ラグビーがかえってきた!
2020年、世界中が新型コロナウイルスに苦しみ、長期間、スポーツの楽しみも奪われていたが、感染者がゼロになって活気ある日常を取り戻したニュージーランドでラグビーが再開。6月13日、「スーパーラグビー アオテアロア」の開幕戦として、ハイランダーズとチーフスの選手がダニーデンのフォーサイスバースタジアムに入場し、約2万人の観客の前で鳴り響いた笛は、同国で91日ぶりに聞くキックオフのホイッスルだった。
アオテアロアとは、先住民族・マオリの言葉で「白く長い雲のたなびく地」という意味で、ニュージーランドのこと。ラグビーが国技とされるこの国で、世界中の人々にも希望を与えるかのように、楕円球が美しくつながれた。
試合前、スポーツ・余暇担当大臣のグラント・ロバートソン氏がスピーチをおこない、国民みんなの努力、協力があってこの日を迎えられたことを祝福。そして、医療従事者や警察官など、社会生活を維持する上で不可欠な仕事に従事している労働者たちに感謝を述べ、スタジアムに招かれた代表者たちに対して観客から大きな拍手が送られた。
試合は熱戦となり、28-27でホームチームのハイランダーズが勝利。
ハイランダーズは前半16分、ラインアウトからの力強いドライビングモールで、共同キャプテンのひとりであるHOアッシュ・ディクソンが最初のトライを挙げた。22分には地元ダニーデン出身のCTBシオ・トムキンソンがターンオーバーからのアタックをフィニッシュ。40分には22歳の成長株であるNO8マリノ・ミカエレ・トゥウがファイブポインターとなり、6点リードで折り返した。
しかし後半、危険なプレーをしたハイランダーズの選手が10分間の退出となり、数的有利となったチーフスは72分(後半32分)に攻め込み、SOアーロン・クルーデン、FBダミアン・マッケンジー、CTBアントン・レイナートブラウンとつなぎ、トライを決めて1点差に詰めた。
そして78分、マッケンジーがドロップゴールを決めてゲームをひっくり返す。
だがハイランダーズはその1分後、敵陣深くへ入って途中出場のSOブリン・ガットランド(前ウェールズ代表ヘッドコーチで、現チーフス指揮官である名将ウォーレン・ガットランドの息子)がドロップゴールをやり返し、これが決勝点となり、ハイランダーズのファンが歓喜した。
ニュージーランドの5チーム(ブルーズ、チーフス、ハリケーンズ、クルセイダーズ、ハイランダーズ)がホーム&アウェイで戦う「スーパーラグビー アオテアロア」は、8月16日まで10週連続でおこなわれる(土・日に1試合ずつ)。
なお、今大会では新ルールが適用され、延長戦で決着をつけるゴールデンポイントの導入や、レッドカードを受けたチームが20分経過後にベンチから選手をひとり投入できるなど、新しい試みも注目される。
あす6月14日には、オークランドのイーデンパークでブルーズ対ハリケーンズ戦がおこなわれる。