決してスマートな勝ち方ではなかった。
サクラフィフティーンが華やかでなく、泥臭くフィジー代表に勝った。
5月1日(日本時間14時キックオフ/豪州・ゴールドコースト)におこなわれた女子日本代表×女子フィジー代表のテストマッチは28-14。サクラのジャージーが逆転勝ちを手にした。
3試合(2テストマッチ)を含むオーストラリア遠征の初戦。好スタートを切った。
サクラフィフティーンは、先制を許した。
前半15分、スクラムから攻めたフィジーにボールを動かされてWTBユーニス・ベセにトライを取られる(Gも成功し0-7)。
30分にはキックを蹴り込んだ後にカウンター攻撃を受けてビッグゲインを許す。相手の得意とするサポートプレーを止め切れず、トライを奪われた(G成功で0-14)。
しかし、誰も下を向かず、慌てなかった。
PR南早紀主将が言う。
「接点でしっかり止めていたし、セットプレーも戦えていたので、やるべきことをやろうと確認しました」
前半36分、モールで圧力をかけて反則を誘い、PKで敵陣深くに入る。
ラインアウト後のモールを押し込み、最後はFL齊藤聖奈がインゴールに入った(G成功で7-14)。
前半終了間際にはPGチヤンスでもあったが勝負に出た。
PK→ラインアウト後のモールを押し込む。相手が乱れたところでSO今釘小町がインゴールにキックを転がす。
それをCTB古田真菜が押さえた。ゴールも決まり、14-14として前半を終えた。
ハーフタイムのロッカールームの空気について、南主将は「前半のラストプレーで自分たちを信じてトライを取れて凄くいい雰囲気でした。勢いが出た」と話した。
その言葉通り、後半はサクラフィフティーンが多くの時間を支配した。
南主将が「大きかった」というのが後半3分過ぎのフィジーボールのスクラムだ。日本のFWはサイズ、パワーでは劣るも、結束の固いパックで押し、反則を誘った。
直後のPK→ラインアウトからモールを押す。相手のあからさまな反則でペナルティトライを得て勝ち越した(21-14)。
追加点は35分まで待たなければいけなかったが、セットプレーで優位に立ち、低く、激しいタックルを繰り返してフィジーを苛立たせ続けた。
勝敗を決定づけたトライも、ラインアウトからのモールで前に出て決めた。
最後は途中から出場のNO8永井彩乃がトライラインを越えた(Gも決まり28-14)。
試合を終え、レスリー・マッケンジー ヘッドコーチは「やってきたことが結果にあらわれた。選手たちの遂行力が素晴らしかった」と笑顔を見せた。
南主将も同様に、「今回の遠征のテーマである、勝ち切るチームになる、を実現できて良かった」と微笑んだ。
残る2戦(オーストラリアンバーバリアンズ戦、オーストラリア代表戦)も、この80分のように無駄な失点をせず、粘り強く戦いたい。
アタックには改善の余地がある。掲げるスローガン、サクラウエーブのイメージで、豊富なフィットネスを活かした勢いある攻めを見せたい。