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セルジョ・パリッセ(イタリア代表キャップ142)、友と「人生を語る」Vol.3/最終回

2020.05.07

これからもイタリアのラグビーを支える。(写真/Getty Images)



 4月中旬、アルゼンチンの『Club Universitario de La Plata』(ULP)が公式SNSでイタリア代表142キャップを持つセルジョ・パリッセのインタビューを公開した。これは、これまでに掲載したVol.1Vol.2の続きだ。
 インタビュアーは現ULPトップチームのFL兼中学部門統括、パリッセの元チームメートが務めている。パリッセはアルゼンチン生まれ。ULPでプレーしていた。


◆いろんな相手と戦ってきたと思うけど、FW第3列で若手時代にお手本とした選手は誰だった?
「小さい頃はオールブラックスのジンザン・ブルック(元NZ代表/58キャップ)に憧れていた。あとは今の若い子は知らないかもしれないけど、フランス代表だったマルク・リエブルモン(キャップ25)もすごくいい選手でよく見ていたよ。ウエールズのスコット・クイネル(55キャップ/ブリティッシュ&アイリッシュライオンズでの3キャップ含む)の激しいスタイルも好きだった。」

◆複数の選手の長所を組み合わせて理想のNO8を作るなら?
「難しいな。まずはセバスチャン・シャバル(元フランス代表/62キャップ)のパワーと、キアラン・リード(NZ代表/127キャップ)の判断、技術の安定感をもらおうかな。ビリー・ヴニポラ(イングランド代表/51キャップ)のパワフルさもすごいよね」

◆君自身は入らないのか?
「髪型だけだね。見つけやすいから。」

◆君のハンドリングスキルとキック力は凄いよ。
「いろんな選手が、それぞれ良いところを持っている。完璧な選手なんてものは存在しないんじゃないかな。リードはアタックの判断、タックルが良くて、ラインアウトでのジャンパーもできる。試合を読む力もあって、それを毎試合続けられるから素晴らしいんだけど、一つひとつで比べたら彼よりすごい選手はいるかもしれない。例えばシャバルも激しい選手で対峙するのは嫌だったけど、フィットネスのレベルは高いとは言えなかった。
 そういう意味で、現代ラグビーにおいて、完璧ではないけれど、もっともバランスの取れたNO8はリードなのかな。80分を通してはもちろん、シーズンを通して一貫して高いレベルを維持する力が最も大切だね。
 キッカーも同じ。全部決める日と、全然入らない日があったら困る。いつも一定以上のレベルで、プレッシャーにも強い。それが良いキッカーの条件だね」

◆今後のイタリア代表で僕らが注目すべきNO8はいる?
「僕の中では一人いる。まだ世界的には誰も知らないかな。トレヴィーゾのミケーレ・ラマロはこれからどんどん成長すると思う。U20代表(2018年)で7番か8番のジャージーで活躍した姿を見て、ポテンシャルを感じた。去年は膝のケガがあったけど、これからのイタリアを背負う選手になってくれると期待している」

◆君のトゥーロンとの契約はもう一年だよね?
「一応、今年で終わり。ただ、まだわからないね。新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中で終わったし」

◆来年以降、現役を続けるかどうかは考えている?
「まだわからない。現在のように予想もしなかったことが世界で起きている中で、ラグビー以外にも考えることがたくさんあるから。若手の時は自分のキャリアにだけ集中していればよかったけど、この歳になって家族もいると、例えば移籍ひとつでも家族全員の環境が変わることになるから簡単には決まらない。この質問は最近よく受けるんだけど、来年まだプレーするかとか、コーチになるのかとか、僕自身いろんな可能性を考えているところだよ」

◆そうだよね。この状況だと日々生きることに精一杯で、未来のことはどうにも考えづらい。僕自身も、自分の人生について立ち止まって考えるよ。今日のインタビューはどうだった? 楽しんでくれたらいいけど。
「たくさんのインタビューを受けてきたけど、幼い頃から自分を育ててくれたクラブと話せるのは特別だね。長くプレーしていると、自分のルーツを忘れてしまう選手もいるかもしれないが、僕にとって ULPを忘れたことはないよ。アルゼンチンの3部からでも、努力を続ければ世界の舞台で戦える。今のクラブの若い選手たちに、少しでも僕の背中で示せていたら嬉しいな」

◆本当にありがとう。
「こちらこそありがとう。世界中のみんなと同じく、ここフランスも自宅待機が続いているから、寝る時間が早くなっているんだ。毎日子どもを寝かしつけながら、僕も一緒に寝てしまう。明日はバイクフィットネスがあるからずっと寝ていたいけど、この歳だと太っていくからね。現役を続けるかもしれないから頑張るよ」



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