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シックス・ネーションズ始まる(1) エディー&レイドロー選・名勝負も

2021.02.03

元スコットランド代表主将、グレイグ・レイドローとイングランド代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ。2人が選ぶライバル対決は(Photo/WOWOW)

元主将の目線。

 イングランドvsスコットランド。

 2月6日、日本時間25時45分キックオフの第1節のカードは、実は世界で初めて行われたテストマッチでもある。1871年から今年でちょうど150年。カルカッタ・カップを争奪するこの両国の対戦には、特別な意味がある。

 現在、千葉県のNTTコミュニケーションズでプレーするグレイグ・レイドローは、スコットランドの元キャプテンだ。2015年、2019年のワールドカップに連続出場した特別な選手。すでにチームに合流し、2月20日に迫ったトップリーグを見据えたトレーニングに打ち込んでいる。

「プレシーズンマッチでチームに勢いがついてきた。トップリーグの開幕がとても楽しみ」とレイドロー 。

彼が選んだシックス・ネーションズ名勝負は4本。そのうち2本はイングランド戦だった。

・2018年大会 第3節「スコットランド 25-13 イングランド」

・2019年大会 最終節「イングランド 38-38 スコットランド」

 2018年大会は、スコットランドにとってイングランドとのテストマッチ勝者が手にする「カルカッタ・カップ」10年ぶりの奪還となった一戦だった。レイドローは2G1PGで勝利に貢献。

 そして、2019年大会はスコットランドが、0-31から遂げた同点劇だった。勝てばトゥイッケナムでは36年ぶりとなるスコットランド勝利だったが、イングランドがラストアタックで追いついた。まさにドラマだった。2年続けてこの熱戦だ。世界最古のラグビーテストマッチ、その伝統は伊達じゃない。

 レイドローが日本のラグビーファンに注目を薦めるのは、自国のキャプテン、FBスチュワート・ホッグだ。

「彼とSO(スタンドオフ)のフィン・ラッセルは確実にワールドクラスです。特にホッグはパワフルで素早く、世界最高のアタッカーの一人。相手防御にギャップを作ったら、見逃すことなくどこからでもトライに持ち込みます。キャプテン就任は、彼にとって新しいチャレンジでもありますね」

 主将の重責を継いでゆく自国選手への思いもにじむ。

 前回シックス・ネーションズは4位、オータム・ネーションズカップでも4位と、思うような戦績は残せていないスコットランド。初戦から今大会2連覇中の本命チームと戦うのはタフなスタートに違いないが、チームを率いるグレガー・タウンゼント監督は「いつ戦おうと、勝つべき相手」と前向きだ。

2020年、前回の対戦は接戦。イングランド13-6スコットランド。ボールを持つのはサム・アンダーヒル。キャップは22となった(Photo/Getty Images)

限られた機会

 イングランドの指揮官として2016年からシックス・ネーションズを5度戦い、昨年までに3度優勝。今回、自身6度目の大会を迎えるエディーさんは、この大会を気構えを次のように語る。

「私はイングランドのヘッドコーチに就任するまではシックス・ネーションズをテレビでしか見たことがなかったのですが、いざ指揮を執り始めるとバトルの激しさが強く印象に残ると同時に、優勝することが本当に大きな意味を持つ大会だと感じるようになりました」

 スコットランド戦はどうか。

「常に初戦を警戒しています。シックス・ネーションズは言わば100メートルの短距離走。すぐにリードを奪い、それを維持しなければなりません。初戦の相手、スコットランドは難しい試合になる。なぜなら、彼らにとってワールドカップ2019年大会は残念な結果でしたよね(予選プールで敗退)。今は巻き返しのため、彼らは必死です。イングランドも自国開催の2015年大会後は同じ状況にありました。そこから本来の軌道に乗せるために並々ならぬ努力をしました」

 昨年のスコアは13-6、油断をしている選手など1人もいない。連覇中の指揮官は自チームの空気をそう語る。

 よいスタートダッシュを見せたい理由は、この大会が今年のチーム強化において重要な位置を占めるからでもある。

「なぜなら、選手たちは大会後にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(4年に1度結成され南半球へ遠征する連合チーム)の南ア・ツアーに参加するからです。シックス・ネーションズ後の6か月間、最高の選手は集まらない。今大会は最強のチーム同士が戦う今年最後のチャンスなのです」

・2016年大会 第1節 イングランド 15-9 スコットランド

 エディーさんがシックス・ネーションズ名勝負を挙げた5本に数えられる一つは、2016年、わずか6点差の一番だ。エディーさんにとって初めてのシックス・ネーションズのゲーム。前半は7-6のスコア。スコットランドの得点はPGのみだ。残り10分で15-9とされ、そのまま試合を終わらせたが、6点差は「1トライ1ゴール」でひっくり返る危険な点差。最後まで喉元にナイフをあてられていたような、ヒリヒリする勝利だった。  

 151年目の決戦、見逃してはいけない。

大逆転、のち同点となった2019年のスコットランドvsイングランド。レイドローも劇的トライに歓喜(Photo/Getty Images)

◆◆◆WOWOW番組情報◆◆◆

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【第1節】
イタリアvsフランス 2/6(土)夜11:00
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イングランドvsスコットランド 2/6(日)深夜1:30
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ウェールズvsアイルランド 2/7(日)夜11:45
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