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トップ14いよいよ最終節。松島所属のクレルモンはプレーオフ進出懸け好調ラ・ロシェルと対戦

2021.06.04

クレルモンで今季活躍してきた松島(中央)。まずはプレーオフ進出を、そして優勝を狙う(Photo: Getty Images)


 ヨーロッパラグビー最高峰のハイネケン・チャンピオンズカップは5月22日に決勝がおこなわれ、トゥールーズがラ・ロシェルを22-17で下し、11シーズンぶり王座に就いた。その前日に決勝がおこなわれたヨーロピアン・チャレンジカップは、モンペリエが18-17でレスターを破り優勝。両大会でフランスのクラブがチャンピオンとなり、フランスラグビーの好調さがうかがえたシーズンとなった。
 
 そんな中、2023年ワールドカップ・フランス大会を見据えて、フランス国内1部リーグ「トップ14」の海外に向けてのプロモーションに力を入れているLNR(トップ14主催団体)の努力が実を結び、イギリスとアイルランドでトップ14の放映が始まることが発表された。すでに5月29日から放送されており、この契約は2022-2023シーズンまで続き、毎節最低4試合が放送される予定だ。

 トップ14は、この週末がリーグ戦最終節。トゥールーズ、ラ・ロシェル、ラシン92、ボルドーの4チームが準決勝に直接アクセスできる上位2位を狙い、クレルモン、トゥーロン、スタッド・フランセ、カストルの4チームがプレーオフ進出への残りの2席を争う。

 注目は、クレルモン対ラ・ロシェルだ。
 日本代表の松島幸太朗が所属するクレルモンは、自力でプレーオフに進出するために絶対に勝たなくてはならない。けが人に悩まされたシーズンで、最近の試合では右プロップのラバ・スリマニが左プロップをしていたほどだ。今週末の試合には、戦列離脱していたPRペニ・ラヴァイ、WTBアリヴェレティ・ラカ、CTBジョージ・モアラ、特に司令塔であるSOカミーユ・ロペスの復帰が期待されている。
 一方、ラ・ロシェルはチャンピオンズカップで優勝を逃し、なんとしてもトップ14で初優勝して締めくくろうと意気込んでいる。すでにプレーオフ進出が決まっているとはいえ、手を緩めることはないだろう。ただ、ラ・ロシェルはクレルモンのホームであるスタッド・マルセル・ミシュランでここまで勝てていない。今回もホームアドバンテージを活かして、クレルモンの勝利となるか。

 カストル対トゥーロンの直接対決も注目されている。
 カストルは昨年末の時点で13位だったが、今年に入って11勝4敗と勝ちを重ね、現在8位。
 対するトゥーロンは、けが人や代表選手の不在、新型コロナウイルス感染者発生などで不安定なシーズンではあったが、先週はボルドーに勝ち、現在6位。絶対に負けられない試合でプレッシャーも感じているだろう。さらに、若いチームを落ち着かせる存在のCTBマア・ノヌーが盲腸の手術をして試合に出られないのは大きな痛手だ。
 「昨年末は13位だったことを思えば、プレーオフに進出できるかどうかのプレッシャーもない」と言うカストルの方が有利と見られている。

 スタッド・フランセは開幕前にクラスターが発生したこともあって、なかなか調子が整わなかったが、現在5連勝中で順位を上げてきた。スーパーラグビーでハグアレス(アルゼンチン)を準優勝させたゴンサロ・ケサダ ヘッドコーチが今季からクラブの立て直しを委ねられ、指揮を執っている。その効果がようやく出てきたのかもしれない。

 ボルドー対トゥールーズも、チャンピオンズカップの準決勝で敗れたボルドーがリベンジを果たすことができるか楽しみだ。

 今のフランスでは、スタジアムに1000人までの観客を入れることができるようになっているが、夜9時以降の外出禁止令はまだ続いている。全試合のキックオフがテレビのゴールデンタイムの夜9時になっているため、テレビ局に時間を早めてもらうよう交渉したが実現されなかった。プレーオフ進出がかかった最終節が無観客でおこなわれるのは残念だ。クラブによっては、選手のスタジアムへの到着時間を公表して、試合前の選手に声援を送りに来てくれるよう呼びかけている。

 昨年の全国的なロックダウンの後、5月から練習を再開し、まとまったオフがないまま1年以上、先行き不透明な状態でのマラソンのような長いシーズンもようやくリーグ戦を終えるところまで来た。「今季はいつもと違う」「おかしなシーズン」と選手やコーチのインタビューから聞こえてくることから、例年よりタフなシーズンだったことが感じられる。大きなけがなく、無事に終えてもらいたい。

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