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きょう6か国対抗開幕。フランスは「ドミニシの再来」WTBヴィリエールが初先発!

2021.02.06

3部リーグからトゥーロンに移籍、フランス代表でも目覚ましい活躍のWTBヴィリエール(Photo/Getty Images)

 6か国対抗戦(シックス・ネーションズ)、第1ラウンドのイタリア戦に向けて、フランス代表チームのメンバー発表会見が行われた。

◆フランス代表 2/6イタリア戦メンバー・23名

 今回も「継続、一貫性」のポリシーは守られ、大きなサプライズはないが、昨年の同大会から固定されていたメンバーから、秋のオータム・ネーションズカップの最後の2試合で頭角を現した選手に代わったポジションもいくつかある。

 昨秋、3年ぶりの代表復帰を果たしたFBブリス・デュランが、引き続き15のジャージーを着ることになり、アントニー・ブチェは今回は控えにも入らなかった。

 また膝の負傷のため大会出場できないCTBヴィリミ・ヴァカタワに代わり、アルチュール・ヴァンサンがガエル・フィクーとペアを組む。

 最も注目されているのは、オータム・ネーションズカップのイタリア戦で代表デビューしたWTBギャバン・ヴィリエールのスターティングでの抜擢だ。この選択について、ガルチエ監督は、「ギャバンは代表キャップを自ら獲得しにきた。秋のイタリア戦、イングランド戦でしっかり期待に応えた。クラブでもいいパフォーマンスが続いている。我々が彼に代表ジャージーを与えたのではなく、彼が自らの手で獲得したのだ」と語る。

 ヴィリエールは今季、3部リーグのルーアンからトゥーロンに移籍。年末のクレルモン戦で、TOP14初トライを決めただけでなく、ハットトリックまで成し遂げた。彼はラインの外側でボールが来るのをじっと待っているWTBではない。赤いヘッドキャップであちこち動き回り、ラックにもどんどん突っ込んで行く。チャレンジカップのスカーレッツ戦では、5回もジャッカルに成功している。さらに、1月のラシン92戦で、相手チームのヴァカタワがトゥーロンのインゴールでグラウンディングしてトライになると誰もが思っていたところに、ヴィリエールが走り込んでタックルに行きトライセーブ。この動画はSNSでも話題になった。決して大きな身体ではないが、パワーとスピードがあり、またコンタクトを好むところから昨年11月に亡くなったクリストフ・ドミニシと比べられる。

 ヴィリエール自身も、「ドミニシに憧れていた。彼のフィジカルもメンタルも僕に合っていた。特に闘志、根性、ハングリーなところが。彼のような選手になりたいと思っていた」と言っている。

 ヴィリエールとWTBでペアを組むのはテディー・トマ。トマのディフェンスは現地メディアに批判されているが、ガルチエ監督は「代表の試合でいいパフォーマンスをしている。スピードで、またフィニッシャーとして期待に応えてくれた。状況に応じて移動できる、また強度の高いランを続けられる」と信頼を置いている。

 ベンチスタートのダミアン・プノーについては、「(ケガで)このチームでは1試合しかしていない。とてもレベルの高い選手でも、ポジション争いが激しくチームに復帰するのは簡単ではない 」と説明した。

 また、バックローの選考も会見で話題になった。キャプテンのFLシャルル・オリヴォン、NO8グレゴリー・アルドリットゥ、そしてFLフランソワ・クロスが昨年の6か国対抗からの鉄板の3列だった。膝の検査のために遅れて合宿に合流したアルドリットゥはスターティングメンバーに入ったが、クロスは昨秋のアイルランド戦で中足骨を骨折。所属するトゥールーズでも復帰して1試合しただけでの代表合宿招集とあって、まだ痛みがあるため合宿メンバーからも離脱した。先発には「バランスを模索し、グループ全体での経験を積ませていきたい」として、「このグループが立ち上げられた時から一緒にいる時間が長い」クレチンが選ばれた。

 顎の骨折のため戦列を離れているンタマックに代わり、オータム・ネーションズカップに引き続き、チームを指揮するのはSOマチュー・ジャリベール。所属チームのボルドーでの彼の最近の活躍ぶりは圧巻である。「この1年で、クラブでも代表チームでも多くの経験を積み、急成長している。才能を見事に発揮させている」とガルチエ監督も評価を示した。

「平均年齢25歳、平均キャップ数17。昨年は平均年齢23.5歳だった」とメンバーを読み上げた後に付け加えた。

「我々のプロジェクトを進化させていきたい。目標に合わせて、ルール、レフリングを考慮して、戦術や戦略を選び、勝つラグビーを組み立て、勝つチームをつくる」

スター司令塔のンタマックは不在。オータム・ネーションズカップに続きSOに入るジャリベー(Photo/Getty Images)

 メンバー発表の前に、ワールドカップフランス大会2023組織委員会クロード・アチェCEOが、2023年大会のスケジュール案をワールドラグビーに提出したことが伝えられた。フランス代表チームスタッフと話し合った結果、9月8日の開幕戦の対戦相手にオールブラックスが選ばれた。レキップ紙によると、ガルチエ監督が熟考の末、まず開幕戦でニュージーランドと対戦し、その後のプール予選3週間でメンバーを交代させながら心身ともに回復させた状態で、さらに激しい戦いになる決勝トーナメントに臨むことを選んだという。あとはワールドラグビーの認可次第である。

 ガルチエ・ブルー2年目、いよいよ開幕。

フランス代表 2月6日 イタリア戦メンバー

1.           シリル・バイユ(トゥールーズ)
2.           ジュリアン・マルシャン(トゥールーズ)
3.           モアメド・アウアス(モンペリエ)
4.           ベルナール・ルルー(ラシン92)
5.           ポール・ウィレムセ(モンペリエ)
6.           ディラン・クレチン(リヨン)
7.           シャルル・オリヴォン(キャプテン、トゥーロン)
8.           グレゴリー・アルドリットゥ(ラ・ロシェル)
9.           アントワンヌ・デュポン(トゥールーズ)
10.         マチュー・ジャリベール(ボルドー)
11.         ギャバン・ヴィリエール(トゥーロン)
12.         ガエル・フィクー(スタッド・フランセ)
13.         アルチュール・ヴァンサン(モンペリエ)
14.         テディー・トマ(ラシン92)
15.         ブリス・デュラン(ラ・ロシェル)
16.         ピエール・ブルガリ(ラ・ロシェル)
17.         ジャン=バティスト・グロ(トゥーロン)
18.         ドリアン・アルデゲリ(トゥールーズ)
19.         ロマン・タオフィフェヌア(トゥーロン)
20.         アントニー・ジュロンシュ(カストル)
21.         バティスト・スラン(トゥーロン)
22.         ルイ・カルボネル(トゥーロン)
23.         ダミアン・プノー(クレルモン)