8万人を超える大観衆をホームのトゥイッケナムに迎えたイングランドが23-19でウエールズを下し、2022年シックスネーションズの成績を2勝1敗とした。
昨年大会王者のウエールズは1勝2敗となり、優勝への現実的な望みが消えた。
前半の得点は、イングランドのマーカス・スミス(SO)の4本のペナルティゴールのみで12-0。表面上は地味なロースコアゲームに見えるが、各所で激しいバトルが繰り広げられた。
軽快なフットワークでディフェンスの僅かな隙間を走り抜け、絶妙のタイミングでボールを離すスミスのプレーは、ジョーンズ監督が掲げる「新しいイングランド」の武器の一つ。この試合で代表3キャップ目、初スタメンとなったハリー・ランダル(SH)とともにテンポが速く、ディフェンスを撹乱する動きで攻撃的な試合を展開する。
ウエールズは、この試合が代表50キャップ目となったアレックス・カスバート(WTB)のカウンターなど、果敢に走るプレーでイングランドを窮地に追い込む。
両チームともにハイリスク・ハイリターンのオフロードに挑み、その結果のノックオン、ターンオーバーと、攻守が目まぐるしく入れ替わった。しかし、なかなかトライまで繋がらなかった。
試合は後半に入り、ようやくトライが飛び交う展開となった。
42分、イングランドは敵陣ゴール前のラインアウトでの相手のミスからボールをキャッチしたアレックス・ドンブラント(NO8)がそのままゴールまで走り込んだ。17-0とリードを広げた。
しかしその後、反撃にあう。
53分、トモス・ウィリアムズ(SH)からのパスをライン際で受けたジョシュ・アダムス(WTB)にトライを許す。60分にはニック・トンプキンス(CTB)にディフェンスのギャップを突かれた(17-12)。
その後、2つのペナルティーゴールを確実にもPGで23-12と再び点差を広げるも、79分にはキアラン・ハーディー(SH)にトライを許し4点差に迫られた。
しかし結果的に、得点機会を確実にものにしたイングランドが勝利を手にした。
3トライを挙げたウエールズに対し、1トライで試合を勝ち切ったイングランド。しかし、その唯一のイングランドのトライについてウエールズのウェイン・ピバック監督は試合後の会見で、「微妙な判定」との意見を述べた。
ドンブラントのトライに繋がったラインアウトで、イングランドに反則があったという。
対するイングランドのエディー・ジョーンズ監督は、「今日の試合で微妙な判定があったとすれば、それは去年のお返しでしょう」と、昨年のウエールズ戦敗戦につながった明らかな誤審を例に出し、記者団を一蹴。
トライ数で負けようが、微妙な判定があろうが勝ちは勝ちと、この日の勝利に胸を張った。
この日、途中出場したベン・ヤングス(SH)はイングランドラグビー史上最高(男子)となる代表115キャップ目を獲得(これまではPRジェイソン・レナードのり114)。世代交代を迎える「新しいイングランド」にいながら、ベテランとしてまだまだチームに貢献できるプレーも見せた。
1敗をキープし優勝への望みを迎えたイングランドは、次節でアイルランドをホームのトゥイッケナムに迎える。