リコーブラックラムズ(現ブラックラムズ東京)でプレーしていた、サモア代表16キャップのユーティリティーBK、ティム・ナナイ=ウィリアムズの表情が明るい。
今季クレルモンからトゥールーズへ移籍。
早くもチームに溶け込み、攻守にわたって水を得た魚のような活躍を見せている。
本人は「トゥールーズではコーチから枠組みを与えられるが、同時に選手たちでイニシアチブを取るようにも言われる。才能ある選手が多く、対戦相手に合わせてプレーを変えることができる。自分もこういうラグビーが好きだ」とチームの感想を口にする。
「ステップと加速をうまく使ったプレー、そしてゲーム読解力もありイニシアチブも取れる。ティムはすっかりトゥールーズのシステムにはまっている」とBKコーチのクレマン・ポワトルノーも喜ぶ。
クレルモンで昨季までヘッドコーチだったフランク・アゼマは、「器用でなんでもできて、どのポジションもこなせる。感覚でプレーする選手。ボールを持って自ら仕掛けるのが好き。トゥールーズのラグビーに、自分自身をあらためて見つけたのでは」と推察する。
クレルモンに在籍した3年間で出場は55試合。あまり多くないのは、SOカミーユ・ロペスという絶対的な存在がいたからとも考えられる。
トゥールーズに移籍してから、6戦中6試合出場し、うち1試合はSOで、もう1試合はCTBで先発した。
まもなくテストマッチシーズンに突入する。トゥールーズは15人の選手が不在になると言われている。ナナイ=ウィリアムズのようなユーティリティープレイヤーの存在は、「チームにも、コーチにも心強い」とFBマキシム・メダールは言う。
「若手からベテランまで、英語が話せない選手まで話しかけに来てくれる。僕と家族が快適に暮らせるよう、いろいろ気遣ってくれる。日常生活が順調だとラグビーも順調」と時間をかけずに順応できた理由を明かす。
また、トゥールーズにはNZ出身のPRチャーリー・ファウムイナと、今季からコーチになったジェローム・カイノがいる。3人ともオークランドで少年時代を過ごしている。
「NZの同じ街で育ち、ブルーズ対チーフスでは彼らのタックルを受けていた。その彼らと今、地球の裏側でチームメイトになるなんて!」とかつてのライバルとの再会を喜ぶ。
ナナイ=ウィリアムズは、すでにチーフスで2度のスーパーラグビー優勝、そしてクレルモンでは欧州チャレンジカップ優勝を経験している。
はたして、トゥールーズで欧州チャンピオンズカップ、そしてトップ14優勝なるか?