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好調、トップ14昇格1年目のビアリッツ。王者トゥールーズにも食い下がる。

2021.10.08

昨季王者相手に健闘したビアリッツ。試合後、トゥールーズの選手たちに拍手で送られる(C)Getty Images


 アギレラが熱い。

 今季、7年ぶりにトップ14に復活したビアリッツのホームスタジアムだ。開幕戦で強豪ボルドーをひたむきな激しさで圧倒し、また3節ではラッセル、ビール、フィクー、ヴァカタワら銀河系BK擁するラシン92に、「50:22」ルール(自陣から蹴ったボールが敵陣22メートルライン内でバウンドして外に出た場合、マイボールラインアウトで再開)を巧みに使いながら戦術的にも上回り、4節を終了した時点でホームでは負け知らずだ。

 敗れたボルドーのクリストフ・ユリオスHCは「勇気とは何かを学んだ」、ラシン92のロラン・トラベールHCは「謙虚さのレッスンだ」と、それぞれ試合後にコメントしている。

 先週末は、今季全勝中のトゥールーズを7年ぶりに迎え撃った。伝統あるクラブ同士の久しぶりの対決に地元ファンも盛り上がる。1万1500人、札止めとなったアギレラは、試合前からラグビーファンの熱気で沸き立っていた。

 いつものように序盤からアグレッシブに仕掛けるビアリッツに、トゥールーズもアグレッシブに応える。テンポも速い。目が離せない、息もできない。いつも以上に肉と肉がぶつかり合う音が聞こえてくる。36分、ようやくトゥールーズがペナルティゴール(PG)で先制する。

 後半、ビアリッツはさらにギアを上げる。元オールブラックスのフランシス・サイリの見事な「50:22」キックで敵陣深く入り、ゴール前で死闘を続けるがディフェンスをこじ開けることができず、ひとまずPGで同点に。その後もビアリッツが優勢、SOブレット・ヘロンがドロップゴールを成功させてリードする。

 だが、その少し前に交代出場したトゥールーズSHアントワンヌ・デュポンが流れを変え、トゥールーズが立て続けに2トライした。

 ビアリッツも激しく攻め続け1トライ返したが、勝利には届かす試合終了(11-17)、ホームでの無敗記録を伸ばすことはできなかった。

 とはいえ、今季ここまで毎試合最低3トライしているトゥールーズを2トライに抑え、互角に戦えることを見せた。昇格するためではなく、トップ14で勝つためのチーム作りがおこなわれてきたことは明らかだ。キャプテンの元イングランド代表FLステフォン・アーミテージやサイリらベテランと、SHバーナベ・クイユーやHOリュカ・ペレスブランのような若い才能がうまくかみ合っていたところへ、元オーストラリア代表のCTBテヴィタ・クリンドラニやアルゼンチン代表SHトマス・クベリが今季加入したのも、残留ではなく勝つことを目標としていることを語っている。

 アギレラには熱狂的なサポーターのパワーが充満している。そのパワーを受け取り、トップ14常連チームと堂々と戦う彼らの姿を見ていると胸が熱くなり、ラグビーってこうだったんだと思う。

 トップ14に新しい風が吹き込んできた。