ラグビーリパブリック

スタジアムの壁が揺れたハーフタイム。幻のPG。トップ14、盛り上がる。

2021.10.30

逆転劇を見せたクレルモンにファンも喜んだ。写真はダミアン・プノー。(Getty Images)



 トップ14第8節(先週末)は大いに盛り上がった。

 昨季までラ・ロシェルでディレクター・オブ・ラグビーだったジョノ・ギブスがヘッドコーチ(以下、HC)に就任したクレルモンは、ここ3試合ほどの戦いぶりに、その効果が感じられていた。
 前節もモンペリエにアウェーで競り勝ち、今節はポーをホームに迎えての試合だったが、前半早々に司令塔のSOカミーユ・ロペスを失い攻撃の糸口を見つけられず6-13でリードされて前半を終えた(松島幸太朗はFBで先発)。

 しかしクレルモンは、後半目覚める。ギブスHCはハーフタイムに、「ミシュラン(クレルモンのホームスタジアム)の壁が揺れる」(ラグビーラマ)くらい激しい喝を入れたようだ。
 それをきっかけにチームは見違えるような動きを見せて立て続けに5トライ。42-20で勝利し、今季初の2連勝となった。

 一方、前節クレルモンに惜敗したモンペリエは、パリ・ラ・デファンス・アリーナでラシン92と対戦した。
 会場には、2023年に向けてのプロモーションを兼ねてパリ近郊でオータムネーションズ・シリーズの準備合宿をおこなっているスプリングボクスが観戦に来ていた。

 代表のチームメートが見守る中、モンペリエSHコーバス・ライナーが獅子奮迅の活躍。自陣ゴール前で敵からボールをもぎ取り、80メートルを走り切ってのトライにスタンドのボクスも大盛り上がり。
 また、前週は逆転のペナルティーゴールを外したハンドレ・ポラードが、この日は背番号12を着けて攻守でチームに貢献した。50メートル超のPGも決めた。
 イタリア代表SOパオロ・ガルビシがそのほかのゴールキックをすべて成功させ得点を重ね、大きな勝利をもぎ取った(32-21)。

 そして、前節はリヨンに敗れたトゥールーズが覚醒した。今季それまでラスト20分で個人技や力技で得点し、勝ってはいたものの、自分たちが目指すラグビーをできずに悶々としていた。
 しかし、今節の難敵・カストル戦では開始からアクセル全開。これぞトゥールーズというラグビーを繰り広げて41-0と完封勝ち。「80分間、自分たちのラグビーができた」とFLアントニー・ジュロンは顔をほころばせた。

 スタッド・フランセへ乗り込んだリヨンは、アウェーでも勝ち点を稼ぎたいところだった。
 試合は競った展開になった。リヨンに今季加入した元オールブラックスSOリマ・ソポアンガが51分に交代出場(合流後2試合目)。前週は途中出場で4分プレーしただけだった。

 59分、リヨンはトライ、ゴールで点差を詰めた。そして66分、22メートルラインの少し手前、若干左寄りでペナルティを得る。ソポアンガは周到に準備し、ボールを蹴った。
 しかしその直前、レフリーが笛を吹いた。ボールはゴールポストの間を通過したが、ペナルティゴールは、その意思表示をした瞬間から60秒以内にキックしなければいけない。ソポアンガはそのことを知らなかったのだ。

 そのまま18-23でリヨンは敗れた。「レフリーが何か話しかけていたが、何を言っているのかわからなかった。フランス語を早く身につけなくちゃ。ウェルカム・トゥー・フランスだ!」とソポアンガは照れくさそうに話した。

 トップ14は3分の1を消化したところ。今週と来週は各チームとも代表選手不在で戦うことになるが、決勝トーナメントに出場できるトップ6に入るため、また残留のため、落としていい試合は一つもない。
 楽しみなカードが目白押しだ。

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