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ブレディスローカップ第1戦は死闘引き分け NZ・豪州とも88分超のライバル対決譲らず

2020.10.11

伝統のライバル対決は死闘。試合終了のホイッスルが鳴ったあとの両チームの選手たち(Photo: Getty Images)


 約90年の歴史を持つ「ブレディスローカップ」は、伝統試合にふさわしい白熱の戦いとなった。
 10月11日にウェリントン(ニュージーランド)のスカイスタジアムで、ニュージーランド代表“オールブラックス”とオーストラリア代表“ワラビーズ”が激突。長年のライバル同士は88分を超える死闘を繰り広げ、16-16の同点でノーサイドの笛を聞いた。

 新型コロナウイルスによる混乱を乗り越えて、ラグビーのナショナルチーム同士が対戦する国際試合の再開。両チームとも昨年のワールドカップを終えて、新しい指揮官のもとで臨む最初のテストマッチだった。2023年の大舞台へ向けての新たなスタートでもある。

 先制したのはニュージーランドだった。前半9分、負傷のボーデン・バレットに代わって背番号15をつけたダミアン・マッケンジーのカウンターから始まって次々と速いテンポでボールを動かし、WTBジョーディー・バレットが右隅に最初のトライを挙げた。

 右膝の前十字靭帯断裂からカムバックして2年ぶりの代表復帰となったマッケンジーは守りでも奮闘。21分にオーストラリアがゴールに迫ったが、ブレイクダウンでボールに絡んだマッケンジーがターンオーバーし、ニュージーランドはピンチを脱出した。

 その後、互いにPGを決め、8-3で迎えた前半最後の攻防、オーストラリアのパスが乱れ、ニュージーランドは自陣からのカウンターでボールをつなぐ。そして、鮮やかなチームアタックをCTBリーコ・イオアネがフィニッシュした、かと思われたが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)により、イオアネはグラウンディングの際にボールをコントロールできていなかった(落球していた)ことが確認され、ノートライ。5点差でハーフタイムとなった。

 いやな流れで後半に入ったニュージーランドだが、44分(後半4分)、ラインアウトからのサインプレーが決まってWTBジョージ・ブリッジが抜け出し、サポートについていたSHアーロン・スミスがディフェンダーを振り切ってトライを決めた。

 一方、10点差を追うオーストラリアは52分、SOジェームズ・オコナーがランでディフェンスをひきつけたあとWTBマリカ・コロインベテにパスし、スペースができたところへゴールドジャージーの11番が弾丸となって左隅にフィニッシュし、5点を奪い返した。

 勢いに乗ったオーストラリアは62分にも敵陣深くに入り、ブレイクダウンでこぼれたボールにすばやく反応したSHニック・ホワイトが初キャップのWTBフィリポ・ダウングヌにつなぎ、同点トライが生まれた。

 雨風で難しいコンディションのなか、ニュージーランドは72分にPGチャンスを得たが、キッカーを務めたジョーディー・バレットの40メートルショットは失敗。

 逆にオーストラリアは74分、相手の反則でめぐってきたPGをオコナーが確実に決め、勝ち越した。

 しかし、ホームで負けられないニュージーランドは試合終了間際の79分、敵陣深くのモール攻撃でアドバンテージを得、プレーが止まったあとショットを選択。ジョーディー・バレットが今度はしっかり決め、16-16の同点となった。

 だが、ドラマはこれで終わらなかった。

 リスタート後、ハーフウェイの攻防でニュージーランドが反則を犯す。時計は80分を過ぎており、自陣にいたオーストラリアはPGを選択。約55メートル先のゴールポストを狙ったCTBリース・ホッジのキックは、距離は十分だったが、右ポストに跳ね返された……。

 だが、そのボールをニュージーランドは確保できず、ゴール前でチャンスとなったオーストラリア。それでも、ニュージーランドが必死に守ってボールを奪い返し、逆に自陣深くから攻めた。

 意地とプライドをかけたライバル対決。両チームは勝ちにこだわり、白熱のターンオーバーが何度も続き、時間は88分を過ぎた。そして最後、ニュージーランドがゴールに迫ったがオーストラリアは耐え、ターンオーバー。インゴールでボールをもらったオコナーはタッチライン外に蹴りだし、死闘は16-16の同点でノーサイドとなった。

 第2戦は10月18日、オークランド(ニュージーランド)のイーデンパークでおこなわれる。

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