ワールドラグビーは10月31日、2019年のチーム・オブ・ザ・イヤーとコーチ・オブ・ザ・イヤーの候補を発表し、ワールドカップでベスト4入りしたイングランド代表、南アフリカ代表、ニュージーランド代表、ウェールズ代表の4チームと各指揮官のほかに、勇敢な戦いで初のベスト8入りを果たした日本代表とジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチもノミネートされた。
これらの候補は、マギー・アルフォンジ(元 女子イングランド代表)、ブライアン・オドリスコル(元 アイルランド代表)、アグスティン・ピチョット(元 アルゼンチン代表)、ニック・マレット(元 南アフリカ代表ヘッドコーチ)、クライブ・ウッドワード(元 イングランド代表ヘッドコーチ)から成るパネルが選出した。
今年の受賞者は、11月3日(日)にザ・プリンスパークタワー東京で開かれるワールドラグビーアワードで発表される。
ワールドラグビーアワードは同日、日本時間午後5時50分からライブ中継を www.world.rugby で視聴できる。
チーム・オブ・ザ・イヤー、コーチ・オブ・ザ・イヤーの各候補と選出理由は以下のとおり。
<ワールドラグビー チーム・オブ・ザ・イヤー候補>
■イングランド
12年ぶりとなるラグビーワールドカップ決勝戦進出は、オーストラリアとニュージーランドを2試合続けて印象的なゲームの末下すという、奮闘の結果としてもたらされた。両強豪を1大会で破ったのは史上2チーム目。今年の欧州6か国対抗は2位。優勝したウェールズは、今年のテストマッチ14試合で唯一破れたチーム。それも2度。こうした一連の結果でイングランドは、ワールドラグビー男子ランキングのトップに2004年6月以来初めて立った。
■日本
ラグビーワールドカップ日本大会で、ブレイブ・ブロッサムズはそのテンポの速いプレースタイルとすばらしい勇気で国中を魅了し、初の準々決勝進出を果たした。1次リーグでアイルランドとスコットランドに勝利した結果、一時、ワールドラグビー男子ランキングで過去最高の6位に浮上した。ここ1年間はワールドラグビー・パシフィックネーションズカップで優勝したほか、テストマッチ9試合で2回しか敗れていない(ともに南アフリカ戦)。
■ニュージーランド
この賞を10回受賞しているニュージーランドは、今大会の準決勝でイングランドに敗れてワールドカップ3連覇の望みを断たれるまで、南アフリカやアイルランドを破った印象的な試合を含め、ラグビーワールドカップで18連勝と史上最長の連勝記録を達成した。オールプラックスは、2019年のテストマッチ10試合で7勝を挙げている。南半球4か国対抗戦のタイトルを奪われ、ランキング首位の座も明け渡したが、ブレディスローカップは17年連続で獲得した。
■南アフリカ
南半球4か国対抗戦の優勝チームであり、敗戦を喫しながら(ニュージーランドとの1次リーグB組初戦)ウェブ・エリス・カップを獲得する最初のチームになれば、ラグビーワールドカップの新たな歴史をつくることになる。この13-23という結果は、今年のテストマッチ11試合のうち唯一の敗戦であり、この試合を除くと9勝1分け。スプリングボックスは、2007年大会以降初となる決勝進出を決めた後、ワールドラグビー男子ランキングでおよそ4年ぶりに2位となった。
■ウェールズ
ウォーレン・ガットランドにとってウェールズ監督として最後の年となったこの1年は、欧州6か国対抗での全勝優勝、1987年以来となるラグビーワールドカップでのオーストラリア戦勝利、ワールドラグビー男子ランキングでチーム史上初のトップ獲得など記憶に残るものとなった。初のワールドカップ決勝進出は逃したが、過去最高タイの3位と、テストマッチ16試合で12勝という成績でこの1年を終える可能性が残っている。
<ワールドラグビー コーチ・オブ・ザ・イヤー候補>
■ラシー・エラスマス(南アフリカ)
ラシー・エラスマスが南アフリカに戻った時、スプリングボックスのヘッドコーチに就任する意志は持っていなかったかもしれないが、冷静に役割をこなしている。明敏な戦術家で、チームをまとめ上げて結果を出しているのが印象的。今年、南アフリカは南半球4か国対抗戦のタイトルを獲得し、ラブビーワールドカップ2019では、プールステージのオールブラックスに対する敗戦から立ち直り、決勝へと進んだ。
■ウォーレン・ガットランド(ウェールズ)
ウェールズのヘッドコーチとして12年目にして最後の年となる今年、ウォーレン・ガットランドは第2の祖国とも言うべきこの国の代表チームを欧州6か国対抗でグランドスラム(全勝優勝)、オーストラリアに対して32年ぶりとなるラグビーワールドカップでの勝利に導いた。ウェールズの6か国対抗でのグランドスラムは、ガットランド指揮下で3度目となる。その過程でウェールズは、ワールドラグビーの男子ランキングで初の1位になった。準決勝の南アフリカ戦はけがの影響があったが、そのことがこのすばらしい12か月間の成果を減じることはない。
■スティーヴ・ハンセン(ニュージーランド)
ラグビーワールドカップ2019後に退任するコーチのひとり。この賞をこれまでに4度受賞しているハンセンは、グレアム・ヘンリー前監督の後を継いで2011年に就任して以来、卓越した才能でニュージーランド代表を率いた。ハンセンは今年、オールブラックスに17年連続でブレディスローカップをもたらし、ワールドカップでは準決勝で強じんなイングランドのパフォーマンスに遭遇したものの、南アフリカとアイルランドを破るなど印象的な戦いぶりを披露した。
■エディー・ジョーンズ(イングランド)
この賞の2017年の受賞者であるエディー・ジョーンズは、批評家たちに対して、ラグビーワールドカップ2019でのイングランドチームを見て彼と彼のチームを評価するよう呼び掛けていた。そして、オーストラリア人であるジョーンズは、ここまでその言葉通りの成績を収めている。2月にダブリンでおこなわれたアイルランドとの試合で予兆は現れていたが、ここ日本においてイングランドのチーム力が最高潮に達した。ジョーンズのチームは、オーストラリアとニュージーランドに快勝してファイナルまで勝ち上がってきたが、この2つの強豪を相手にワールドカップ1大会で勝利したのは、南アフリカが1995年にウェブ・エリス・カップを掲げる過程で成し遂げて以来となる。
■ジェイミー・ジョセフ(日本)
開催国の日本はラグビーワールドカップ2019で、初めて準々決勝に進出し歴史をつくり、その過程で多くの批評家とファンの心をつかんだ。穏やかな日本代表のヘッドコーチであるジョセフは、選手たちの技術とスピードに信頼を置き、そしてブレイブ・ブロッサムズがアイルランドとスコットランドのゲームで見せたそれらの要素は、長く記憶に残るだろう。ジョセフはまた、日本を3度目のワールドラグビー・パシフィックネーションズカップ制覇へと導き、ホスト国の期待をより高いものとした。