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天理大学特集! 2年前の決勝で「敗戦を新しい力に」(後編)

2021.01.25

左からNO8ファウルア・マキシ、LO由良祥一FWリーダー、HO島根一磨主将、PR加藤滉紫、FL佐藤慶(撮影:江見洋子)

 1月11日、大学選手権決勝で早大を破り、初の日本一になった天理大。3度目の決勝で悲願の快挙だった。2年前の決勝では明大に敗れている。決勝が行われた2019年1月12日の翌日、当時の4年生FWで座談会を開いた。(後編)

◆前編はこちら

ラグビーマガジン2019年3月号掲載(1月13日インタビュー)
文◎森本優子

天理大[4年生FW]座談会
Play back 4 years.

【メンバー】
HO島根一磨[主将・天理、現パナソニック]
LO由良祥一[FWリーダー・大産大附、現豊田自動織機]
FL佐藤慶[天理、現栗田工業]
NO8ファウルア・マキシ[日本航空石川、現クボタ]
PR加藤滉紫[専大松戸、現マツダ]

――最後まで走力が衰えませんが、そこにも秘密はありますか。

島根 トレーニング期間は階段を走ったりしました。グラウンドの横にダムがあるんですが、そこに急な階段が二つと、坂があるんです。

由良 めちゃくちゃ長い。

島根 階段ダッシュとおんぶして上がるのと、坂道ダッシュ。

マキシ 走る階段は長くて、おんぶの階段は少し短い。15分サイクルで3つをやる。

島根 名物です(笑)。

加藤 朝起きて歯を磨いて、バナナ食べたら(笑)。

マキシ 次の日、足がやばい。合宿所の4階の部屋まで上がれない。

佐藤 僕は2階なので楽だった。

――おんぶする相手は。

島根 体重が同じくらいの選手とやるんです。毎日やるから、大体一緒。

加藤 BKは軽いから、早く終わる。僕らは重い同士でやってるから、どんどん遅くなって。FWは不利です(笑)。

――マキシ選手が組んだのは。

マキシ 今年はジョネ(ケレビ)。終わった後「足、感覚ない」って言ってた。

島根 坂スタート、階段スタート、おんぶスタートと3グループに分かれてやるから、最後の追い込まれた状態で、おんぶをやるのはきつい。

マキシ 最初がおんぶスタートだったら、みんな「よっしゃっ!」って喜ぶ(笑)。

――それがあるからみんな走れる。

島根 あとはバックロー出身が多いこともあります。ここにいるのも、みんなバックロー。

マキシ 小鍜治も高校時代はLO。

加藤 僕は高校時代NO8で、天理でも1年までNO8やってた。

マキシ ほんと?

由良 夏合宿では下のチームでトライ王になりかけてた。

加藤 ルアもいるからNO8は無理かなと。アタックも下のチームでしか通用しなかった。PRやってみたらいける感覚があったので、やるなら早いほうがいいと思って。

由良 僕もFLでしたけど、大学に入ったら人数が多すぎた。1年のとき、スクラム組む時にLOがいなくて、「じゃ、僕LO入ります」と言ったら、それからLOになった。そのおかげで1年生から試合に出るチャンスをもらえた。

NO8ファウルア・マキシ(撮影:江見洋子)

――天理のラグビースタイルにはなじめましたか。

島根 自分は高校時代から見ていたので、そんなに違和感はなかった。それほど決め事は細かくはないですよ。逆に自由なので、自分が行かないと目立てない。それが難しかった。

佐藤 今年はポッドをやってたんですが、それまでは結構自由に行きたいところに行ってた。

――佐藤選手は岡山選手とチビッ子FLで、注目を集めた。

佐藤 ちっちゃいだけで注目されるのではなくて、実力で注目されたい。負けるのはホンマに大嫌いなので、フィットネスでも負けたくない。

――由良選手はブレイクダウンで激しいプレーを見せていました。

由良 僕は目だったプレーは出来ないので。

島根 タックル行くとき、「ずや~」って声を出す。その声がスタンドまで聞こえるんです。

由良 臨機応変が効かない。ハードワークと決まったら、それしか出来ない。パスが放れないので。

島根 普通に放れますよ。

由良 春の同志社戦でたまたまパスを出してトライにつながった。そうしたら岡山が試合中に「由良さんが,パス放った!」って(笑)。

――個性豊かな4年生が集まった。

島根 BKの池永、中野、久保、涼太(野田)を含めて今年は4回生に個性があった。人数も多かったので、やってて楽しかった。下級生も含めて話しやすい環境が出来たのかなって思います。

由良 みんな仲がよかった。

――スクラムを組む時、スタンドの部員がコール「コウシ、シマネ、コカジ」とコールしますが、なぜ加藤選手だけ名前なのですか。

島根 普通に呼ばれてる名前なんです。加藤はみんなに「コウシ」って呼ばれていて、僕も苗字で呼ばれるから。

――実際に組んでてコールは聞こえますか。

加藤 めっちゃ聞こえます。力になります。

――コールする選手も決まってる?

