8万人の観衆を集めたスタット・ドゥ・フランスで、ホームの大声援を受けたフランスが25−13でイングランドを破り、2010年以来となるシックスネーションズ優勝を決めた。12年前の優勝時も全勝優勝を決めており、地元開催となる来年のワールドカップに向けてファンの期待も益々高まる。
試合は事前の予想通りキック合戦で幕を開け、フランスがFBメルヴィン・ジャミネのペナルティゴールで3−0と先制。14分、イングランド陣でボールを繋ぎ続けたフランスは、SOロマン・ンタマックのロングパスからCTBガエル・フィクーがトライを決め、8−0。19分には、イングランドのSOマーカス・スミスがペナルティを決め、8−3。
両チームともにややミスが目立つ展開だが、ラックから素早くボールを出し続けるフランスが試合を支配し続ける。ジャミネとスミスがそれぞれペナルティを決め11−6となって迎えた39分には、ンタマックがディフェンスを切り裂きながらもゴール前で仕留められ、ラックのボールを拾ってFLフランソワ・クロスがトライ。ゴールも決まり、18−6とフランスリードで試合は折り返しを迎える。
ハーフタイムでのエディー・ジョーンズ ヘッドコーチの檄が効いたのか、後半に入り顔つきの変わったイングランドは必死の反撃を開始する。47分、ラインアウトからCTBジョー・マーチャントがディフェンスを切り裂く。次のフェーズで上手く回し、FBフレディ・スチュアードがパワーでねじ込むトライ。ライン側からのゴールをスミスが決め、18−13。
だが、60分にはこの試合の大きな勝因の一つとなった素早いラックのリサイクルからSHアントワンヌ・デュポンが抜け出し、タックルを振り切りながら走り切ってトライ。素晴らしいレスポンスを見せたフランスはジャミネのゴールも決まり、25−13と引き離しにかかる。
この後、次々と交代のカードを切ったイングランドは死にもの狂いでフランスに襲いかかるが、この日は噛み合わなかった。大会を通じてどの相手にも一枚上手の輝きを見せたフランスが、全勝優勝で大会を締めくくった。
フランス代表のチームマネージャーを務めるラファエル・イバネス(元フランス代表HO/主将)は、「私たちはファンタスティックな選手たちに恵まれ、とても幸運です。さすがにイングランドは手強い相手でしたが、きょうは私たちの作戦が上手くいきました」と試合を振り返った。
イングランドのキャプテン、FLコートニー・ロウズは、「本当に残念だ。フィットネスでは勝てたと思うが、それを得点に繋げることができなかった。何が悪かったのか今は分からないが、この後しっかりと分析する。フランスを捕らえたと思えた時間帯もあったが、結局は捕らえきれなかった」と悔しそうな表情を見せた。
12年ぶりの優勝を、再びグランドスラムで決めたフランス。2020年、ファビアン・ガルティエ ヘッドコーチのもと、平均年齢24歳でスタートした若きレ・ブルーが、本当の輝きを放ち始めた。