ラグビーリパブリック

偏愛・食い込み系記者の出場国プレビュー! ラグビー8カ国対抗戦 オータム・ネーションズカップ【イングランド/アイルランド】

2020.11.12

イングランドCTBスレード。欧州チャンピオンズカップではエクセターの一員として優勝も(Getty Images)

◆オータム・ネーションズカップ2020

○グループA
イングランド
アイルランド
ウェールズ
ジョージア

○グループB
フランス
スコットランド
イタリア
フィジー

イングランド、W杯の名手たちが牽引

 開幕時には予想もできなかった日程で終了した2020年シックスネーションズを制したのは、ご存知エディ・ジョーンズHC率いる、イングランド。ジョーンズHC就任後の5大会で、3度目の優勝だ。

 選手層の厚さが最大の武器であるチームは、次のワールドカップまで主力でいられる年齢的中堅層に、若手が上手く加わる形になっている。

 主将のSO/CTBオーウェン・ファレル、NO8ビリー・ブニポラ、SOジョージ・フォード、と昨年のワールドカップで主力を務めた経験豊富な選手たちが、まだまだチームの中心で活躍する。

 この黄金世代のなかでも一際光る技術を持つのは、CTBヘンリー・スレイド。191センチ、96キロの体格を持ちながらも、観衆の拍手を誘う好プレーができる選手だ。超人的な走力こそないが、ラン、パス、キック、コンタクトのどれをとっても超一流。ディフェンスでも名手として知られた万能型CTBは、FBとSOでも全く遜色のないプレーができる。

 若手の注目は、FL/NO8トム・カリー(22歳)と、FLサム・アンダーヒル(24歳)の、“特攻隊型FW第3列”だ。ジョーンズHCは、恐れを知らないこの2人の若者のプレースタイルを、“カミカゼ・キッズ”と形容した。

 本命としてこの秋限定の大会へ臨むイングランド。ジョージア 、アイルランド、ウェールズと予選を戦った後、12月6日に行われる大会最後の順位決定戦を、トゥイッケナムで戦う。

絶対的司令塔の下、アイルランドが巻き返す

 開幕戦の2月1日から、最終戦の10月31日と実に9か月に及んだ2020年のシックスネーションズでは、3位に終わったアイルランド。最終戦となったフランス戦では、1トライを取れば6点差、ノートライでも7点差以上で勝てば優勝が決まる位置にいた。

アイルランドの大型バックスリー、ストックデール(Getty Images)

 絶対的司令塔として君臨し続けるSOジョナサン・セクストンは、昨年のワールドカップ後に引退した、HOローリー・ベストから代表チームの主将の座を受け継いだ。

 2009年の代表デビュー以来、93キャップを重ねきた34歳のプレイメーカーだが、セクストンを中心に回り続けるチームは、セクストンが不調になるとチーム全体が不調になるという問題を抱えている。

 シックスネーションズ最終戦でも、アイルランドは、実力的に言えばフランスを7点差で下すことは十分に可能と見られていた。が、この日のセクストンは、まさに乱調という出来だった。

 昨年のワールドカップ後、ジョー・シュミット監督の引退とともにその座を引き継いだアンディ・ファレルは、イングランド代表主将、オーウェンの父でもある。

 選手として輝かしいキャリアを終えた後、プレミアリーグのサラセンズでアシスタントコーチを務め、イングランド代表、アイルランド代表でそれぞれ4年ずつディフェンスコーチを務めた後に誕生した、ファレル監督。選手の起用、後半の交代などの采配の妙が見ものだ。

 注目の新加入選手は、WTB/FBジェームズ・ロウ。マオリの血を引き、マオリ・オールブラックス4キャップも持つ。スーパーラグビーでは、チーフスで53試合に出場した“マオリの韋駄天”は、2017年からアイルランドの強豪クラブ、レンスターに所属する。居住年数の条件をクリアし、28歳で代表デビューとなったロウの走りに注目だ。

 アイルランドは、ウェールズ、イングランド、ジョージアと同組。悔しさに燃え、勝利への願望にも燃える司令塔、セクストンの戦術とは? それは、試合を観たものにしか分からない。

WTBロウは、ニュージーランドにルーツを持つアイランド代表の新顔(Getty Images)

【WOWOW番組情報】
ラグビー8カ国対抗戦 オータム・ネーションズカップ
11/13(金)~12/6(日) WOWOWで独占放送&配信!

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【第1節】
グループA
11/13(金)深夜3:45 アイルランドvsウェールズ
11/14(土)夜11:55 イングランドvsジョージア

グループB
11/14(土)夜9:30 イタリアvsスコットランド
11/15(日)深夜0:00 フランスvsフィジー