南米ラグビー界の雄、アルゼンチン代表“ロス・プーマス”が、ついに、ラグビー王国ニュージーランドのスター軍団“オールブラックス”を倒した。2020年11月14日にシドニーのバンクウェストスタジアムで対戦し、25-15で金星をつかんだ。
1985年の初対戦以来、29回チャレンジして一度も勝っていなかったが、30回目の挑戦で歴史的初勝利となった。
ザ・ラグビーチャンピオンシップ2020。
南半球の強豪国が集うこの大会に、今年は新型コロナウイルスの影響で南アフリカ代表は不参加となったが、同じく準備不足が心配されたアルゼンチンの男たちは情熱をもって参加した。テストマッチは、プールステージ敗退に終わった昨年のワールドカップ以来、13か月ぶり。アルゼンチン代表の多くは、ハグアレス(ジャガーズ)として参戦した今年のスーパーラグビーがコロナ感染拡大により3月中旬で中断となっていたから、ヨーロッパのクラブに所属する選手以外は8か月間、公式戦でプレーできていなかった。にもかかわらず、キャンプで結束を高め、6月から実戦を重ねベストメンバーを組んできた世界ランキング2位のニュージーランド代表に果敢に挑み、歴史を変えた。
アルゼンチンは序盤にPGで先制。数分後に追いつかれたが、3-3で迎えた前半19分、敵陣で15フェイズを重ねてアドバンテージを得ると、SOニコラス・サンチェスがディフェンス裏にチップキックを放ち、仲間が足にかけたボールを確保したサンチェスが最初のトライゲッターとなった。
ニュージーランドは規律が悪く、反則を多発。さらにPGで加点したアルゼンチンは、何度も果敢に攻め込んで黒衣の男たちをあわてさせ、スクラムでもプレッシャーをかけた。
ニュージーランドは後半に入ってもミスを連発して流れを悪くした。
16-3で折り返したアルゼンチンは後半も先にPGで得点し、リードを拡大。
16点ビハインドとなったニュージーランドは53分(後半13分)、ラインアウトからのドライビングモールでトライを奪い返したが、アルゼンチンは58分にPGで突き放し、キャプテンのFLパブロ・マテーラなどがブレイクダウンの激しいファイトでチームを鼓舞、アグレッシブな堅いディフェンスは最後まで続いた。
77分にはSOサンチェスが50メートル超のPGを決めて15点差とし、勝負あり。
ニュージーランドはラストアタックでWTBケイリブ・クラークがトライを奪い返したものの、時すでに遅かった。
そして、歓喜の瞬間を迎えたロス・プーマス。何人かの選手だけでなく、マリオ・レデスマ ヘッドコーチの目にも涙が浮かんでいた。