変幻自在のパスワークと力強いランニング。女子セブンズ フィジー代表は先の東京オリンピックで銅メダル獲得と躍進した。
ワールドラグビーのプロモーションもあり、女子ラグビーも少しずつ盛んになっていたフィジーではあるが、同国でラグビーは、長く『男性のスポーツ』という見方が強かった。
しかし今回の銅メダル効果で、追い風が吹いているようだ。
フィジー協会には、女子ラグビーを希望する多くの人たちから連絡が入っている。「女子には危ないから」とプレーを歓迎していなかった層の人たちの理解が進んでいる。
今五輪の代表メンバーにはサッカーや陸上競技からの転向者がいた。今後、他競技からラグビーを目指すアスリートも増えるだろう。代表チームの活躍がラグビー人気を高める。理想的な流れだ。
五輪の舞台で存在感をアピールした選手たち自身にも変化が起きつつある。フィジーの現地メディアは、大会後の変化を報じている。選手たちには、海外クラブからの契約オファーが届いた。
女子五輪代表を率いたサイアシ・フリ監督は、「オーストラリア、ニュージーランド、日本のクラブからオファーを受けた選手もいる」と明かす。
元フィジー代表SHの同監督は、「(五輪前におこなわれた)オセアニア・セブンズが終わってからクラブエージェントから連絡が入るようになり、東京では日本の2つのクラブから打診があった」と話した。
同監督は、「(チーム、選手の)コーチングが自分の仕事」とし、契約の話についてはフィジー協会に任せている。選手たちに「協会とよく話して(将来を)決めるように」とアドバイスする。
フィジーに帰国したチームは8月24日で2週間の隔離期間を終え、愛する人たちと久しぶりに再会を果たした。
家族とのんびりした時間を過ごした後には、リオ五輪金メダルのオーストラリアを倒し(準々決勝で14-12)、今五輪で頂点に立ったニュージーランドを追い詰めて(準決勝で延長戦の死闘/17-22)掴んだ明るい未来について話し合うことになるのだろう。