12月4日、秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦の最終節1試合が行われ、帝京大が慶大を64-14で破り、同グループ優勝を確定させた。帝京大はこの勝利で勝ち点5を獲得(3トライ差以上のボーナス1を含む)し、総勝ち点32に。明日対戦する明大、早大の総勝ち点がそれぞれ26、24であるため、優勝が決定した。慶大は同16で4位が確定した。
帝京大ゲームキャプテンを務めたFL上山黎哉は「大学選手権に向けて、いい試合になった」と引き締まった表情。主将のPR細木康太郎をケガで欠くメンバーでの、完勝だった。フィジカルの強さ、スキルの高さだけでなく、リーダーシップの面でも充実を感じさせる勝利だった。
前半はトライを互いに奪い合い、スコアは競った。
帝京大は開始1分にノーホイッスルのままチャンスメイク。FWラッシュなどではなく、FWを絡めたラインアタックで、FB二村莞司をインゴールに滑り込ませた。慶應もすぐに「相手反則→PKで敵陣ラインアウト→モール」の鉄板ルーティンを披露。きっちりとその機会を生かして連続トライを奪い(前半5分、18分)、帝京7-14慶應とリード。しかし帝京はここから前半、連続2本のトライで勝ち越す。21-14でハーフタイムを迎えた。
決定的だったのは帝京大がPGを刻んで(後半5分)迎えた後半11分のトライ。ラインアタックから3番PR奥野翔太が突破、カバーにきたタックラーをいなしながらオフロードでLO江里口真弘にボールを託し、ゴール下に飛び込ませた。G決まってスコアは帝京31-14慶應。30分近くの残り時間と17点差は、粘り強い慶應にとってはひっくり返せない条件ではない。しかしこの日ばかりは、強い帝京FWにスキルで振り切られての失点に、ショックが足にきた。後半は6トライを献上した。
敗れた慶大の栗原徹監督は「残念だったのは、後半に切れてしまったこと」と振り返り、アイデンティティーを磨き直して大学選手権に臨むことを誓った。同じく慶大のHO原田衛主将の大量失点について「フィジカルもそうだが、あれだけゲインされるとどうしてもディフェンスが寄ってしまい、ずらされて…」とフィールドでの感覚を表した。
帝京大は選手層の面でも盤石さを見せた。この日は先発メンバーに留学生の名前はなく、要の細木主将は2週前の明大戦でのケガで欠場という構成だった。そのカバーにあたったのがPR奥野だ。前述の後半11分のアシスト以外にも、前半23分にラインアタックに加わって見事な突破。余力さえ感じさせた自軍スクラムも支え、主将の代役以上の働きでプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
充実の帝京大は、対抗戦1位校として、大学選手権には12月26日に登場。大東大(リーグ戦3位)、同志社大(関西4位)などの勝者と戦う。