど、東海大相模が相手のアタックを乱したが、5分には流経大柏が22㍍線内モールからFL中川功己主将③がドライブして先制トライ。その後も、FL中川、CTB飯岡建人③らのゲインと2人目のサポートが冴え、確実に防御網を切り崩す。13分にはNO8小澤天③の突破をサポートしたFL中川が2トライ目(後半4分にハットトリック)。前半さらに2トライを挙げて大方、勝負が決まった。東海大相模は、前半終了間際にモールからFL金井悠隼③が、後半15分にSO野口柊③のショートパントからLO上村太陽主将③がそれぞれトライを奪うも、勝利を手繰り寄せることはできなかった。

流経大柏
東海大相模

3位決定戦結果一覧
Bブロック 桐生第一 10-5 昌平
Cブロック 川越東 40-0 専大松戸
Dブロック 慶應 29-7 熊谷工
Eブロック 成城学園 26-19 清真学園
Fブロック 深谷 46-7 佐野日大
Gブロック 勝田工 19-10 作新学院

桐生第一

※大会の詳細リポート、ピックアッププレイヤーなどは6月25日発売の8月号にて掲載予定