マキシ 応援団長。卒業していくときは、下の選手を選んでいく。「お前、頼むわ」って。

島根 関西リーグではどのチームもやってますね。

FL佐藤慶(撮影:江見洋子)

――4年間を振り返ると。

島根 この4年間、3年の近大戦だけ首をケガして出なかっただけで、ずっと先発で試合に出させてもらった。もっともチームに関われたと思うので、そのぶん、明治との試合では、天理らしく最後までやりきる姿を見せられたのがよかったのかなと。いちばん悔しいのは出ていた後輩だと思うので、彼らが引っ張っていってほしい。小松監督も最後に「以前(7年前)はパッと出て準優勝だったけど、今回は、これからも勝っていけるチームになってる」と言われた。自分もそう思うので、この悔しさを胸に頑張っていってほしい。

――明治の喜ぶ姿を見ていた。

島根 小松監督は「この悔しさを持って、またここに帰ってこよう」とおっしゃっていました。去年は東海に負けて(決勝の前に)終わってしまった。目の前で見たら、悔しいと思う。それが新しい力になれば。

佐藤 僕はめちゃくちゃ悔しかったんですけど、いい仲間と最高に楽しいシ—ズンを過ごせた。社会人でもトップリーグ目指して頑張ります。

加藤 僕は強くないチームから入学して、いちばん下のチームからスタートしたんですけど、ここにいるすごい選手とラグビー出来て幸せでした。後輩たちへは、スクラムは日本一のままで、たとえ試合で負けてもスクラムでは負けてほしくない。

――チーム内で組むのがいちばん大変だとか。

加藤 チームで組むと普通に負けます。残る1列は本当に強いので、大丈夫です。1番も3番も強い選手はいっぱいいる。

由良 僕は1年生から試合に出てはいたんですけど、定着することはなくて、抜いたり抜かれたり。ケガしているのに無理して「いきます」と言って、いいプレー出来ずに落とされたりもした。3、4年ではケガをしていないので、今思えば、あそこで頑張ってよかったのかなと。佐藤も言っていたみたいに、こんなに競争しあって、強いメンバーと天理でラグビー出来て幸せでした。

マキシ 3年生まではケガもあって、シーズン通して全部の試合に出られたのは今年が初めて。それがよかったなと思います。トップリーグでは島根とライバルになる。

――マキシ選手はクボタで、島根主将はパナソニック。

島根 同じポジションの堀江さんも坂手さんも、バックローから転向しているのがパナソニックを選んだ理由の―つです。2人から色々教わって成長していきたい。日本代表になれるように、努力し続けたい。

由良 みんな、社会人で敵になると思ったら嫌ですね。勝つ気でやりますけど。

マキシ まずは昇格しないと。

由良 もちろん!

HO島根一磨主将(撮影:江見洋子)

◎第55回大学選手権決勝(2019年1月12日) 明治大22―17天理大

【明治大メンバー】
1.安昌豪 2.武井日向 3.祝原涼介 4.片倉康瑛 5.箸本龍雅 6.石井洋介 7.井上遼 8.坂和樹 9.福田健太 10.忽那鐘太 11.髙橋汰地 12.射場大輔 13.森勇登 14.山崎洋之 15.山沢京平 16.松岡賢太 17.齊藤剣 18.吉岡大貴 19.小宮カズミ 20.朝長駿 21.松尾将太郎 22.児玉樹 23.山村知也

【天理大メンバー】
1.加藤滉紫 2.島根一磨 3.小鍜治悠太 4.由良祥一 5.アシペリ・モアラ 6.岡山仙治 7.佐藤慶 8.ファウルア・マキシ 9.藤原忍 10.松永拓朗 11.中野豪 12.池永玄太郎 13.シオサイア・フィフィタ 14.久保直人 15.立見聡明 16.内山友貴 17.谷口祐一郎 18.山川力優 19.ジョネ・ケレビ 20.松岡大和 21.小畑拓也 22.野田涼太 23.松田信夫

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◎天理大が初の日本一。巻頭から大特集!
『ラグビーマガジン2021年3月号』
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