昨年の欧州王者であるイングランド代表が意地を見せた。2021年の「シックスネーションズ」では3節までに2敗を喫し連覇の望みは絶たれたが、グランドスラム(全勝優勝)のチャンスもあったフランス代表に黒星をつけた。現地時間3月13日にホームのトゥイッケナム・スタジアムで対戦し、23-20で逆転勝ちした。
先制したのはフランスだった。前半1分、左外を攻め上がったWTBテディ・トマがキックし、チェイスしたSHアントワーヌ・デュポンがバウンドボールを確保してトライを決めた。
しかしイングランドは9分に流れを引き戻す。中央で切り込んだCTBヘンリー・スレイドのゲインでゴールに迫り、すばやいリサイクルからWTBアンソニー・ワトソンが右にフィニッシュ。両チームともコンバージョンを決め、イングランドはさらにCTBオーウェン・ファレルのPG2本成功でリードを奪った。
それでもフランスは、ショットで3点差に詰めたあと、31分、ラインアウトからのムーブで相手ディフェンスを崩し、WTBダミアン・プノーが逆転トライ。フランスが4点リードで折り返した。
両チームともスピーディーなアタックを見せた一方、ディフェンスも堅く、54分(後半14分)までにPGで3点ずつ加点したあとはしばらくスコアは動かなかったが、ホームで負けられないイングランドが執念を見せた。
終盤の75分、相手の反則もあって敵陣深くに入ると、FWが前進を試み、LOマロ・イトジェが力強いレッグドライブでゴールラインを越えた。フランスは、FLカメロン・ウォキとWTBトマが懸命のディフェンスでグラウンディングを阻止しようとしたが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でイトジェのトライが認められ、逆転。
フランスはラストアタックで敵陣22メートルラインに迫ったものの、攻め急いだSHデュポンが落球し、まもなくノーサイドの笛が鳴った。
フランス代表が痛恨の1敗を喫した一方、全勝をキープしたのはウェールズ代表だ。13日にローマのスタディオ・オリンピコでイタリア代表と対戦し、48-7で快勝した。
イタリアが前半と後半にイエローカードをもらい、ウェールズは数的有利の時間帯に2トライずつ挙げるなど、好機を逃さず点差を広げた。
ウェールズはこれで4勝0敗(総勝点19)となり、2年ぶりのグランドスラムに王手。
しかし、2勝1敗(総勝点10)のフランスは、2月末に予定されていたスコットランド戦が新型コロナウイルスの影響で延期となったため、あと2試合残っており、11年ぶりの欧州王座奪還の可能性はまだある。
現地時間3月20日にはパリ郊外(サンドニ)のスタッド・ド・フランスでウェールズ代表と激突する。