アズーリ(チームの愛称)の選手たち、コーチ陣、その他関係者が本気で頑張っているのは間違いないが、イタリアがまた負けてしまった。
ホームでイングランドに敗れたイタリアは大会34連敗と、更に記録を更新してしまった。半分の観客動員数が許可された競技場には約3万人の観衆が訪れたが、ワンサイドゲームに終わってしまった。
試合は序盤から激しい展開を見せる。
9分、イタリア陣でのラック連取からマックス・マリンズ(WTB)が内のサポートについたマーカス・スミス(SO)に返してトライ。ゴールも決まり0-7。スミスはSOとしてチームメイトにトライを取らせるプレーを頻発させながらも、自らもトライを取れるタイプの選手だ。
フランスにはアントワンヌ・デュポンという、SHながらチームのトライゲッターである選手がいて相手の脅威となっている。スミスも同様の存在だ。
その後19分、39分にジェイミー・ジョージ(HO)がトライを取り、0-21とイングランドリードで前半を折り返す。
ジョージの39分のトライのアシストをしたのは、SOさながらのロングパスを放ったエリス・ゲンジ(PR)。トライ後、嬉しそうな笑顔で肩を叩き合うこの二人には、「オープンプレーでも器用な一列」という共通点が見られる。
後半に入った44分には、イタリア陣ゴール前のラックからスミスの鋭いパスを受けたエリオット・デイリー(WTB)がコーナーにトライ。ゴールは外れたが0-26とイングランドがリードを広げ、4トライ目のボーナスポイントを獲得した。
イタリアも、この世代の天才としての期待を背負うパオロ・ガビリシ(SO・21歳)、若きキャプテンであるミケーレ・ラマノ(23歳・FL)がチームを引っ張りチャンスを作り出すが、最後の局面で得点に繋げることができない。
両軍ともに疲れの目立つ72分には、アンストラクチャーな状況からマリンズがディフェンスラインを破り、ゲンジに繋ぎトライ。0-33とし、キッチリと得失点差を稼いだ。
この試合、縦横無尽の活躍を見せてマン・オブ・ザ・マッチに輝いたSOスミス(22歳)は「今週の練習は本当にキツかった。スコットランド戦に負けたあといろいろと修正し、激しく汗をかいた。ハリー(・ランダル。SH。24歳)とは子供の頃から一緒にプレーしているし、今日は彼と一緒にプレーできて本当に楽しかった」
嬉しそうな笑顔を浮かべながらインタビューに答える若き司令塔は、この先も代表チームを引っ張っていくだろう。
イングランドのキャプテンを務めたトム・カリー(FL・23歳)は、「今日のBKラインは多くのオプションを持つ選手たちで構成されていた。マーカスだけでなく、ヘンリー(・スレイド。CTB)、エリオットなど的を絞りにくい選手たちのライン。FWも一体となって、イタリアが得意とする肉弾戦に正面から挑んでいくいいプレーが多く見られた。今日は、満足している」
エディ・ジョーンズ監督が“新しいイングランド”として掲げる新世代の選手たちが、先頭に立った試合だった。代表初キャプテンとして先週のスコットランド戦に敗れたカリーだが、この日は気持ちのいい試合だっただろう。
「我々は今日の試合はいいスタート切り、いいディフェンスをし、いい試合をすることができました。イタリアはタフな相手でした。マーカスだけでなく、ハリー、アレックス(ドンブランド。NO8)など、ファンタスティックなプレーを見せてくれました」
ジョーンズ監督は、2019年ワールドカップ決勝戦スタメン組の数人を容赦なくカットし、新しい世代で代表チームを作る仕事に取り組む。2023年に向け、新しいチームを組み立てるハードワークに勤しむ。
2戦2勝で首位のフランス、2戦2敗で最下位のイタリア、そして残りの4チームが1勝1敗で並ぶ今大会の行方は、最後までもつれるだろう。
初戦でスコットランドに敗れたイングランドはボーナスポイントと得失点差により、第2節を終えて2位の座に躍り出た。
来週、いよいよホームのトゥイッケナムにウェールズを迎えるイングランド。2022年シックスネーションズは、とにかくどの試合も目が離せない。