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6か国対抗、フランスの対アイルランド戦メンバー発表。存在感増す「内務大臣」SHデュポン!

2021.02.13

「ボールを持ってプレーするのが好きだから、ランのコースをカットして上がってサポートにつけるように練習した」(A・デュポン)(Photo/Getty Images)

 シックスネーションズ開幕戦でイタリアに50-10と勝利したフランス。試合後、ファビアン・ガルティエ監督は「効率の良いゲームができ、良いスタートがきれた。もちろん修正しなくてはならないところもある。例えば最後にミスをして、相手のトライにつながったところなど。ディシプリン、スクラムもまだよくできる」と評した。

◆2/14・アイルランド戦メンバーはこちら

クラブの試合(トゥールーズ)から。激しさも見せるA・デュポン(Photo/Getty Images)

 第2節のアイルランド戦を控えた今週、誰よりもメディアに取り上げられていたのは、SHアントワーヌ・デュポンだ。彼の活躍は常に取り上げられてきたが、今週はさらに賛辞の嵐。ボールを持っている味方の内側に抜群のタイミングでサポートに現れ、トライにつなげたり、または自らもトライすることから、昨秋のオータム・ネーションズカップの頃から、『内務大臣』というニックネームがSNSなどで使われ始めていた。

今週、とうとうフランス語のウィキペディアにまで「ニックネーム:内務大臣」と書き込まれた。

このプレースタイルについて本人は、「2015年ワールドカップのフランス対ニュージーランドの準々決勝で、タウェラ・カーバーローが残り20分で試合に入って、同じようなプレーで2トライした。アーロン・スミスもよくやっている。ガレス・デイヴィスも。僕もボールを持ってプレーするのが好きだから、ランのコースをカットして上がってサポートにつけるように練習し始めたんだ。チームメイトのことをよく知らないといけないし、その先を読まなきゃいけないから、大変だった」と言う。

24歳という若さで、メディアに絶賛されることを危惧する声もあるが、デュポンが所属するトゥールーズのユーゴ・モラ監督は、「彼にしても、ロマン(ンタマック)にしても、年齢の割に大人で、しっかりと今の時代を生きている。メディアやSNSの対処の仕方も心得ている」と語っている。

昨日(2月12日)、アイルランド戦に向けてのメンバー発表があった。

前日のメディア向けの公開練習で、スターティングメンバー用のビブスの背番号「6」を着けていたのはFLアントニー・ジュロン、「14」はWTBダミアン・プノーだった。今回もその通りのメンバーで発表された。

「イタリア戦で2トライしたWTBテディー・トマをベンチに下げて、プノーをスタメンに選んだのは?」という質問に対して、ガルティエ監督は「テディーはローマでいい試合をしたが、これ(第2節)は『グループ・フランス』としての選択。アイルランドのフィジカルと空中戦に対して、ダミアン・プノーというオプションが適していると判断したため」と答えた。

注目ポジションの一つ、WTBは先発にプノー(写真)(Photo/Getty Images)

また、アントニー・ジュロンのスタメン起用に関しては、「彼は、タフな状況になればなるほど強さを発揮する」と答え、特にダブリンで鍵になると予想されるラックでの闘いに強いジュロンを先発させることにしたようだ。

ガルティエ監督が「リザーブ」ではなく、「フィニッシャー」と呼ぶ8人には、負傷の左PRジャン=バティスト・グロに代わり、アッサンヌ・コランガーが、右PRはイタリア戦のドリアン・アルデゲリよりもフィジカルで経験のあるウイニ・アトニオが選ばれた。

BKは、SOルイ・カルボネルが外れ、FBアントニー・ブチェが入った。

「アイルランドはハイボールを使ってプレッシャーをかけるプレーが得意。そうなればブリス・デュランの仕事量が増える。万一の場合、SOの選手をFBに下げるよりも、本職のFBでSOもカバーできる選手が欲しかった。また、アントニー(ブチエ)は左脚でもキックができる。その点も考慮した。右利きと左利きが必要だから」と説明した。

アイルランドのHB団(SOジョニー・セクストンとSHコナー・マレー)の不在の影響を聞かれたガルティエ監督。練習が終わってそのまま会見に駆けつけたため、「まずアイルランド戦のメンバーを確認させてもらってもいいかな?」と断った上で、携帯電話を取り出して確認。相手のメンバーについて語り始めた。

「確かにHBが代わっている。ウエールズ戦で途中出場したHBだ。オータム・ネーションズカップでも何試合かプレーしている。セクストンだけでなく、LOジェームズ・ライアンもHIA検査を通過していると考えていた。ジョニー・セクストンとジェームズ・ライアンの1日も早い回復をお祈りする。2人とも偉大な選手だ。きっとがっかりしていることだろう。

ガルティエ監督は相手陣容の分析を続ける。

「SHギブソン・パークはマレーと同じくキックでプレッシャーをかけるのが上手いが、さらに自分でも仕掛けてくるから、特にラック周りは警戒しなければ。SOビリー・バーンズはコーチの信頼を得ている。彼も自分でボールキャリーして突破口を開こうとする。だからと言って我々の戦術が変わることはない。我々は、我々自身に照準を合わせて、また環境に合わせて、対戦相手のラグビーカルチャーに合わせて、パフォーマンスを組み立ててきた。チームで経験を積みながら、組織としての特徴を追求していくのがテストラグビー。アイルランドも、選手が3人代わったからと言って、彼らのオーガナイズを急に変えることはない。もちろん、対戦相手の特徴に合わせて、いくつかのポイントを修正したり、2〜3のオプションを準備することはある。これは微調整であり、ちょっとしたディティール。しかし、その小さなディティールが大きな結果を引き起こしたり、相手に大きな被害を与えることになる」

 質問に答えながらも、選手たちへ今から指示するべき項目が、ガルチエ監督の頭の中を駆け巡っていたに違いない。

今回のフランスチームの平均年齢は25.5歳、平均キャップ数は19。

シックス・ネーションズ2021
フランス代表/2月14日・アイルランド戦メンバー

  1. シリル・バイユ(トゥールーズ)
  2. ジュリアン・マルシャン(トゥールーズ)
  3. モアメド・アウアス(モンペリエ)
  4. ベルナール・ルルー(ラシン92)
  5. ポール・ウィレムセ(モンペリエ)
  6. アントニー・ジュロン(カストル)
  7. シャルル・オリヴォン(キャプテン、トゥーロン)
  8. グレゴリー・アルドリットゥ(ラ・ロシェル)
  9. アントワーヌ・デュポン(トゥールーズ)
  10. マチュー・ジャリベール(ボルドー)
  11. ギャバン・ヴィリエール(トゥーロン)
  12. ガエル・フィクー(スタッド・フランセ)
  13. アルチュール・ヴァンサン(モンペリエ)
  14. ダミアン・プノー(クレルモン)
  15. ブリス・デュラン(ラ・ロシェル)
  16. ピエール・ブルガリ(ラ・ロシェル)
  17. アッサンヌ・コランガー(ラシン92)
  18. ウイニ・アトニオ(ラ・ロシェル)
  19. ロマン・タオフィフェヌア(トゥーロン)
  20. ディラン・クレチン(リヨン)
  21. バティスト・スラン(トゥーロン)
  22. アントニー・ブチェ(モンペリエ)
  23. テディー・トマ(ラシン92)