今季シックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)で唯一、開幕から3戦全勝だったフランスが、スコットランドのエディンバラ・マレーフィールドで黒星を喫し、10年ぶりのグランドスラム(全勝優勝)はなくなった。17-28で敗れ、ボーナスポイント(4トライ以上挙げるか、7点差以内の敗戦で勝点に1ポイントが追加される)も獲得できず、3勝1敗の勝点13で並んだイングランドに得失点差で抜かれ、首位から陥落した。ホームで意地を見せたスコットランドは2勝2敗(勝点10)となった。
イングランド、フランス、スコットランドは残り1試合で、新型コロナウイルスの影響で延期となったイタリア戦を含めあと2試合残っているアイルランド(2勝1敗、勝点9)にも、優勝の可能性がある。
フランスは序盤から流れが悪かった。
前半4分にFLフランソワ・クロスが危険なタックルでイエローカードをもらい、7分には若きエースのSOロマン・ンタマックが負傷でフィールドから退いた。
スコットランドにPGで先制されたフランスは、6点ビハインドで迎えた前半32分、HOジュリアン・マルシャンがブレイクダウンでターンオーバーして流れを変える。敵陣深くに入って、SHアントワーヌ・デュポンの絶妙なキックからWTBダミアン・プノーのトライが生まれ、ンタマックと交代したSOマチュー・ジャリベールがコンバージョンを決め逆転した。
だが、36分、両チームがエキサイトしてもみ合いになり、フランスのPRモアメド・アウアスが相手FLジェイミー・リッチーの顔面を殴ったとしてレッドカード、一発退場となった。
再び流れが変わり、PGで逆転したスコットランドはさらにハーフタイム前、SOアダム・ヘイスティングスの好走で敵陣深くに入り、たたみかけ、切り込んだCTBサム・ジョンソンからパスをもらったWTBショーン・マイトランドが右隅にフィニッシュし、14-7として前半を終えた。
数的有利のスコットランドは44分(後半4分)、カウンターでCTBクリス・ハリスが抜けてチャンスとなり、サポートしたSHアリ・プライスも大きくゲインし敵陣深くへ、そして右への展開からまたもマイトランドがトライゲッターとなり、コンバージョンも決まって点差が開いた。
フランスは61分にPGで11点差としたが、15人チームの優勢は変わらず、64分、スコットランドは敵陣22メートルライン手前のラインアウトから、こぼれ球を拾ったHOスチュアート・マキナリーがゴールへ走り切り、貴重な追加点獲得で勝利を引き寄せた。
フランスは76分にキャプテンのFLシャルル・オリヴォンがトライを奪い返したものの、反撃はそこまでだった。
2位に後退したフランスだが、まだ10年ぶりの欧州王座奪還へ望みは残っており、3月14日の最終節はパリで、同じく優勝の可能性があるアイルランドと対戦する。アイルランドは、延期となっているイタリア戦の日程はまだ決まっていない。
暫定3位のスコットランドは、最終戦はウェールズのホームで戦う。
そして、首位に浮上したイングランドが残す1試合はイタリア戦だが、3月14日にローマで予定されていたこの試合は、新型コロナウイルスの感染拡大により延期が決定しており、いつ実施するかは現時点では未定。