2016年にリオデジャネイロで金メダルに輝いた女子7人制ラグビーのオーストラリア代表が、東京2020オリンピックでは準々決勝で敗退した。東京スタジアムで7月30日、8強によるノックアウトステージの戦いが始まり、オーストラリアはフィジーと対戦し、12-14で敗れた。
連覇を狙ったオーストラリアだが、この日の午前には予選ラウンドでアメリカに逆転負けし、プールCを2位通過と、いやなムードで準々決勝に臨んでいた。
試合開始からわずか1分20数秒、フィジーのスピードあるアロエシ・ナコジがハーフウェイから抜けて先制した。オーストラリアは3分30秒にもディフェンスを破られ、連続失点となる。
ゴールドジャージーのディフェンディングチャンピオンにとっては悪い流れが続いたが、5分、ハイタックルをしたフィジーの選手にイエローカードが提示され、数的有利となったオーストラリアはハーフタイム前にトライを奪い返し、5-14と9点差に詰めて前半を終えた。
だが、勇敢なチャレンジャーは後半も王者にプレッシャーをかけ続けた。
オーストラリアはブレイクダウンで苦戦し、酷暑の影響だけでなく焦りもあったか、反則やエラーが続く。残り1分を切って前回大会の優勝メンバーであるエースのシャーロット・カズリックがトライを決め、2点差に詰めたものの、残り時間で逆転劇は生まれず、フィジーが歓喜となった。
リオの頂上決戦で激闘の末にオーストラリアに敗れ、銀メダルに終わったニュージーランドは、東京で勝ち進んでいる。5年前の悔しさを知るメンバーが今回のスコッドに多く名を連ねており、ライバルとの再戦を思い描いていたかもしれないが、準決勝の相手はフィジーとなった。大舞台で金メダルを目指す者たちにとって、気持ちの整理も重要となってくる。
ニュージーランドは、予選ラウンドのプールAで激突したロシア(ロシア・オリンピック委員会チーム)と準々決勝で再戦し、36-0で快勝した。
序盤、相手のミス等でゴール前のスクラムから攻める機会を2度続けて得、いずれも確実にトライにつなげて自分たちのペースとした。4分過ぎにはミカエラ・ブライドが自身今大会6トライ目を挙げ、点差を拡大。後半には、この10年間で最高の女子セブンズ(7人制ラグビー)選手といわれるポーシャ・ウッドマンが自陣から爆発的な走りを披露するなど、3トライを追加し、ロシアを退けた。
準々決勝第3試合では、予選ラウンドでニュージーランドと接戦を演じたイギリスがアメリカと対戦し、21-12で勝った。
イギリスは試合開始から40秒、共同主将のひとりであるメーガン・ジョーンズが大きくゲインし、ディフェンダーをひきつけてジャスミン・ジョイスにつなぎ、先制した。さらに、2分過ぎにも敵陣深くに入り、もうひとりの主将であるアビー・ブラウンがスピンでタックラーをかわしてトライ。
14-0で折り返したイギリスは、後半早々、ジョイスが俊敏な動きでゴールラインを割り、リードを広げた。
アメリカは後半4分過ぎと試合終了間際に連続でトライを奪い返したが、反撃が遅かった。
そして、4強最後の枠に入り、準決勝でイギリスと対戦することになったのは、同じヨーロッパ勢のフランスだ。
ヨーロッパ予選でイギリス(イングランド)に敗れていたフランスは、敗者復活をかけた世界最終予選で東京オリンピックの出場権を獲得し、今大会は無傷で勝ち上がり、準々決勝では中国を24-10で下した。
初出場で8強入りし勢いがあった中国に先制トライを許したフランスは、しばらく自陣深くにくぎ付けにされていたが、前半4分30秒、キックを使ってスピードランナーのセラフィーヌ・オケンバを走らせ、これが決まって流れを変えた。フランスは6分過ぎにもトライを挙げ、12-5で折り返した。
フランスは後半、もうひとりのトップトライゲッターであるアンヌ=セシール・シオファニも躍動するなどリードを広げ、後半の中国の反撃を1トライに抑えて逃げ切った。
なお、予選ラウンドで3戦全敗だった日本は、9位~12位決定トーナメントに臨んでケニアと対戦。試合終了間際に逆転トライを許し、17-21で敗れた。
31日におこなわれる11位・12位決定戦ではブラジルと対戦する。